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フェラーリがポルシェがランボルギーニが速さで「プリウス」に負ける! 大人気レースの「スーパーGT」では何が起こっているのか?

掲載 更新 17
フェラーリがポルシェがランボルギーニが速さで「プリウス」に負ける! 大人気レースの「スーパーGT」では何が起こっているのか?

 この記事をまとめると

■スーパーGTでは性能調整システム(BOP)を採用して車両の性能を制限している

あのロゴは何? スーパーGTのマシンに付いているスポンサーの正体とは

■BOPはFIA-GT3規定モデルを採用する多くのレースで採用されている

■BOPによってレースは混戦が演出されることになり最終戦まで熾烈なバトルが展開される

 スーパーGTではレースを面白くするためにBOPを採用

 以前、アウディR8のオーナーから、こんな質問を受けたことがある。

「スーパーGTのGT300クラスでは、なぜアウディR8がトヨタ・プリウスやスバルBRZ、トヨタ86に負けるのか? 市販モデルでは絶対に考えられないでしょ?」

 おそらく、ニッサンGT-RやホンダNSX、ポルシェ911に乗っている人たちのなかにも、同じ気持ちでGT300クラスを苦々しく思っているオーナーがいるのではないだろうか?

 確かに市販モデルの性能だけを考えてみれば、トヨタ・プリウスやスバルBRZ、トヨタ86は大排気量エンジンを搭載するスーパーカーを相手に勝つことは難しいかもしれないが、スーパーGTのGT300クラスに参戦するトヨタ・プリウスやスバルBRZ、トヨタ86は専用設計の純レーシングカーだ。

 これに加えて、スーパーGTでは独自の性能調整システム、BOPを採用。このBOPが市販モデルでは考えられないような”下克上”を生み出しており、スーパーGTのGT300クラスならではの混戦を演出している。

 ちなみに、BOP自体はFIA-GT3規定モデルを採用する多くのレースで採用されており、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパやインターコンチネンタルGTチャレンジでも性能調整が導入されている。事前のテストやレースのリザルトに応じて、最低重量や最低地上高、リストリクター系を設定しているが、FIA-GT3車両だけで争われるシリーズにおいても、「今年はポルシェ911では勝てない」とか「今年はアウディR8が有利」など不平不満の声は少なくない。

 ましてやスーパーGTのGT300クラスはFIA-GT3に加えて、日本独自のGT300(旧JAF-GT300)およびGT300マザーシャーシ(旧JAF-GT300マザーシャーシ)も出場しているだけに、独自の性能調整が必要で、そうなれば必然的にある程度の”ゆがみ”が生じてくることだろう。

 加えて、FIA-GT3を採用する多くのシリーズが指定タイヤのワンメイクコントロールが採用されているが、スーパーGTではGT500クラス、GT300クラスともに複数メーカーでタイヤの開発競争が行われていることも、この”ゆがみ”を助長させるひとつの要因となっているようだ。

 ハンデを背負わせることで最終戦までドキドキの展開を演出

 2021年のスーパーGTにアウディR8(6号車)でGT300クラスに参戦した本山 哲は、開幕戦の岡山を終えた時、「アウディR8はヨーロッパではパフォーマンスが高いけれど、GT300クラスでは独自の性能調整とタイヤ競争の影響でアドバンテージがあるわけではない。スーパーGTではかなり厳しい戦いになると思う」と語っていた。

 そしてその言葉どおり、2021年のGT300クラスでFIA-GT3勢が獲得した勝利は、開幕戦・岡山を制したニッサンGT-R(56号車)と第7戦・もてぎを制したアウディR8(21号車)の2勝のみ。残りの6勝はトヨタGRスープラとトヨタ・プリウス、スバルBRZ、ロータス・エボーラとGT300車両およびGT300マザーシャーシが分け合うなど、FIA-GT3勢が苦戦を強いられることとなった。

 以上、簡単に独自の性能調整とタイヤ競争について触れてきたが、2021年のGT300クラスでGT300車両およびGT300マザーシャーシが活躍した要因は、彼らのマシンのパフォーマンスが純粋に優れていたからにほかならない。

 タイトルを獲得したスバルBRZについては新型モデルのフォルムで空力性能が向上したほか、エンジンもブラッシュアップされていた。さらに、GRスープラも、2勝をマークした60号車、第2戦を制した244号車、勝てなかったとはいえ常に上位争いを左右した52号車といずれも著しい進化を遂げていた。第6戦を制したトヨタ・プリウス、第4戦を制したロータス・エボーラも細部まで熟成されていたことは言うまでもない。

 つまり、優勝したGT300車両およびGT300マザーシャーシも性能調整だけで勝てたわけではなく、あくまでも勝てるマシンに仕上げた各チームの開発能力と両ドライバーのポテンシャル、そして巧みなレースマネジメントで掴んだ勝利であったことを誤解なきように触れておきたい。

 なお、筆者はGT300クラスの性能調整とタイヤ競争を”ゆがみ”の要因と書いたが、一方で、その”ゆがみ”は”魅力”だと思っている。この独自の性能調整があるからこそ、GT300クラスは世界最多の車種バリエーションを誇るシリーズとして発展することができたし、ドラマチックなレースを演出することに成功している。これだけエンターテイメント性の高いカテゴリーは世界的に見ても珍しく、世界最速のGTカーと謳われるGT500クラスとともにGT300クラスも魅力的なレースと言えるだろう。

 2022年のスーパーGTはGT300車両のGRスープラの増加が予想されているが、FIA-GT3勢もマシンの熟成を極めているだけに、開幕戦から最終戦まで熾烈なバトルが展開されるに違いない。

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みんなのコメント

17件
  • プリウスって言ったって中身別物だからな。
  • 名前だけだしな。
    大昔のツーリングカー選手権のような、ほとんどの市販車が参加できるレースの方が楽しい。
    どのレースもワークスが強いのはしゃーない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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