沖縄の「バイク左車線ルール」は2024年9月に撤廃
実は沖縄の一部の国道には、「排気量に関わらず、バイクは終日第一通行帯、つまり1番左の車線しか通行してはならない」というルールがあります。 沖縄に住んでいる人でさえ全員は知らないというだけあって、旅行で訪れた人のほとんどがこのルールの存在を知らず、現地で困惑してしまうことも少なくありません。
バイクはオービスに引っかかる?引っかからない?実態はいかに!
このルールは、沖縄の文化でもライダー同士の暗黙の了解でもなく、沖縄県警、沖縄県公安委員会によって定められたれっきとした規則。道路交通法第20条第2項にも「車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない」と記載されています。
もし従わなければ違反点数1点に加え、原付は5000円、そのほかのバイクは6000円の反則金が科されます。しかし、この規制が2024年9月に撤廃されるとウワサされています。このウワサは本当なのでしょうか。 結論から言うと、ウワサは本当です。県警交通規制課によると、現在規制が残っている国道330号、古波蔵交差点-普天間交差点間の約15.5キロは8月末までに、そして国道58号、城間交差点-嘉手納(南)交差点間と、旭橋交差点-勢理客北交差点間の2区間、合わせて約19.7キロも9月末までに規制が解除されるとされます。
そもそもこの独自ルールを支持する声は多くなく、バイクショップの業界団体である沖縄県オートバイ事業協働組合をはじめ、多くの人が長年疑問や不満を感じ、撤廃を訴えてきました。
ではそもそもなぜ、このような規制が生まれたのでしょうか。
沖縄でこの規制が始まったのは1983年のこと。当時、バイクの車線変更時の事故が増えていたため、事故を減らす目的として、バイクが走行してよいのは原則第一通行帯のみと定められました。
確かに、むやみやたらにすり抜けや追い越しをするバイクがなくなると、その分事故は減りそうではありますが、代わりに危険なシチュエーションも出てきてしまいます。
その最たる例が、片側2車線や3車線など複数車線がある道路で右折をする場面です。
50cc超のバイクには、2段階右折が必要ありません。そのため右折をする際は、ある程度手前から徐々に右側レーンに近い車線へ移動していくということができます。
しかし規制のある沖縄の道路では、バイクは交差点付近になると後続車に注意しながら、道路の左端から右端まで移動する必要があります。場合によっては複数車線を跨いで一気に右折レーンへと移動しなければならないこともあるかもしれません。
ルールに慣れていないライダーにとっては至難の業、また交通量の多い時間帯などはさらに危険度も増します。加えて“交差点の手前〇mから車線変更してもよい”などといった具体的な数値も示されていないという点も、ライダーたちを悩ませる点と言えるでしょう。
また、いちばん左側の車線を走り続けていると、左折専用レーンに入ってしまう可能性もゼロではありません。直進したい場合は左折レーン手前から直進レーンに移ってもよいとされていますが、中には、左折レーンからそのまま直進してもよいのか、第二通行帯に移動してもよいのか、悩んでしまう旅行客も少なくないようです。
左折したいクルマが第二通行帯から左折専用レーンに進入する一方で、直進したいバイクは第一通行帯から第二通行帯へ進入する……このような複雑な状況では、お互いに細心の注意を払わなければ接触事故の可能性は上がってしまいます。
ライダーやドライバーをたびたび悩ましてきたこのルールですが、バイク事故の減少やマナーの向上を受けて、これまでも段階的に規制が緩和されてきました。
2021年3月、2022年3月、そして2023年3月と過去3回に渡り、規制区間の一部規制を解除し、規制区間を減らしてきました。そして、冒頭で述べた通り現在残っている国道330号と国道58号の一部区間も9月末までには規制が解除される予定です。
残り少ない期間ですが、旅行やツーリングの予定があるライダーは覚えておきましょう。なお、この規制が完全に撤廃となっても、50cc以下の原付は道路交通法に基づいて引き続き原則第一通行帯を走らなければなりません。
※ ※ ※
沖縄のみに存在する、「バイクは“1番左の車線だけ”を走る」という謎ルール。長い間撤廃を求める声が上がっていたようですが、ついに2024年9月には、現在規制が残っている区間の道路標識や道路標示などを消去する作業が完了し、完全に撤廃されるようです。旅行客はもちろん沖縄の人にとっても嬉しい知らせと言えるのではないでしょうか。
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