2021年にデビューしたメルセデス・ベンツ 新型Cクラスに、新たなバリエーションとしてクロスオーバーの「オールテレイン」が加わった。ベースとなっているステーションワゴンからは、どう変わっているのだろうか。
日本仕様はディーゼルターボ+マイルドハイブリッドのみの設定
いまやDセグメントのベンチマークとなったメルセデス・ベンツ Cクラス。その元祖となる「190(W201)」の登場が1982年だから、ちょうど40年前のことになる。この40年で(190を含めた)Cクラスは全世界で累計1050万台を販売し、W205(ワゴンはS205)と呼ばれる先代は全世界で約250万台、日本でも累計約10万台以上を販売している。
新型メルセデス・ベンツCクラスと永遠のライバルたち。アウディA4、BMW3シリーズと乗り比べてみる
2021年に発表された新型Cクラス(W/S206)は、190から数えれば6代目、Cクラスという名が与えられてから5代目にあたる。世界的な半導体の供給不足の影響などでデリバリーが遅れてはいるが、日本での人気は上々。2022年2月末の段階で2000台強がオーナーの元に届けられ、そのうち半分強がディーゼル車だという。
そして今回、新たに加わったバリエーションがCクラス初のクロスオーバーモデル「オールテレイン」だ。日本仕様のオールテレインは2Lの直4ディーゼルターボにISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッドのみの設定。ディーゼルとISGによる組み合わせは初となる。
今回は同じパワーユニットを搭載したC220d ステーションワゴン(以下、ワゴン)と同時に試乗することができたので、その違いも合わせて報告していこう。
先代のイメージを踏襲しながらもサイズ的にはひとまわり大きくなり、立派になったCクラス。もはやW210と呼ばれた2代目Eクラス(1995年発表)とほぼ同じくらいのサイズになった。
オールテレインはワゴンをベースに、ボディパネルなどを共通とするが、クロスオーバーらしいモディファイを施されている。フロントグリルはメルセデス・ベンツSUVに共通するシングルルーバーとし、前後バンパーとアンダーガードは専用パーツに、マットダークグレーのホイールアーチとサイドシルガードがボディを取り囲む。
なんといっても最大の違いは、40mm高められた最低地上高と、駆動方式は前45:後55の固定トルク配分のフルタイム4WD「4マティック(4MATIC)」を採用していることだ。ちなみに、新型Cクラス ワゴン(日本仕様)はFRのみの設定となっている。
オールテレインとワゴンを並べて比べると、確かに車高が高い(というか、最低地上高が大きい)とは感じるが、ワゴンを無理矢理クロスオーバーにしたような違和感はない。車高が上がったとはいえ立体駐車場に収まる高さだし、エクストラパーツによるサイズアップもほんのわずか。まさにクロスオーバー、ワゴンとSUVのイイトコ取りといった印象の外観だ。
インテリアは、基本的にワゴンと変わらない。Sクラスに続く最新世代デザインを採用し、12.3インチのコクピットディスプレイと11.9インチのメディアディスプレイを採用し、物理的スイッチを簡素化したコクピットは、扱い方を覚えてしまえば問題ない。ワゴンとの最大の違いは、ドライブモードに「オフロード」と「オフロード+」を備え、悪路走破性を高めている点だが、残念ながら今回はドライのオンロードのみでの試乗だったため、その効果を試す機会はなかった。
4WDを選ぶならオールテレインしか選択肢はないが・・・
まずはオールテレインで走り出す。ディーゼル独特のエンジン音は市街地走行などでは感じられるし、高速走行でも「きわめて静か」というレベルではないが、ノイズは十分に抑えられている。もっとも、最近は電気自動車に乗る機会も増えているので、車内騒音に対する自分の尺度が少し変わっているような気もする。じつは1.5Lのガソリン直噴ターボエンジンを搭載したC180セダンにも乗ってみたのだが、C220dより極端に静かとは感じられなかったのだから。
ドライブモードは「コンフォート」がデフォルトだが、「エコ」でも街中で普通に走るのに不満はない。インジケーターを見ているとISGが効果的に作動しているようで、発進時などの極低速から2トン近い車重を感じさせず、スッと走り出して車速を伸ばす。アイドリングストップからのエンジン始動もISGのおかげで静かでスムーズだ。「スポーツ」にするとエンジンのレスポンスは向上し、ステアリングの手応えもしっかりする。ちょっとしたスポーツドライビングも問題なく楽しめる。
ドライのオンロードでは4WDの恩恵を感じる機会は少ないが、それでも少しタイトなコーナーなどを一定の操舵量で4WDらしくスッと回ってしまうと、その良さを再認識してしまう。SUVやクロスオーバーにありがちな、高い目線のためコーナリングでロールを大きく感じるようなこともない。
同じコースを、ワゴンでも走ってみた。こちらはFRで車両重量も50kg軽いから多少の軽快感はあるものの、絶対的に「軽い!」と感じるほどではない。ただ、ロードノイズは少し低められているようだ。ドライビング時の目線はわずかに低いものの、インパネまわりの景色は(セダンも含めて)変わらない。これは、そもそもCクラスの視界が良いため、オールテレインで目線が高くなっても、劇的に良くなったと感じさせなかったということだろう。
そしてなんといっても、190から続く歴代のCクラスに共通の、いや電気自動車も含めた大半のメルセデス・ベンツ車に共通する、懐の深い安心感のある乗り味は、ワゴンもオールテレインも変わらなかった。
さて、オールテレインとC220dワゴンの価格差は約90万円。パワートレーンも安全&快適装備もほぼ同じだから、その差額は4マティックとオールテレイン専用アイテム代と考えることができるが、前述のようにワゴンに4WDが設定されていないから、Cクラスで4WDが欲しいならオールテレインを選ばざるを得ない。
降雪期間の少ない地域に住んでいて、ウインターレジャーなどにクルマを使わないのなら、ワゴンでも十分だろう。でも、街中ではワゴンとして活用し、雪道やちょっとしたラフロードなどに出かける機会も多く、オールラウンドに楽しみたいというのなら、オールテレインは、その価格差以上のサムシングを与えてくれるに違いない。機会があれば、4WDのパフォーマンスを試してみたくなるクルマだった。(文と写真:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)
■メルセデス・ベンツ C220d 4マティック オールテレイン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1840×1495mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1900kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ+ISG
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15ps
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●WLTCモード燃費:17.9km/L
●タイヤサイズ:245/45R18
●車両価格<税込>:796万円
■メルセデス・ベンツ C220d ステーションワゴン アヴァンギャルド(AMGライン装着車) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4785×1820×1455mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ+ISG
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15ps
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●WLTCモード燃費:18.2km/L
●タイヤサイズ:前225/45R18、後245/40R18
●車両価格<税込>:705万円(AMGラインは32万6000円高)
[ アルバム : メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレインとワゴン はオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
5速MT搭載! トヨタ“新型”「超スゴいAE86」に反響多数! 「買う」「乗りたい!」 「パンダトレノ」に画期的「テンロクNAエンジン」搭載! 最新「GRトレノ」登場
「90万円」台から販売中! ダイハツ新型「軽ハッチ」に反響殺到! 「コスパ最強」「めちゃ低燃費」「MTも欲しい」の声も! 超オトクな「ミライース」に熱視線!
約180万円から! ダイハツ本気の「AWDスポーツカー」に反響あり! パワフルな「ターボ×専用エンジン」搭載! ド迫力ボディを“5速MT”で操る「辛口モデル」X4に大注目!
“約172万円”のホンダ新型「フィット」登場! 大人気「コンパクトカー」がやっぱりスゴイ! 全長4m級の「4代目モデル」の魅力とは
「世界一高い」日本の自動車諸税、ついに変えられる? カギは「国民民主党」!? 躍進で状況一変のワケ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
これでも売れるんだよね…