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【F1第19戦無線レビュー】「ついてこいと伝えて。奴らをやっつけよう」ハミルトン、レッドブルを追うべくボッタスを鼓舞

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【F1第19戦無線レビュー】「ついてこいと伝えて。奴らをやっつけよう」ハミルトン、レッドブルを追うべくボッタスを鼓舞

 2021年F1第19戦ブラジルGPの決勝レース。チャンピオンを争うマックス・フェルスタッペンは2番手からスタートし、ポールポジションのバルテリ・ボッタスを抜いて首位に立った。さらにセルジオ・ペレスもボッタスをパスしてレッドブルが1-2体制を形成。一方ルイス・ハミルトンは10番手からのスタートで、序盤からオーバーテイクを連発し、フェルスタッペンを追う展開となった。ブラジルGPを無線とともに振り返る。

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FIA、メルセデスの再審請求についてのヒアリングを18日に実施へ。フェルスタッペンのインシデントに関する新証拠を審査

 ブラジルGP決勝日は、快晴。路面温度はスタート時点で54度まで上がっていた。レースでは、タイヤをいかに持たせるかが焦点になるのは確かだった。

マッティア・スピニ:マシンバランスはどうだい?
角田裕毅:アンダーステアが大きいね。特に高速のターン6。最後のラップは、どんどんアンダーが大きくなっている感じだ
スピニ:了解した

 同じようなアンダー傾向は、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もレポートしていた。ただしこの日のような高温コンディションでは、周回を重ねるごとにリヤタイヤが垂れてオーバーステア傾向がひどくなっていく。ボッタスはその辺りを見極めて、ウイングの調整はせずにスタートに臨んだ。

リカルド・ムスコーニ:(フロント)ウイングは上げた方がいい? そのままで行く?
ボッタス:そのままで行こう

 スタートの時点では、ポールシッターのボッタスを含む奇数グリッドの上位数台は、グランドスタンドの影になっていた。

ムスコーニ:グリッドが影になっている。グリップに問題が出るかもしれない

 その懸念が的中したというべきか、ボッタスはスタート加速が鈍く、まずマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に、続いてセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にも抜かれていった。後方では、ランド・ノリス(マクラーレン)とカルロス・サインツ(フェラーリ)の接触事故が発生していた。

ノリス:パンクチャーだ

サインツ:ランドとの接触を避けられなかった。はさまれていたんだ!

 そして5周目には同じターン1で、ランス・ストロール(アストンマーティン)のインを突いた角田が接触、両者はマシンにダメージを負い、角田はピットに向かった。

角田:全然ミラーを見てない!

ストロール:ひどいアンダーだ。ダメージでダウンフォース失っている
ブラッドリー・ジョイス:左側にダメージを受けている。でも大丈夫だ。そのままプッシュしろ
ストロール:フィーリングは最悪だよ!

 4周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜いて早くも4番手に上がったルイス・ハミルトン(メルセデス)に対し、ボッタスは5周目にすぐに順位を譲った。

ハミルトン:ありがとう、バルテリ

 3番手に上がったハミルトンは、「ふたりでレッドブルをやっつけよう」と、ボッタスを鼓舞した。

ハミルトン:バルテリについてこいと伝えてくれ。奴らをやっつけよう
 上位2台のラップタイム差はフェルスタッペンが1000分の1秒速い。4秒近い差は縮まらず、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。しかしふたりのタイヤは、ともにタレ始めていた。

フェルスタッペン:滑り始めた

ハミルトン:リヤが滑っている

 40周目にフェルスタッペンが、先手を打って2度目のピットイン。それ受けてハミルトンの担当エンジニアが、こんな打診をした。

ピーター・ボニントン:もう1回止まるんだったら、どのタイヤがいい?
ハミルトン:スイッチの色で判断してくれ

 無線で答えて、レッドブルに聞かれることを恐れたのだろう。43周目に入ったハミルトンにチームはハードタイヤを用意したが、本人は露骨に不平を鳴らした。ボニントンがそれをたしなめた。

ハミルトン:俺が頼んだタイヤじゃない
ボニントン:ミディアムは厳しいんだ

 48周目、ターン4のブレーキングでハミルトンがアウト側から被せていったが、抜き切れず。2台はコース外に出ながらコーナーを抜けていった。ハミルトンはフェルスタッペンに押し出されたように見えた。すかさずレッドブルのスポーティングディレクター、ジョナサン・ウィートリーが、FIAレースディレクターのマイケル・マシに連絡を入れた。

ウィートリー:マイケル、これが自由にレースさせるってことだよね
マシ:その辺りをチェックしているところだ。いずれにしても、貴重な意見をありがとう

 マシにしてみれば、いちいち念押ししてくるなという思いだろう。最後の「ありがとう」は、いうまでもなく嫌味たっぷりの挨拶だった。そしてスチュワードはこのインシデントについては、「調査の必要はない」という判断を下した。

ボニントン:調査の必要さえないとのことだ
ハミルトン:そりゃ、そうだろう

 DRS規定違反で失格裁定を受けたハミルトンにしてみれば、この週末はスチュワードから徹底的にイジメられているという思いだっただろう。そしてそれが逆に、ハミルトンの闘志に火をつけたのかもしれない。

その後も両者は1秒以内の僅差で周回を重ねる。しかしハミルトンは49周目の裏ストレートでフェルスタッペンを捉えると、鮮やかに抜き去っていった。最後の抵抗を試みたフェルスタッペンだが、なすすべもなかった。

ジャンピエロ・ランビアーゼ:ブレーキングで蛇行したということで、黒白フラッグが出された
フェルスタッペン:彼らに、よろしくと伝えといてくれ

 ついにトップに立ったハミルトンは、フェルスタッペンとの差をみるみる拡げていった。

ハミルトン:バルテリはどこだ?
ボニントン:P3だ
ハミルトン:グッジョブ!

 最終的に10秒以上の大差をつけてチェッカー。ハミルトンとメルセデスの完勝だった。

トト:こうやって20倍のハンディキャップを跳ね返したんだ
ハミルトン:いや、25倍だよ

フェルスタッペン:やれることは、全部やったんだけどね。僕らは十分速くなかっただけだ
クリスチャン・ホーナー代表:素晴らしいダメージコントロールだった。ペレスも最速タイムを出したぞ
フェルスタッペン:グッジョブだった

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