■見た目以上に高性能なクルマを振り返る
クルマの性能は、見た目からも推し量ることができます。たとえばホンダ「NSX」は一見して速く、スズキ「ジムニー」はそのフォルムから、悪路での走破性能が高いことがわかるでしょう。
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一般的に、クルマのキャラクターと見た目は一致するケースが多いのですが、一方で、見た目以上の実力を秘めたクルマも存在。
そこで、見た目と裏腹に高い性能を誇るクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「プレーリーリバティ ハイウェイスターGT4」
世の中にまだミニバンという呼び方が存在しなかった頃の1982年、日産はステーションワゴンタイプの3列シート車、「プレーリー」を発売。
両側センターピラーレス構造のスライドドアや、超低床レイアウトによって広い室内空間を実現するなど、現在のミニバンに通じる元祖といえるクルマです。
しかし、低い動力性能やボディ剛性の低さからセールス的には成功せず、2代目以降は「ブルーバード」をベースにした一般的なトールワゴンタイプのミニバンに生まれ変わりました。
そして1998年に登場した3代目では、車名が「プレーリーリバティ」に改められ、純正エアロパーツ装着の「ハイウェイスター」も設定されます。
翌1999年には「ハイウェイスター4WD」に、S14型「シルビアK’s」やU12型「ブルーバードSSSアテーサリミテッド」で採用された、日産が誇るスポーツユニットのSR20DET型エンジンを搭載する「プレーリーリバティ ハイウェイスターGT4」が登場。
最高出力230馬力を発揮する2リッターターボエンジンは、ミニバンには少々オーバースペックと思われますが、多人数乗車でも余裕ある走りを披露しました。
さらに、足まわりはフロントがストラット、リアがマルチリンクの4輪独立懸架を採用するなど、乗り心地の良さと高い安定性を両立します。
しかし、人気はそれほど高まらず、2001年のマイナーチェンジでハイウェイスターGT4は廃止となり、いまとなっては非常にレアなクルマです。
●三菱「ブラボー MZ-G」
現在、日本でもっとも売れているクルマといえば軽自動車です。なかでも各メーカーの主力商品といえば軽ハイトワゴン/トールワゴンですが、かつては軽自動車のワゴンといえば1BOXタイプの商用バンをベースにしたモデルが主流でした。
そして当時、三菱も商用バン「ミニキャブ」をベースにしたワゴンタイプの「ブラボー」を、1991年に発売。
なかでも「MZ-G」グレードには、64馬力を発揮する660cc直列3気筒DOHC15バルブターボエンジンを搭載していました。
このエンジンは「ミニカ ダンガンZZ」にも搭載されたユニットで、1気筒あたり吸気バルブを3本、排気バルブを2本の5バルブを採用。多くの空気をエンジンに取り込むことができ、高回転化にも有利でした。
実際にMZ-Gのタコメーターのレッドゾーンは9000rpmからで、かなりの高回転型と推測できます。
これまで市販車で5バルブエンジンを採用したのは、国産メーカーでは三菱とトヨタ、ヤマハのみで、海外ではフェラーリとフォルクスワーゲン、アウディくらいです。
なぜ軽1BOXワゴンにレーシングカーのようなエンジンが搭載されたのかというと、理由は単純で、当時の三菱は軽自動車の高性能エンジンは5バルブしかなく、「パジェロミニ」や「タウンボックス」などスピードとは縁遠いモデルにも搭載されていました。
■元祖都会派SUVは本格クロスカントリー4WDだった!?
●スズキ「エスクード」
1988年にデビューしたスズキ「エスクード」は、コンパクトサイズながら直線基調のデザインが強さを表現しており、高く評価されました。
発売当初は2ドアのハードトップとソフトトップのみで、前後ブリスターフェンダーを採用するなど、一見すると都会的なSUVといった印象ですが、堅牢なラダーフレームにボディを架装し、リアサスペンションにリジッドアクスルを採用するなど、中身は本格的なクロスカントリー4WD車と同等のメカニズムです。
また、1990年にはロングホイールベースの4ドアモデル「エスクードノマド」を追加ラインナップし、使い勝手の良さが向上。
搭載されたエンジンは当初は1.6リッター直列4気筒ガソリンのみでしたが、後に2リッター直列4気筒ディーゼルターボや、2リッターと2.5リッターのV型6気筒が追加でラインナップされました。
初代エスクードは現在のクロスオーバーSUVと同じく、シティユースをメインとするユーザーが多かったことから、近年のSUVのご先祖といえるモデルです。
その後、エスクードはスズキのミドルクラスSUVとして代を重ね、現行モデルは2015年にデビューした4代目にあたり、完全なモノコックシャシとなっています。
※ ※ ※
その昔、プリンス「スカイライン」がレースで活躍したことから、高性能なエンジンを搭載した普通のクルマを総称して「羊の皮を被った狼」と呼ぶことが広まりました。
近年は、羊の皮を被った狼は数少なくなってしまいましたが、その理由としては、一見して「羊」に見えるクルマが減ってしまったことが挙げられます。
高性能なエンジンを搭載するようなクルマは、もはや羊ではなく見た目も狼で、ユーザーに対してもわかりやすいということなのでしょう。
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みんなのコメント
走破性が高く使える相棒って感じで、車体も軽くてオンロードでも軽快に走ってましたよ。デザインもバランスが良くて好きでした。