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スーパーカー新時代を築いたマクラーレン「F1」とブガッティ「EB110」は、ハイパーカーの予言だった

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スーパーカー新時代を築いたマクラーレン「F1」とブガッティ「EB110」は、ハイパーカーの予言だった

■ブガッティとマクラーレンの登場が、一気に新たな時代の扉を開いた!

 大人がブームの主役となった、日本での第二次スーパーカー・ブームは、バブル景気の崩壊によって一気に消え去ってしまう事態に追い込まれてしまったが、スーパーカーそのものは、世界各国で確実な進化を遂げてファンの目を楽しませていた。

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 そのなかでもまず注目しておきたい1台といえるのが、イタリアの田舎町、カンポガリアーノで復活を遂げたブガッティだ。ブガッティが1991年にデビューさせた「EB110」は、かつてランボルギーニ時代に、「カウンタック」を世に送り出したパオロ・スタンツァーニの手によるものである。

 エクステリアデザインの原案は、マルッチェロ・ガンディーニによるものとなれば、スーパーカーのコアなファンが心を動かされないわけはなかった。

 さらにこのEB110は、カーボンモノコックのミッドに3.5リッターのV型12気筒+4ターボエンジンを搭載。最高出力は初期モデルの「GT」でも560psに達し、さらにスタンツァーニの夢であった4WDの駆動方式を採用していた。それはまさにカウンタックの正常進化型といえたのだ。

 このようなモデルを見せつけられたのでは、老舗のライバルメーカーも黙ってはいられない。ランボルギーニはついに「カウンタック」をフルモデルチェンジし、1990年に後継車の「ディアブロ」を発表。

 ディアブロにもデビュー後すぐに4WD仕様が追加され、1990年代、そしてそれに続く21世紀のスーパーカーは、4WDが基本スタイルになるという想像をファンに強く意識させた。

 だが1994年、驚異のスーパーカーが突如、我々の前に姿を現すことになる。

 F1の世界ではお馴染みのビッグネーム、マクラーレンの名前を受け継いだマクラーレン「F1」である。

 当時F1マシンをデザインしていたゴードン・マレーが手がけた初のロードカーで、BMW製の6リッターV型12気筒エンジンをリアミッドに搭載。

 最高出力は627psで、超一流のエアエロダイナミクスを誇るボディとあいまって、最高速度は370km/hとされた(正確なデータは当時未発表だった)。

 RWDの駆動方式を頑なに継承したことやセンターコックピットなど、スーパーカーとしての魅力はまだまだほかにも数多くあった。

■少量生産または誰もが運転できるなど、スーパーカーは多彩なビジネスモデルを構築していった

 マクラーレンF1の存在を見て、あるいはその車両価格である100万ドル(約1億円)というプライスに刺激されたわけではないのだろうが、ここからさまざまな新しいスーパーカー・プロジェクトがライバルメーカーで立ち上がっていく。

 開発のスタート時期がほぼ同じならば、発表のタイミングもさほど大きく前後することはない。それが集中したのは2003年という年だった。

 2003年、それは1990年代から現在にまで続く、第三次スーパーカー・ブームがひとつの起点を迎えた年と評してもよいだろう。

 フェラーリはその前年、2002年に創業者の名を掲げた「エンツォ・フェラーリ」を399台の限定車として発表。

 フェラーリの限定車戦略は、その後もワンオフモデル以外に「ラ フェラーリ」や、新たにイーコナ・シリーズとネーミングされた、さらに生産台数の少ないモデル(ファーストモデルは500台未満の「モンツァSP1&SP2」)へとつながっていく。

 魅力的な製品を少量生産する手法は、今後プレミアム・ブランドがそのバリューを保つうえで重要な戦略となった。

 ランボルギーニにとって久々のスモールモデル、V10エンジンを搭載した「ガヤルド」や、ポルシェのスーパーモデル「カレラGT」がともにデビューを飾ったのも、2003年のジュネーブ・ショーだった。

 ランボルギーニはその先、12気筒モデルを「アヴェンタドール」に、10気筒モデルを「ウラカン」にフルモデルチェンジしたほか、「SUV」のウルスをラインナップに加えて万全の体制を確立した。

 ポルシェも伝統の「911」を着実に進化させたほか、カレラGTの後継車として「918スパイダー」を生み出している。

 かつてとは比較にならないほどの速さで、続々と市場へと投じられてくるスーパーカーは、普段乗りできる気軽さが受け入れられ、販売台数も右肩上がりとなる。

 そうなると、さらにそれを超越する存在として、ハイパーカーと呼ばれるジャンルまで確立されるに至った。より速く、より美しく、そしてより生産台数が限られた高価なハイパーカー。

 ハイパーカーはいま、世界のハイパーリッチにとって見逃せない、何よりも魅力的な趣味の対象となった。

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