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【F1第21戦無線レビュー(1)】「彼はタイヤを交換できるんだよね」SC中のピットインが裏目に出たハミルトン

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【F1第21戦無線レビュー(1)】「彼はタイヤを交換できるんだよね」SC中のピットインが裏目に出たハミルトン

 2021年シーズンのF1第21戦は、初開催のサウジアラビアGP。決勝レースでは序盤から2度の赤旗中断を挟んで波乱の展開となった。タイトルを争うマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンも、セーフティカーや赤旗を挟んで順位が入れ替わり、ピリピリした様子を見せていた。サウジアラビアGP前半を無線とともに振り返る。

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F1 Topic:SCラン中に速度を落として走行したボッタスが罰せられなかった理由/サウジアラビアGPの疑問(1)

 初開催のサウジアラビアGPは、予選からすでに波乱含みだった。Q3最後のアタックで圧倒的な速さを見せていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が、最終コーナー立ち上がりでクラッシュ。メルセデスにフロントロウ独占を許す結果となった。

 ギヤボックスやパワーユニットへのダメージはなく、そのまま決勝レースに出場できたのは不幸中の幸いだった。

ジャンピエロ・ランビアーゼ:すべて大丈夫だ
マックス・フェルスタッペン:わかった

 しかしスタート加速は鈍く、順位を上げることはできない。こう着状態のままレースが進んでいったが、9周目のターン22でミック・シューマッハー(ハース)がクラッシュ。マシンは大破し、セーフティカー導入となった。

ゲイリー・ギャノン:大丈夫か
シューマッハー:大丈夫。……申しわけない

 SCの間に首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)が次々にタイヤ交換に向かう。ボッタスはピットイン前に、ハミルトンとの間隔を空けようと極端にスローダウンした。

フェルスタッペン:バルテリがものすごく遅い。これ、許されてないだろ
ランビアーゼ:そう思う
フェルスタッペン:ペナルティの対象だよ

 しかし審議の対象となることはなく、ステイアウトしたフェルスタッペンが首位に立った。

フェルスタッペン:SC、もっと速く走ってくれないかな。100km/hだよ

 まさかそこまで遅くはないはずだが、フェルスタッペンは苛立ちを抑えきれない。

 13周目、事故処理に時間がかかると判断したレースディレクターのマイケル・マシは、赤旗中断を決断した。

ハミルトン:これはつまり、彼はタイヤ交換できるってことだよね
ボニントン:残念ながら、そういうことだ

 ピットレーン上でハードに履き替えたフェルスタッペンは、労せずして首位をキープできることになった。メルセデス2台のSC中のタイヤ交換作戦は、完全に裏目に出たことになる。
ハミルトン:赤旗だ! タイヤバリアは、全然大丈夫に見えるのに。どうして赤旗なんだ! 理由は言ってるのか?
ボニントン:まだ何も聞いてない

 ハミルトンは戦略担当エンジニアのジェームズ・ボウルズを直接呼び出して、責め立てた。ボウルズの返答は、ほとんどしどろもどろだった。

ハミルトン:ジェームズ、あれはすごいギャンブルだったんじゃないのか?
ボウルズ:確かにリスクはあった。でもペレスもピットインしたし、トップ10の多くはピットに入った。確かに100%、意味があったとは言えない。赤旗が出る可能性はあったからね。でもそうなるとは予想していなかった。僕らは十分速い。これについては、あとで話し合おう

 角田はスタートでエステバン・オコン(アルピーヌ)と接触、8番グリッドから13番手まで後退していたが、ステイアウトして11番手まで順位を戻した。赤旗が出た際に、マシンにダメージがあるのか確認を依頼した。

角田:スタートで右リヤに接触された。チェックしてくれ
マッティア・スピニ:わかった。チェックしている

 ミディアムタイヤスタートのドライバーはほぼ全員ハードに履き替え、通常ならこのまま走り切れるはずだ。ボウルズが、「まだ勝てる」と、ハミルトンを励ます。

ハミルトン:みんなこれで最後まで行くよね
ボウルズ:最初のスティントですごくペースがあったから大丈夫だ。またSCが出るかもしれないしね

ハミルトン:ピットレーンで、スタート練習してるぞ

 すぐ前のフェルスタッペンがピットレーンで急加速したことを咎めるハミルトン。一方のフェルスタッペンもSCのスローペースや、ハミルトンが極端に間隔を空けることを責めていた。チャンピオン候補のふたりは、明らかにピリピリしている。

フェルスタッペン:SC、なんであんなにゆっくりなんだ。タイヤが温まらないよ!
フェルスタッペン:ルイスが10車身以上遅れてるよ。あれは許されてないだろ?

 15周目にレース再開。しかし先頭のフェルスタッペンはここでも加速が鈍く、ハミルトンがターン1でほとんど先行する。しかしフェルスタッペンはターン2をショートカットして、首位を死守した。前を塞がれたハミルトンは、オコンにもかわされ3番手に後退した。

ハミルトン:カットして前に出ている。俺が前だった
ボニントン:見てたよ
ハミルトン:接触を避けないといけなかった

 その後方では、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がウォールに突っ込み、クラッシュ。さらにニキータ・マゼピン(ハース)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の多重事故も発生した。これで2度目の赤旗中断となった。

ペレス:誰かがぶつかった。ルクレールだと思う
ヒュー・バード:そうだ。きみは、どうしようもなかった

シャルル・ルクレール:ペレスは僕がここにいるのを忘れてた!

レース前半で2度の赤旗中断。しかし波乱の展開は、まだ序の口だった。

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(2)に続く

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みんなのコメント

2件
  • ボッタスにあれだけ露骨にピットインを妨害させたのに
    そのせいで逆にフェルスタッペンを利してしまった皮肉。

    正々堂々正直にやったほうが良いことって
    レースに限らずよくあることですよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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