国内のセダン市場が縮小傾向にあることから、セダン廃止でSUV化との噂も囁かれていた新型クラウン。しかし、いざ蓋を開けてみれば4つのシリーズ展開に刷新されたものの、セダンが生き残ったことに安堵したというファンも多いのでは?
たしかに国産セダンのラインアップが減ったことは間違いないが、それでもまだまだ魅力的なモデルは確実に存在する。そこで、ここでは新型クラウンのセダンに対抗できる可能性を秘めた5台の国産モデルを紹介するが、いずれのモデルも新型クラウンに負けず劣らずの魅力を放っていると思わない?
祝! クラウンセダンが存続決定!! セダンの雄の対抗馬になり得る実力派国産セダンはこれだ!!
文/FK、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部、日産、ホンダ、FavCars.com
V型8気筒5.0リッターエンジンを搭載したIS500 F SPORTが気になって仕方がない!?
V8エンジンの存在を強調するフードの造形や専用ブラックキャリパーが力強さと迫力を演出
レクサスの乗り味の礎となるべく鍛え上げられたFRスポーツセダンのIS。V型6気筒3.5リッターを搭載したIS350、直列4気筒2.5リッターとハイブリッドシステムを搭載したIS300h、直列4気筒2.0Lインタークーラー付ターボを搭載したIS300から構成されるISだが、2022年8月25日にV型8気筒5.0リッターを搭載したIS500 F SPORT Performanceを日本に導入することが発表され、大きな話題となっている。
北米市場では2021年3月に発売されたIS500 F SPORT。先述のV型8気筒5.0リッターエンジンでは481psの最高出力と535N・mの最大トルクがもたらす、伸びやかで気持ち良い加速のエモーショナルさやレクサスならではの官能的なサウンドを徹底追求。
また、アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システムや電動パワーステアリングシステムにチューニングを施し、リアにパフォーマンスダンパーを追加することでさまざまなシーンに応じた乗り心地と操安性も実現。
他にも制動力を向上させるべくブレーキにフロント356mm、リア323mmの大径ブレーキーローターが採用されていたり、V8エンジンの存在を際立たせるフード造形や専用ブラックキャリパー、4連エキゾーストマフラーによって力強さと迫力を演出していたりと見どころ満点。
現段階で未発表の車両本体価格は新型クラウンよりも高価な設定になるだろうが、パワーと走りの質感の高さがもたらす大人のゆとりを楽しみたい人には気になる一台であることは間違いない。
モダンさとエレガントさをあわせ持つES300h F SPORTも選択肢のひとつ!
新意匠のメッシュパターンを採用したフロントグリルと単眼ランプに新小型ユニットを採用したヘッドランプでESらしいシャープかつ切れ長な表情を表現
IS50 F SPORTほどのパフォーマンスは求めていないけれど、それでもスポーティな国産セダンが欲しいという人のターゲットとなり得るもう1台のレクサスがES300h F SPORTだ。
1989年にレクサスのフラッグシップセダンであるLSとともに販売を開始したESは、これまでに80以上の国や地域において販売され、その静粛性、乗り心地、広い室内空間が好評を博しているレクサスラインアップの基幹モデル。
2021年8月に販売を開始した現行モデルは独自の手法によってリアサスペンションメンバーブレースの剛性を高め、高速のレーンチェンジなどでの操縦安定性を向上。
加えて、F SPORTでは専用チューニングを施したサスペンションによって、ドライバーの操作に忠実でかつスポーティな走行性能を追求するとともに、新型のアクチュエーターを駆使したアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システムによる減衰力の低減や可変幅の拡大で上質な乗り心地と操舵応答性の向上を両立している。
また、F SPORTではフロントグリルとマッチする艶やかなブラックの専用19インチアルミホイールや日本限定仕様となるロゴ入りのオレンジ塗装ブレーキキャリパーなどを採用してスポーティな印象も抜群。世界トップレベルの先進安全技術であるLexus Safety System +も導入されており、もはや死角なしのスペックを誇っている。
カムリは新型クラウンにとって良きお手本なのか? それともライバルなのか?
低くかまえたフードとフェンダーはもとより、低く設定されたベルトラインによってタイヤの存在感を強調し、ビジュアル的にも低重心感を表現
100カ国以上の国と地域で販売され、こと北米では20年連続で中型セダン販売台数No.1を獲得するカムリ。グローバルブランドへの転換を図るクラウンにとってはお手本であり、ライバル視せざるを得ない一台でもある。
そんなカムリの現行車は2017年7月に登場した10代目。その強みは意のままの走り、クラストップレベルの燃費性能、上質な乗り味だが、それ以上に特筆すべきは磨き抜かれたスタイリングの美しさにある。
TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に基づいてエンジンの搭載位置と乗員レイアウトを下げて低重心シルエットを実現しつつ、フロント周りもスリムなアッパーグリルと立体的なロワグリルとの対比でワイドな佇まいを強調。抑揚ある面使いとシャープなボディラインで構成したサイドビューや、大きく張り出したショルダーが特徴となるリアビューも存在感を際立たせている。
2018年8月にはロッドガイドブッシュ、ピストンバンド、オイルを専用開発したショックアブソーバーを採用して優れた乗り心地とライントレース性を大きく向上させたスポーティグレードのWSを新設定。洗練されたスタイル、応答性の高い操舵フィーリング、フラットな走りを見事なまでに融合した一台は、サイズや価格帯こそ異なるものの、新型クラウンのライバルに相応しい素養を身につけた一台と言えるだろう。
スカイライン400Rは乗ればその良さがわかる生粋のスポーツセダン
日産ブランドの象徴であるVモーショングリルやリア丸目4灯コンビネーションランプの採用などによって、ひと目見てスカイラインと認識できるエクステリアデザインが特徴
クラウンのライバルと目される日産車は、本来であればシーマやフーガといったフラッグシップセダンとなるが、4月29日に公開した本WEBコラムの「日産シーマ&フーガ 今夏生産終了へ! 名門セダン続々消滅も復活あり得る意外な訳とは?」にもあるように、この両車は今夏の生産終了が取り沙汰されている……となると、もはやライバルと呼べる日産のセダンはスカイライン通算13代目のV37型しかない。
とはいえ、R33 GT-Rのコンプリートカーとして発売されたニスモ400Rのネーミングを継承した400Rは名前負けしないハイスペックを最大の持ち味とする“スカイライン史上最強”を名乗るだけに、今なお人気を集めている一台。
400Rのエンジンはスタンダードモデルが搭載するVR30DDTTが最高出力304psであるのに対して、専用の渦電流式ターボ回転センサーの採用とブースト圧を回転限界領域まで使いきれる値に設定することでスタンダードのVR30DDTTプラス100psのハイパワー化を実現。
また、強化ウォーターポンプを採用した水冷式インタークーラーも冷却性能を大きく向上させている。加えて、電子制御ショックアブソーバー、アルミ製造ブレーキキャリパー、大径ブレーキディクス、19インチアルミホイールなどの専用装備も大きな魅力。デビューから3年が経った400Rだが、その存在感はまだまだ薄れていない。
フルモデルチェンジから約2年で姿を消しそうなアコードも貴重なセダン
存在感と品格を兼ね備えたスタイリングが特徴となるアコード。力強くて端正なフロントフェイスと低重心なプロポーションもスポーティな走りを連想させる
2020年2月にフルモデルチェンジしたアコードは1976年の初代モデル発売以来、長きに渡り愛されてきたホンダを代表する一台。
2022年1月に販売終了したレジェンドなき今、ホンダのアッパーミドルセダンとして君臨する10代目のアコードは、クルマの基礎となるプラットフォームを刷新。細部にわたる開発の結果、アコードならではの走りの良さと室内空間は進化させながら、ロー&ワイドのデザインを実現させている。
また、ダンパーの減衰力を4輪独立で制御するアダプティブ・ダンパー・システムを採用し、爽快なハンドリング性能とフラットな乗り心地を高次元で両立。加えて、シチュエーションに応じて車両特性が変えられる、NORMAL・SPORT・COMFORTという3つのドライブモードによりスムーズで静粛性の高いドライビングも楽しむことができるのだ。
パワートレーンも2モーターならではの力強い加速と滑らかな走りが特徴のハイブリッドシステムであるe:HEVを搭載し、軽快な走りと優れた燃費性能を高次元で実現。
また、衝突安全性能も備えつつ先進の安全運転支援システムであるホンダ センシングを標準装備とするなど安心・快適な運転も提供してくれる一台だが……アコードも今秋の生産終了が噂されているだけに、クラウンのセダンが生き残ったとはいえ国内セダン市場の縮小傾向は止まらないのか?
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