現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 嗚呼良かった…ホンダ「ワンダーシビック」 元祖スポーツコンパクトを紐解く!

ここから本文です

嗚呼良かった…ホンダ「ワンダーシビック」 元祖スポーツコンパクトを紐解く!

掲載 更新 48
嗚呼良かった…ホンダ「ワンダーシビック」 元祖スポーツコンパクトを紐解く!

■スポーティなイメージを確立した3代目「シビック」を振り返る

 ホンダの現行ラインナップで、もっとも長い歴史がある登録車は「シビック」です。もともとは大衆車として誕生しましたが、代を重ねるとコンセプトや車格が大きく変わって現在に至ります。

これが走りのRS! ホンダ「シビックターボRS」が登場

 このシビックの歴史のなかで最初の転換期を迎えたのが3代目で、シビック=スポーツコンパクトカーというイメージを確立。

 そこで、3代目シビックはどんなクルマだったのか、振り返ります。

※ ※ ※

 まずは3代目シビック登場までの歴史について、簡単に触れてみます。

 ホンダは「Sシリーズ」の販売や「N360シリーズ」の大ヒットによって、1960年代の終わりには量産4輪車メーカーとして軌道に乗りつつありました。

 しかし、登録車ではヒット作といえるモデルはなく主力商品といえば軽自動車であり、すでに海外進出も果たしていましたが、本格的なグローバル展開が成功しているとはいえませんでした。

 そこで、それまで国産車にはなかった斬新なコンセプトのFF大衆車を開発し、初代シビックとして1972年に発売。

 初代シビックは1.2リッターエンジンを搭載し、発売当初は2ボックススタイルの2ドアボディのみで、サイズは全長3405mm×全幅1505mm×全高1325mm(DXグレード)と、現在の軽自動車と比べても全長で5mm、全幅で25mm大きいだけの非常にコンパクトなサイズながらFFのメリットを生かして広い室内空間を実現しました。

 登場からまもなくして第一次オイルショックが起こり、ガソリン価格の高騰という背景もあって、経済性と使い勝手に優れたシビックは大ヒットを記録。

 1975年にはアメリカへ輸出も始まり、クリーンな排出ガスと低燃費を実現した「CVCC」エンジンを搭載したことからアメリカでも大ヒットし、これを足がかりにホンダの海外進出が本格化しました。

 その後、ボディバリエーションを増やして幅広いニーズに対応し、1979年に2代目が登場。

 外観や主要なメカニズムは初代からのキープコンセプトとしつつ、ボディサイズは全長3760mm×全幅1580mm×全高1350mm(1.5リッター3ドア、SEグレード)とひとまわり大きくなり、より広い室内空間とすることでグローバルでの競争力も強化されました。

 そして、1983年9月に3代目シビックがデビュー。ホンダ自ら「ワンダーシビック」と呼び、まさに驚きの変化でした。

 まず、内外装のデザインからエンジン、プラットフォームに至るまですべてを刷新。ボディラインナップは3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、5ドアライトバンを設定しています。

 グレード構成は1.3リッター車と1.5リッターに車に分けられ、3ドアハッチバックは「23」「25」が頭になるグレード名で、4ドアセダンは「33」「35」、5ドアステーションワゴンは「シビック シャトル」の名で「53」「55」、5ドアライトバンは「シビック プロ」と呼称。

 3ドアハッチバックのボディサイズは全長3810mm×全幅1630mm×全高1340mmと一気に拡大し、2代目よりもひとつ上のセグメントに昇格しました。

 外観は直線基調プレスラインが特徴のボクシーなフォルムで、とくに3ドアハッチバックは空力性能も考慮したロングルーフとグラスエリアを広くした斬新なデザインを採用。ロー&ワイドな印象から踏ん張りの効いた安定感のあるスタイルです。

 内装では外観と同じく直線基調のインパネですが、フロントウインドウの下からドアまでラウンドしながらつなげることで、乗員を包み込むような一体感のあるラップアラウンド形状となっています。

 メーターは大型のタコメーターとスピードメーターをセンターに並べ、その左右に燃料計と水温計を配置する一般的なレイアウトですが、トップグレードの「25i」には流行のデジタルメーターもメーカーオプションで選べました。

 また、室内も一層広くなり、とくに室内長を長くすることで後席スペースを大幅に拡大しています。

 ホンダは以前から乗員のスペースを最大にし、エンジンなどメカニズムのスペースを最小とする設計思想がありましたが、これを「M・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」という言葉で表現したのは、3代目シビックが初めてでした。

■「S800」以来となるDOHCエンジンが復活!

 前述のとおり3代目シビックではエンジンも刷新されました。全エンジンとも吸気バルブ2個、排気バルブ1個のSOHC12バルブとし、優れた吸・排気効率を実現しながらエンジンのコンパクト化も達成しています。

 エンジンは3タイプで、最高出力100馬力の1.5リッター直列4気筒では「PGM-FI」と呼称させる電子制御燃料噴射装置を搭載。ほかに90馬力の1.5リッター・キャブレター仕様、80馬力の1.3リッター・キャブレター仕様を設定しました。

 突出してパワフルなエンジンではありませんでしたが、815kg(25i、MT車、ノーマルルーフ)と軽量な車体によって、十分にスポーティな走りが可能でした。

 トランスミッションは4速MT、5速MT、ホンダ独自のATである「ホンダマチック」が2種類、グレード別に搭載。

 足まわりは、フロントにトーションバースプリングを用いたストラット、リアはコイルスプリングの車軸式となっており、これもM・M思想を反映した結果、採用されたということです。

 なお、一連のメカニズムはシビックよりも先行してデビューした「バラードスポーツCR-X」に採用されており、キャリーオーバーされたことになります。

 また、シビックと同時に、姉妹車で4ドアセダンの「バラード」も刷新されています。

 3代目シビックは好調なセールスを記録し、1983年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。さらにデザインとパッケージが高く評価され、自動車では初となる「グッドデザイン大賞」を受賞するなど、名実ともに優れたクルマと称えられました。

 そして、発売から1年ほど経った1984年10月、シビックのイメージを変えることになる「Si」がデビュー。

 3ドアハッチバックに追加ラインナップされたSiには(後に4ドアセダンにも設定)新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC「ZC型」エンジンが搭載され、ホンダの4輪車では「S800」の生産終了から14年ぶりとなるDOHCエンジンの復活となりました。

 燃料の供給は25iと同じくPGM-FIで、カムカバーはホンダが1983年から復帰したF1の、1.5リッターV型6気筒ターボエンジンをモチーフにデザインされています。

 また、ZC型はロングストロークを採用したことから中低速域のトルクはライバルよりも出ており、高回転域まできれいに吹け上がることから、パワフルかつ高いドライバビリティを両立。

 トランスミッションは5速MTと3速ATのホンダマチックを設定し、イージードライブにも対応しました。

 外観はボディ同色バンパーと、ボンネットにパワーバルジが追加されたことで、Siであることを控えめに主張しています。

 高性能化を果たしたシビックは、1985年から市販車をベースにした車両で争われる「全日本ツーリングカー選手権」に参戦しました。

 そして、パワーでは格上のマシンを相手に総合優勝を果たすなど、シビックのイメージアップに貢献。その結果、シビックSiは走りを重視する若者層からは絶大な支持を受けることになり、3代目シビックはスポーツコンパクトカーの代表的な存在となりました。

※ ※ ※

 今回、紹介した3代目シビックは1987年に4代目へとバトンタッチし、VTECエンジンを搭載するなどさらなる高性能化が図られました。

 さらに6代目では「タイプR」が登場したことで、FFスポーツカーとしての地位を盤石なものとします。

 また、低燃費のVTEC-Eエンジン搭載やハイブリッド仕様の追加など、エコカーとしても進化しました。

 一方で、北米市場を優先した設計にシフトしたことから、ボディサイズの拡大と価格の上昇は避けられず、現行モデルでは初代のコンセプトから大きく変わってしまったのは否めません。

 しかし、シビック(CIVIC)という車名は「市民の」と訳されることから、大衆車という根本は変わっていないはずです。アメリカでは近く新型の登場がアナウンスされていますから、市民のクルマとして新たな一面を見せてくれるのではないでしょうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
レスポンス
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
ベストカーWeb
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
ベストカーWeb
【SHOEI】システムヘルメット「NEOTEC 3」に新グラフィックモデルの「ANTHEM(アンセム)」が設定された!   
【SHOEI】システムヘルメット「NEOTEC 3」に新グラフィックモデルの「ANTHEM(アンセム)」が設定された!   
モーサイ
軽快スポーツフルフェイス「Z-8」シリーズに新グラフィック「YAGYO」が追加!パーツ怪異イラストがかわいい!  
軽快スポーツフルフェイス「Z-8」シリーズに新グラフィック「YAGYO」が追加!パーツ怪異イラストがかわいい!  
モーサイ
「青の位置が矢印の信号機」ってなんだ? 更新で消えゆく超激レアモデルだった! 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #1】
「青の位置が矢印の信号機」ってなんだ? 更新で消えゆく超激レアモデルだった! 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #1】
くるくら
光岡自動車、シビックベースの「M55ゼロエディション」発売 イメージは1970年代 6速MTのみ 808万円
光岡自動車、シビックベースの「M55ゼロエディション」発売 イメージは1970年代 6速MTのみ 808万円
日刊自動車新聞
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
くるまのニュース
三重県の「北勢バイパス」、2024年度内に四日市の中心部まで開通! 通勤ラッシュの緩和にも期待。 【道路のニュース】
三重県の「北勢バイパス」、2024年度内に四日市の中心部まで開通! 通勤ラッシュの緩和にも期待。 【道路のニュース】
くるくら
ヒョンデが独占!? 「2025カー・オブ・ザ・イヤー」、新型「サンタフェ」が「年間ベストカー賞」など複数受賞
ヒョンデが独占!? 「2025カー・オブ・ザ・イヤー」、新型「サンタフェ」が「年間ベストカー賞」など複数受賞
LE VOLANT CARSMEET WEB
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
THE EV TIMES
【ユーズドカーチェック】17枚の画像とともにBMW 3シリーズGT(F34)の中古モデルをわかりやすくレビュー!
【ユーズドカーチェック】17枚の画像とともにBMW 3シリーズGT(F34)の中古モデルをわかりやすくレビュー!
AutoBild Japan
ソロキャンプに嬉しい! 飯ごうにぴったり重なる調理用鉄板「Stacking iron plate」が発売
ソロキャンプに嬉しい! 飯ごうにぴったり重なる調理用鉄板「Stacking iron plate」が発売
バイクブロス
新生ジャガー「DESIGN VISION CONCEPT」のティーザー画像が公開
新生ジャガー「DESIGN VISION CONCEPT」のティーザー画像が公開
カー・アンド・ドライバー
レクサス新型「最上級セダン」に大反響! 「デザインに驚いた」「“V8”の方がいい」「流麗でカッコイイ」の声も! “24年後半”発売の「LS」米国で登場!
レクサス新型「最上級セダン」に大反響! 「デザインに驚いた」「“V8”の方がいい」「流麗でカッコイイ」の声も! “24年後半”発売の「LS」米国で登場!
くるまのニュース
岐阜‐福井の“最短新ルート”24日トンネル開通! 冠山峠貫く国道417号、開通1年でさらにスイスイ時短
岐阜‐福井の“最短新ルート”24日トンネル開通! 冠山峠貫く国道417号、開通1年でさらにスイスイ時短
乗りものニュース
ついに航続距離750kmを実現! DSオートモビルの新モデルが登場
ついに航続距離750kmを実現! DSオートモビルの新モデルが登場
LE VOLANT CARSMEET WEB
ホンダの“原付二種”スクーター「リード125」がマイナーチェンジ! 7年ぶりのデザイン変更でスタイリッシュになった新型の魅力とは?
ホンダの“原付二種”スクーター「リード125」がマイナーチェンジ! 7年ぶりのデザイン変更でスタイリッシュになった新型の魅力とは?
VAGUE

みんなのコメント

48件
  • CMソングにルイ・アームストロングを起用したり、
    この頃のホンダは車作りもCM作りも上手かった。
  • この頃から更に面白い車をたくさん開発し市場に出していたホンダ。どこからか勢いがなくなったんだよなー。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

344.9430.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.0438.0万円

中古車を検索
シビック (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

344.9430.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.0438.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村