5ナンバーサイズのミドルクラスミニバンといえば、ノア/ヴォクシー(生産中止のエスクァイアを含め)、ステップワゴン、セレナが三つ巴の販売競争を繰り広げてきた。
まず、ノア/ヴォクシーは先陣を切ってフルモデルチェンジし、2022年1月13日に発売された。2021年12月8日から事前予約が開始されてから2022年1月12日までの予約受注累計は3万1500台を超え、月販計画台数の約2.3倍となっており、幸先の良いスタートを切った。
一方、新型ステップワゴンは2021年1月7日にティザー写真が公開され、2022年2月4日から予約受注が始まり、2022年5月26日に発売される予定となっている。
それでは次期セレナはどうなるのか? 新型セレナが出る前に、ノア/ヴォクシー、ステップワゴンの購入を決めていいのかと悩んでいる人は多いのではないだろうか?
そこで、次期セレナはどうなるのか? 今わかっている情報をすべてお伝えしていこう。
文/遠藤 徹
写真/ベストカー編集部、ベストカーweb編集部、トヨタ、ホンダ
■新型ノア/ヴォクシーの販売は絶好調! 受注累計は5万台以上に達する見通し
2022年1月13日に発売されたトヨタ ノア
2022年1月13日に発売されたトヨタ ヴォクシー。ノア/ヴォクシー合わせて月販計画の2倍以上の受注を記録する好調ぶりだ
新型ノア&ヴォクシーが1月13日に発表発売してから、約3週間が経過した。2021年12月8日に事前の予約受付を開始しているので、ここから起算すると1ヵ月半以上が経過したことになる。
月販計画はノアが8100台、ヴォクシー5400台、合計1万3500台だった。これに対して1月12日までの予約受注累計は3万1500台で月販計画の2.3倍強であるから、好調な滑り出しとなっている。
2021年12月上旬現在の納期は4月であったのが、1月末には2リッターガソリンNA車が6月、1.8リッターハイブリッド車が7月と大幅な先送り状況となっている。このぶんだと2月中旬までの受注累計は5万台以上に達する見通しである。
ノアとヴォクシーでは計画段階でノアが60%、ヴォクシー40%とノアのほうが多く見込んでいるわけだが、1月末現在の受注累計は逆でヴォクシー60%、ノア40%程度になっている販売店が多い。
これはヴォクシーのほうが代替え母体は大きいためと思われる。新型車になってノアは標準車とエアロバージョンと両方を設定しているのに対してヴォクシーはエアロバージョンに絞ったラインナップとしている。
生産中止になった姉妹車のエスクァイアの多くがノアに代替えしていることから、今後はノアの販売構成比が次第に高くなっていくと思われる。
トヨタ ノア(S-Z ハイブリッド・2WD・7人乗り)。計画段階ではノアが60%、ヴォクシー40%とノアのほうが多く見込まれていた
トヨタ ヴォクシー(S-Z ハイブリッド・2WD・7人乗り)。実際の受注累計では計画とは反対に、ヴォクシー60%、ノア40%程度になっている販売店が多いようだ
グレード別だとノアの最上級S-Z、ヴォクシーも同じくS-Zで全体の80%を占めている。ハイブリッド車は従来モデルだと半分弱だったのが、新型では70%以上に跳ね上がっている。電動化の流れが加速しているのと、これまで2WD車のみであったのが、4WD車も設定したのが貢献している。
また車両本体の価格設定が先代モデルだとガソリンNA車とハイブリッド車の価格差が約50万円ハイブリッド車のほうが高かったのが、新型車では30万円差まで短縮し、ハイブリッド車が買いやすくなったのも要因としてあげられる。
ボディカラーはほかの量販モデル同様にホワイト、シルバー、ブラックの3色に集中している。
新型ノア&ヴォクシーはボディパネル、プラットフォーム、パワーユニットなどの基本コンポーネントが同じ姉妹車だが、今回はフロントマスクのデザインを大きく変えて違いを明確に仕立てている。
ヴォクシーは強烈な個性で若者ユーザーを強く意識した顔立ちにし、ノアは違ったマスクのデザインだが、幅広の横線メッキグリルでまた別の個性を強調している。今のところそれぞれの好みに分かれた評価となっている。
今後しばらくはノア/ヴォクシーの両姉妹車態勢で生産販売を継続するが、近い将来にはノアに1本化する見込みである。ヴォクシーはフロントマスクのデザインをノア・エアロの1グレードに組み込み、ブランドは消滅することになりそうだ。
また1.8リッターハイブリッド車はレクサスの一部車種に見られるように、2リッターに排気量アップさせて、走行性や燃費改良を行う方向にある。
■新型ステップワゴンは2月4日から予約受注開始
2022年1月7日にティザー写真が公開されたホンダ ステップワゴン(写真はSTEP WGN AIR)
ホンダ ステップワゴン。2022年2月4日から予約受注開始、5月26日に発売予定となっている(写真はSTEP WGN SPADA)
■新型ステップワゴンのグレード&価格
●1.5Lガソリンターボ
エアー:299万8600円(7人乗り)/302万600円(8人乗り)
スパーダ:325万7100円(7人乗り)/327万9100円(8人乗り)
スパーダプレミアムライン:346万2800円(7人乗り)
●2Lハイブリッド、e:HEV
エアー:338万2500円(7人乗り)/340万4500円(8人乗り)
スパーダ:364万1000円(7人乗り)/366万3000円(8人乗り)
スパーダプレミアムライン:384万6700円(7人乗り)
※FFの価格。ディーラー調べ
新型ステップワゴンの予約受注が2月4日から始まり、価格も明らかになっている。2月10日からはティザーCMも始まった。発売は2022年5月26日になる予定。
中心となる「スパーダ」のボディサイズは全長4830×全幅1750×全高1845mmで標準の「エアー」はこれより全長が30mm短い。これは前後バンパーサイズの違いで、実質的なボディサイズは同じといえる。
先代ステップワゴンは全長4760×全幅1695×全高1840mmだったから、全長は70mm、全幅55mm、全高5mmそれぞれ拡大し、ひと回りサイズアップしていることになる。
新型ノア/ヴォクシーは全長4695×全幅1730×全高1895mmだから、ステップワゴンのほうが少し大きく、ノア/ヴォクシーは全高が55mm高いレイアウトとなっている。新型ステップワゴンのホイールベースは2890mmで先代モデルと同じである。ノア&ヴォクシーは2850mmだから、40mm短い。
パワーユニットは従来モデルの2リッターハイブリッドと1.5リッターターボと同じである。車重の軽量化や各部の改良で若干、走行性&燃費改良を行っている。
トランスミッションは全車CVTとの組み合わせは継承される。駆動方式はハイブリッドが2WDのみ、1.5リッターターボは2WDと4WDを用意するのも従来モデルと同じ。新型ステップワゴンのハイブリッドは当面2WDのみとなる。
東京オートサロンに出展されていた新型ステップワゴンスパーダプレミアムラインの参考出品車。ルーフやドアミラー、グラデーション塗装、約15mmローダウンし、18インチアルミホイール(市販車は17インチ)などは参考出品車の特別装備。オデッセイの高級路線を受け継ぐグレードになるもよう
グレードの構成は標準タイプが「エアー」、上級&スポーツバージョンが「スパーダ」でスパーダには最上級の「スパーダプレミアムライン」が新たに設定される。
スパーダプレミアムラインは生産中止となったオデッセイをカバーする狙いがある。
主な標準装備はエアー、スパーダが16インチアルミホイールに対してスパーダプレミアムラインは17インチアルミホイール、2列目シートヒーター、オットマンなどを装備する。
先代だと各シリーズにG、EXなどのグレード分けがあったが、次期型ではこの3タイプのみがグレードとなり、シンプルなラインナップ構成となる。
先代モデルでウリのひとつとしていた、リアの「わくわくゲート」はなくなった。リアのデザインが良くないと不評だったためだ。開閉はワンタッチの電動式で障害物を検知すると、途中でも停止する仕掛けが施される。
ボディカラーはモノトーンのみの7色でプラチナホワイトパールはじめクリスタルブラックパール、スーパープラチナグレー、ミッドナイトブルビームメタリック、トワイライトミストブラックパール、フィヨルドミストパールとなっている。
2月4日から、正式に予約受注をスタートしているが、5月末の発売までに2万台の受注獲得を目指している。
■新型セレナはどうなった? 2022年末か2023年早々の発売予定!
新型セレナの予想CGイラスト(ベストカーが製作したもの)。現行ノートやアリアなど最新の日産デザインとなる
最も遅れて登場する次期型セレナはどうなっているのか、気になっている人も多いだろう。これまでは2022年9月にもフルモデルチェンジして世代交代することが有力だったが、最新の情報では先送りされ、2022年末か2023年早々の発売がほぼ確実になっている。
2022年初めに投入予定だった新型エクストレイルの発売も、2022年9月頃に先延ばしになる関係で、新型セレナの発売も新型エクストレイルの発売と重なるのを防ぐために延期される見通しになっている。
新型セレナは標準タイプも含めて上級&スポーツバージョンのハイウェイスター並みに3ナンバーサイズに拡大、統一される。若干のサイズアップによる上級シフトでクオリティアップ、使い勝手、走行性の向上が図られる。
パワーユニットは新開発の1.5リッターのe-POWERを搭載する見込み。従来の1.2リッターから排気量アップすることで、発電容量のアップし、静粛性、走行性を改善する狙いがある。同ユニットは次期型エクストレイルにも移植される可能性がある。
現行モデルの2リッターマイルドハイブリット車は廃止になるので、次期型セレナもe-POWERへの1本化が図られるのは確実だ。
新型セレナのリアスタイル(CGイラストはベストカーが製作したもの)。当然、プロパイロットも装備される
■ミドルクラスミニバン4強の戦いはどうなる?
ノア/ヴォクシーのセンターピラーに装備されたロングアシストグリップ。子供だけでなく、大人もつかまりやすいグリップは安心感がある
こうして年内もしくは2023年早々までにミドルクラスミニバン4強が出揃うわけだが、まず圧倒的な強さで販売をリードするのはノア&ヴォクシー連合軍であろう。生産体制が整えば2022年4月以降は月販1万5000台規模で推移する見通しとなっている。
これはノア&ヴォクシーの商品力というより、オールトヨタ販売店の販売力によるものである。日産、ホンダの2倍以上のパワーを持っているので、当然ともいえる。
それに全国レベルではトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4系列店が存在し、互いに競争し、一部では値引き合戦が激化し、これが販売台数を稼ぐ推進力にもなっている。
ホンダ ステップワゴン(左:AIR、右:SPADA)。大きな特徴であった『わくわくゲート』の廃止が吉と出るか凶と出るか!?
これに対して日産、ホンダ陣営はほぼ互角の販売力で並んでいる。月販8000台近辺でシェア争いを展開することになる。
4強ともこれまでの過程で膨大な代替え母体を構築しているので、新型車発売後半年くらいは70%以上が歴代モデルからの代替えでカバーするので、ライバル車との本格的なシェア争いは2022年後半以降になりそうである。
新型ステップワゴン、セレナe-POWERともに、中心的なパワーユニット搭載車はハイブリッドモデルだから、燃費、走行性能の対決も見ものである。
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みんなのコメント
ノアなら未だしも、ヴォクシーの顔は、正しく前走車に威圧感を与えるデザインで、煽り運転には最適のクルマという印象。
それにしても、今の日本人はいつから派手好きになったのだろうかと感じる。