7月9~11日の週末にブラジル・パラナ州カスカバルで開催された2021年のSCBストックカー・ブラジル第5戦は、ルーベンス・バリチェロやトニー・カナーンらが所属する強豪フルタイム・スポーツと並ぶTOYOTA GAZOO Racingブラジル(TGRブラジル)の一角、イピランガ・レーシング勢が奮起。そのスピードから“予選最速男”の称号を持つチアゴ・カミーロ(トヨタ・カローラ)と、元イタリアF3王者の僚友セザール・ラモス(トヨタ・カローラ)がレース1でワン・ツー・フィニッシュを達成した。
続いて開催されたレース2では、シボレー陣営のアッティラ・アブレウ(シェル・Vパワー/シボレー・クルーズ)が、元チームメイトでもあるリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)に最終ラップまでテール・トゥ・ノーズで追い詰められながら、からくも勝利。激しいプレッシャーに耐え抜き今季初優勝を手にしている。
ルーベンス・バリチェロが親子参戦を実現。19歳の息子エドゥアルドがSCBデビューへ
2戦分をカウントする週末ダブルヘッダー戦を含み、実質4度目のイベント週末を迎えたSCBは、前戦の変則フォーマットとは異なり公式練習から予選、そして日曜の決勝2ヒートで争われた。
プラクティスからシボレー勢が速さを見せる展開となるなか、トヨタ陣営の予選最速男はここから脅威のリカバリーを果たすと、Q1では上位19台が0.5秒差圏内に収まる僅差の勝負を制し、キャリア通算26度目、TGRブラジルとしては3戦連続のポールポジションを獲得してみせた。
「これは確かに特別な意味を持つポールだ。非常に難しいコースであるカスカバルだからというだけでなく、ご覧のように最初の練習では本当に調子が悪かったし、そこから100%のフィットを得られるに至った僕らの仕事ぶり、という点でもね」と、2020年のポールタイムを0秒509ほど更新したカミーロ。
「そしてセザール(・ラモス)は絶えずシャドーのように僕にプレッシャーを掛け続けてきたから、Q3では多くの仕事を完璧にこなさなければと思っていたんだ」
こうして0.043秒差でフロントロウ2番手に並んだチームメイトとともに、30分+1ラップの決勝レース1に向けスタートを切ったカミーロは、盤石のレース運びを見せて28周を走破。
2番手の僚友ラモスと、7番手発進から表彰台圏内に進出してきたガブリエル・カサグランデ(A.マテイス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)を従え、カミーロが自身通算33勝目をワン・ツー・フィニッシュで飾るとともに、キャリア31度目のファステストラップも刻んでみせた。
■“鉄人”バリチェロの息子、エドゥアルド・バリチェロがSCBデビュー
「僕らは前戦ヴェロチッタで苦戦を強いられていたから、その非常に複雑な段階から戻ってこられた。僕の勝利だけでなくチームのワン・ツーでも、良い仕事に対する自信を取り戻せた。メカニックとエンジニアの努力に感謝している」と勝者カミーロ。
このカスカバルで3勝目を挙げたカミーロ同様、午後のレース2で通算16勝目を手にしたアブレウは、午前の7位獲得によるリバースグリッド4番手の好機を活かし、同じく30分+1ラップの25周勝負でゾンタとのデュエルを制した。
「正直、フィニッシュ後はとても感情的になり、クルマの中で涙さえ流れた。昨季は難しいシーズンになり、表彰台さえ獲得できなかったんだからね」と、その喜びを噛み締めたアブレウ。
「今朝のウォームアップまで、勝つためのクルマは手元になかった。それでもレース1は比較的良かったし、レース2では表彰台を目指して戦うことを考えた。セカンドスティントでセーフティカーが出てくれたおかげで、必要になる燃料量が減ったのも助かったよ」
このレースで2位のゾンタに続き、最後の表彰台にはふたたびカサグランデが入り、週末最多得点者となって選手権リーダーのダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)に4点差と肉薄。そしてこのラウンドからSCBデビューを果たすことで注目されたバリチェロの息子“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)は、レース1では周回遅れながら元インディ王者カナーンを上回る19位、レース2は25位ながら同一周回フィニッシュで週末を終えている。
続くSCBストックカー・ブラジルの第6戦は、7月30~8月1日の週末にパラナ州クリティバで開催され、翌週も同地での連戦が予定されているが、シリーズプロモーターのVicar(バイカー)は第8戦以降の開催地と日程をアナウンスし、ふたたびヴェロチッタでの週末ダブルヘッダーを含む全12戦の実施計画を発表。シリーズから複数のドライバーが参戦する、WEC世界耐久選手権のル・マン24時間や、カナーンがドライブする北米インディカーとの「日程重複を避けた」スケジュールが組まれている。
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