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濃霧のアタック合戦。一閃魅せたロバンペラがトヨタ同士の僚友対決を逆転リード/WRCチリ デイ2

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濃霧のアタック合戦。一閃魅せたロバンペラがトヨタ同士の僚友対決を逆転リード/WRCチリ デイ2

 9月28日(土)、2024年WRC世界ラリー選手権の第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』のデイ2はスペシャルステージ(SS)7から12の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。

 デイ1では、全ての走行を終えた後、観客の保護を理由にキャンセルとなったSS1のノーショナル(想定)タイムが更新されたことによって、エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)を上回って総合首位に立った。

【順位結果】2024年WRC第11戦ラリー・チリ・ビオビオ SS12後

 迎えた二日目は、サービスパークのある『コンセプシオン』から南に移動したエリアが舞台となる。この一帯は、2023年大会でとくにタイヤへの攻撃性が高かった区域だ。

■チリの尖り岩が牙を剥く

 この日一本目のSS7『ペラン1』(15.65km)は、現地時間9時7分から開幕。朝日を遮る厚い雲で白む空のもと、デイリタイアからの再走となるマルティン・セスク(フォード・プーマ・ラリー1)が先頭でアタックを開始した。昨日同様、低速コーナーが続く登り区間や、流れるようなハイスピードセクションを次々に抜けて行く。

 各マシン、ソフトとハードを組み合わせたタイヤ選択で臨んだSS7では、総じてトヨタ勢が快調を披露。最速は総合首位エバンスとなり、僅差でセバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラ(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)が続く。

 一方、デイ1からタイヤトラブルに苦労したエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)は、「ぬかるんだコーナーでやや膨らんだラインを走行した」影響でリズムが崩れ、フロントバンパーが強く底打ちして脱落しまった。

 続くSS8『ロタ1』は、道幅がかなり狭いトリッキーなセクションが目立つ全25.64km。ここでもトヨタ勢のスピードは衰えず、ライバルチームに対するリードもさらに拡がるかという好調ムードが漂ったなかで、まさかの横槍がオジエを刺した。

 フィニッシュまで1kmを切った終盤、右、左と続くタイトコーナーに入るところで、ひとつ目のインを攻めたオジエは三角岩に右フロントタイヤを乗り上げてしまい、コントロールを失って外側の土手にヒット。無念にもマシンは土手に深く刺さって復帰は叶わず、ここでデイリタイアとなってしまった。

 さらに、暴れるマシンを何とか抑えていた様子のタナクも、豪快に動くリヤが狭い道幅をはみ出してしまいハーフスピンを喫する場面も見られた。マシンダメージは最小限に抑えたものの、総合では3番手へダウンしてしまう。


 ふたりの元王者に悲運が降りかかったSS8では、ロバンペラが9.7秒リードの驚速ステージウインをあげてタナクをパス。さらにエバンスが続くトヨタのワン・ツーとなった。

 午前中ラストのSS9『マリア・ラス・クルーセス1』(28.31km)は、標高の高い急な山を越えていく、今大会最長の一本だ。山頂付近では霧も深まり、場所によっては観客もカッパを羽織るレベルの小雨が降るコンディションとなった。

 ここでは、合わせこんだかのようにペースを上げてきたエバンスが、8.0秒リードのベストタイムを刻んでこの日2本目のステージウイン。総合のリードを11.3秒に広げた。2番手には同じくペースアップの選手権首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が続き、総合順位でも午前中のうちに2台をパスして総合4番手に浮上してくる。

■さらに深まるチリの霧。攻め切る走りが光る午後に

 サービスパークでのミッドデイ・サービスを経て迎えた午後のループステージは、昼前に始まった天候の急変が勢いを増すなかでの戦いとなった。

 SS10となるのは、午前にはラッピがバンパーを失った区間の再走である『ペラン2』。気温も徐々に上昇し、ここはやや視界も良好な様子だ。各クルーは、銘々の異なるタイヤ選択を吟味しつつアタックを進めていき、ここではエバンスがこの日3本目のステージウインでリードを13.6秒まで広げる。

 しかし、午前でもとくに荒れた区間の『ロタ2』(SS11)へ移動すると、これまでにないレベルの深い霧が出現していた。タイヤ戦略への懸念も隠れるほどの深い煙霧のなかを最速で駆け抜けたのは、選手権首位のヌービルとなる。


 さらに5秒差の2番手にはロバンペラが続いた一方、ラリーリーダーのエバンスは守りに徹したか24.1秒遅れの6番手タイムに沈み、ふたりの総合順位もスイッチ。ここで現王者ロバンペラが、第9戦ラリー・フィンランドの無念を晴らすべく先頭に躍り出た。

 この日最後のSS12『マリア・ラス・クルーセス2』では、深い霧に加えて雨脚も強まるなか、デイ1での遅着による1分加算ペナルティが足を引いているアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が一矢報いるステージウインをあげた。

 さらに僅差でロバンペラも続き、総合順位でのリードを15.1秒に広げてデイ2を締めくくっている。

 2024年にWRCが導入した新しいポイントシステムでは、土曜日時点での順位と日曜日のみの順位によってそれぞれポイントが付与される。

 今大会では、デイ2で首位を奪ったロバンペラが18ポイント、2番手エバンスは15ポイント、3番手タナクが13ポイント、以下10番手までが暫定得点を手にしている。ただ、これらのポイントを得るためにはラリーの完走が条件となるため、明日も油断は禁物となる。

 WRC2クラスは、デイ2も4台の強豪がせめぎ合う展開となった。SS7ではヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)、SS9ではオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)がそれぞれリードを奪い合う展開となったが、ソルベルグをタイヤパンクが襲った。

 そして、午後のループで勢いを増したニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)がSS11でふたたび巻き返し、クラストップの座を奪取している。16.8秒差の2番手にはガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)、さらに1.6秒差の3番手にロッセルがつけ、王座を狙うソルベルグはトップから1分の遅れを取って4番手となっている。

 総合優勝とスーパーサンデーのポイントをかけて争われるデイ3は、SS13からSS16までの全4本を予定。ステージの総走行距離は54.80km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は291.38kmだ。

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