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驚愕燃費性能のHVか 走りのガソリンか 話題の新型ヤリス一番賢い買い方指南

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驚愕燃費性能のHVか 走りのガソリンか 話題の新型ヤリス一番賢い買い方指南

 最近登場した新型車の中で、特に注目度の高い車種がトヨタヤリスだ。好調に売れたヴィッツの後継に位置するコンパクトカーで、エンジンやプラットフォームまで刷新したから、車名も海外と同じヤリスに変更した。

 ヤリスのエンジンは、すべて直列3気筒になる。1L、1.5L、1.5Lハイブリッドの3種類があり、1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドは新開発された。

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 1Lは基本的に従来型と共通で、法人が営業車に使ったり、レンタカーやカーシェアリングの需要を重視している。そのために1Lは上級グレードのZを選べない。

 従って一般ユーザー向けは、1.5Lとハイブリッドだ。グレードは、両エンジンともベーシックなX、中級のG、上級のZを設定した。2WD&CVT(無段変速AT)の価格は以下の通りだ。

■1Lノーマルエンジン(価格はすべて2WDのCVT仕様)
X・Bパッケージ:139万5000円 X:145万5000円 G:161万3000円
■1.5Lノーマルエンジン
X:159万8000円 G:175万6000円 Z:192万6000円
■1.5Lハイブリッド
X:199万8000円 G:213万円 Z:229万5000円

 ヤリスで特筆すべきは、ハイブリッドがベストカーの燃費テストにおいて驚異的な燃費をマークしたことだ。具体的に触れておくと、郊外での実燃費で40.0km/Lという信じられないような燃費をたたき出したのだ。

 ヤリスの推奨できる選択肢は、1.5Lとハイブリッドだ。ここではパワートレインの選択を含めて、ベストグレードについて考えたい。

文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、平野学、ベストカー編集部

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バランスのいいGがオススメ

ヤリスは1L&1.5Lガソリンと1.5L+モーターのハイブリッドをラインナップ。発売直後ではハイブリッド比率は50%切っていてガソリンも人気

 1.5L、ハイブリッドともに、グレードによって燃費数値が異なるため、まず先にグレードを決めたい。最も推奨度が高いのは、1.5L、ハイブリッドともに中級のGだ。

 1.5Lの場合、ベーシックなXでは、エアコンのオート機能が装着されずマニュアルタイプになる。ハイブリッドを含めてXのヘッドランプはハロゲンのみで、LEDはオプションでも装着できない。

 また1.5XとハイブリッドXのタイヤは14インチのみで乗り心地が硬い。

Gに5万9400円でオプション設定されている15インチタイヤ&アルミホイールはタイヤの空気圧も低く、乗り心地が一気によくなる

 14インチタイヤは転がり抵抗を抑えた燃費重視のタイプで、指定空気圧も前輪が250kPa、後輪は240kPaと高いためだ。特に40km/h以下で市街地を走っている時に、乗り心地の硬さが目立ってしまう。

 その点でGになると、標準装着されるタイヤは14インチになるものの、5万9400円のオプションで15インチ+アルミホイールに変更できる。

 14インチとはタイヤの性格が変わり、指定空気圧も前輪が230kPa、後輪は220kPaに下がるため、乗り心地と走行安定性のバランスが向上する。

 上級のZは、3灯式フルLEDヘッドランプや8インチディスプレイなどを標準装着するが、中級のGにオプションで付けられる装備も多い。

 そこでGを推奨する。オプション装着したい装備が多かったり、専用の上級シート表皮などに魅力を感じたらZも検討するといい。

3灯式フルLEDヘッドランプは最上級グレードのZに標準装備されるが、Gは8万2500円でオプション設定されているから装着可能

ハイブリッドとガソリンの実質価格差は30万円

 次は買い得グレードのG同士で、1.5Lとハイブリッドの損得勘定を比べる。ハイブリッドGの価格は213万円、1.5LノーマルエンジンのGは175万6000円だから、ハイブリッドGが37万4000円高い。

 ただしハイブリッドGは、1.5LノーマルエンジンのGでは1万6500円でオプションになるバックガイドモニターなどを標準装着する。一部の装備が上級化されるので、この金額を差し引いたハイブリッドの正味価格は約35万円に収まる。

 購入時に納める環境性能割と、自動車重量税も異なる。Gではこの2つの税額を合計すると5万3300円だが、ハイブリッドGは非課税だから、この金額も差し引く。最終的な実質差額は30万円と考えていい。

ハイブリッドGはバックガイドモニターを標準装備するのに対し、ガソリンGは1万6500円のオプションとなる

コンパクトカーは燃料代で差額を埋めるのが難しい

 次は実質差額の30万円を燃料代の節約によって取り戻せる距離を計算する。

 現時点で算出に悩むのはガソリン価格だ。新型コロナウイルスの影響で、2020年4月下旬におけるレギュラーガソリンの平均価格は1L当たり130円まで下がったが、この価格は特殊だ。

 そこで影響が生じる前の1L当たり145円で計算する。実用燃費はWLTCモードと考える。

ハイブリッドはベストカーの燃費テストで高速道路モード、一般道モードも良好だったが、郊外モードでは40.0km/Lの驚異的燃費をマーク

 そうすると1km走行当たりの燃料代は、Gが6.8円、ハイブリッドGは4.1円だ。ハイブリッドでは1km当たり2.7円の節約が可能で、30万円の実質差額を燃料代の節約で取り戻せるのは、11万kmを走った頃になる。

 ちなみに車種によっては、ハイブリッドの実質差額を4万~6万kmで取り戻せるが、ヤリスのようなコンパクトカーは、ノーマルエンジンの燃費も良好だ。

 この30万円という差額は、コンパクトカーにとっては大金だから、取り戻せる距離も10万kmを超えることが多い。

年間走行距離が2.5万kmを超えるか否かが分岐点

ハイブリッドもガソリンもインパネを除けばインテリアデザインは共通

 表現を変えると、ハイブリッドの経済効率は、ボディが重くノーマルエンジンの燃費が悪い車種ほど優れているわけだ。そのためにクラウンでは販売総数の80%がハイブリッドで、レクサスISも70%に達する。

 これらの車種では、実質差額が4万~6万kmを走れば取り戻され、ハイブリッドは数年後に売却する時の条件もいいからハイブリッド比率が高まった。

 逆にコンパクトカーでは、ハイブリッドが人気を得にくい。仮に発売直後に販売比率が増えても、時間の経過に伴って下がってくる。

 ヤリスでは、ノーマルエンジンを1Lと1.5Lの2種類にしたから、発売直後でもハイブリッド比率は45%にとどまる。

 ヤリスのハイブリッドとノーマルエンジンの損得勘定を客観的に判断すると、1年間の走行距離が1.5万kmを超えるか否かが選択の分かれ目だ。

 1年間に1.5万kmを走れば、7~8年で11万kmを走行できるから、実質差額が取り戻されて最終的に出費を節約できる。

クラウンは2.5L&3.5L+モーターという2種類のハイブリッドと2Lターボをラインナップ。販売比率は80%がハイブリッドとなっている

 しかし1年間の走行距離が7000kmでは、取り戻すまでに15年かかり、13年とされる乗用車の平均使用年数(平均寿命)を上まわってしまう。

 そうなると燃料代の節約で実質差額を取り戻せない可能性が高い。1年間の走行距離が1.5万km以上ならハイブリッドを選ぶ余地があり、それ以下ならノーマルエンジンが経済的という判断が成り立つ。

ヤリス独自の魅力を味わうなら1.5Lガソリン

1.5L+モーターのハイブリッドは、1.5Lガソリンに比べると特に街中ではエンジンノイズなどを含めて走りの質感は高い

 お金の面以外では、運転感覚に対する好みの違いも、ノーマルエンジンとハイブリッドの選択に影響を与える場合がある。

 ヤリスのエンジンはすべて直列3気筒だから、ノイズを抑えるうえでは4気筒に比べて不利だ。その意味でハイブリッドは、車両重量の割に動力性能の高いモーターを併用するから、ノーマルエンジンに比べてアクセルペダルを深く踏む機会が少ない。

ヤリスは新型になるにあたり、TNGAを採用したことにより走りのしっかり感とともに運転する楽しさをドライバーに与えてくれる

 フル加速すればハイブリッドでも3気筒のノイズが高まるが、通常の走行では、ハイブリッドは静かで滑らかだ。ハイブリッドのエンジン負荷を抑えた走りは、燃費の向上にも役立つ。

 いっぽう、1.5Lノーマルエンジンは、モーター駆動を併用しないから吹き上がりが活発だ。高回転域までよく回る。

 さらに1.5Lノーマルエンジンには、6速MT(マニュアルトランスミッション)も用意され、エンジンの回転数や変速操作をドライバーが完全にコントロールできる。

ヤリスの小気味いい走りは全モデルに共通しているが、ガソリンモデルの気持ちよさは特筆レベルで、ヤリスの持つ最大の魅力となっている

 車両重量はノーマルエンジンのGが1000kg、ハイブリッドGは1060kgだから、ノーマルエンジンはボディが軽く操舵に対する反応も機敏だ。

 峠道を走ると、ノーマルエンジンは進行方向が軽快に変わり、旋回軌跡を拡大させにくい。操舵角に応じて、車両を内側に向ける操作もしやすい。

 後輪の接地性など走行安定性はハイブリッドと同水準だが、ノーマルエンジンは総じて曲がりやすい。

 この機敏な走りは、ライバル車のフィットに対するヤリスの優位性でもある。

リアシートの広さ、快適性、ラゲッジ容量などではフィットにかなわないが、走りの楽しさという点ではヤリスが本領発揮

 ヤリスとフィットを比べると、後席と荷室の広さでは、ヤリスは明らかに負けてしまう。視界や取り回し性も含めて、ヤリスは実用性ではフィットにかなわない。その代わりヤリスは、走りの楽しさでフィットに勝っている。

 このヤリスの個性を大切にするなら、軽量でよく曲がるノーマルエンジンが推奨される。

 買い得グレードはGだが、走りのよさをさらに高めるなら、上級のZを選んで16インチタイヤ+アルミホイールを8万2500円でオプション装着したい。走りが一層機敏になるからだ。1.5LノーマルエンジンならではのMTを選ぶ手もある。

 以上のようにヤリスは、スポーツ派まで含めて、幅広いユーザーをターゲットにしている。ボディ剛性やサスペンションの取り付け剛性、それに基づく走行安定性など基本性能を入念に造り込んだから、6速MTで運転を安心して楽しめるコンパクトカーに仕上がった。

 ノーマルエンジンとハイブリッドは、ユーザーの好み、使い方、走行距離、予算に応じて選べばいいが、ほかのコンパクトカーでは得られないヤリス独自の個性を追求するなら、1.5Lノーマルエンジンになるだろう。

ガソリンモデルにするか、ハイブリッドにするかは好み、使い方、走行距離、予算に応じて決めるのが得策だが、走りの気持ちよさで選ぶなら1.5Lガソリンがオススメ

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