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Cクラスの「オールテレイン」と「ステーションワゴン」の価格差90万円はどこにある?【試乗】

掲載 更新 28
Cクラスの「オールテレイン」と「ステーションワゴン」の価格差90万円はどこにある?【試乗】

2021年にデビューしたメルセデス・ベンツ 新型Cクラスに、新たなバリエーションとしてクロスオーバーの「オールテレイン」が加わった。ベースとなっているステーションワゴンからは、どう変わっているのだろうか。

日本仕様はディーゼルターボ+マイルドハイブリッドのみの設定
いまやDセグメントのベンチマークとなったメルセデス・ベンツ Cクラス。その元祖となる「190(W201)」の登場が1982年だから、ちょうど40年前のことになる。この40年で(190を含めた)Cクラスは全世界で累計1050万台を販売し、W205(ワゴンはS205)と呼ばれる先代は全世界で約250万台、日本でも累計約10万台以上を販売している。

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2021年に発表された新型Cクラス(W/S206)は、190から数えれば6代目、Cクラスという名が与えられてから5代目にあたる。世界的な半導体の供給不足の影響などでデリバリーが遅れてはいるが、日本での人気は上々。2022年2月末の段階で2000台強がオーナーの元に届けられ、そのうち半分強がディーゼル車だという。

そして今回、新たに加わったバリエーションがCクラス初のクロスオーバーモデル「オールテレイン」だ。日本仕様のオールテレインは2Lの直4ディーゼルターボにISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッドのみの設定。ディーゼルとISGによる組み合わせは初となる。

今回は同じパワーユニットを搭載したC220d ステーションワゴン(以下、ワゴン)と同時に試乗することができたので、その違いも合わせて報告していこう。

先代のイメージを踏襲しながらもサイズ的にはひとまわり大きくなり、立派になったCクラス。もはやW210と呼ばれた2代目Eクラス(1995年発表)とほぼ同じくらいのサイズになった。

オールテレインはワゴンをベースに、ボディパネルなどを共通とするが、クロスオーバーらしいモディファイを施されている。フロントグリルはメルセデス・ベンツSUVに共通するシングルルーバーとし、前後バンパーとアンダーガードは専用パーツに、マットダークグレーのホイールアーチとサイドシルガードがボディを取り囲む。

なんといっても最大の違いは、40mm高められた最低地上高と、駆動方式は前45:後55の固定トルク配分のフルタイム4WD「4マティック(4MATIC)」を採用していることだ。ちなみに、新型Cクラス ワゴン(日本仕様)はFRのみの設定となっている。

オールテレインとワゴンを並べて比べると、確かに車高が高い(というか、最低地上高が大きい)とは感じるが、ワゴンを無理矢理クロスオーバーにしたような違和感はない。車高が上がったとはいえ立体駐車場に収まる高さだし、エクストラパーツによるサイズアップもほんのわずか。まさにクロスオーバー、ワゴンとSUVのイイトコ取りといった印象の外観だ。

インテリアは、基本的にワゴンと変わらない。Sクラスに続く最新世代デザインを採用し、12.3インチのコクピットディスプレイと11.9インチのメディアディスプレイを採用し、物理的スイッチを簡素化したコクピットは、扱い方を覚えてしまえば問題ない。ワゴンとの最大の違いは、ドライブモードに「オフロード」と「オフロード+」を備え、悪路走破性を高めている点だが、残念ながら今回はドライのオンロードのみでの試乗だったため、その効果を試す機会はなかった。

4WDを選ぶならオールテレインしか選択肢はないが・・・
まずはオールテレインで走り出す。ディーゼル独特のエンジン音は市街地走行などでは感じられるし、高速走行でも「きわめて静か」というレベルではないが、ノイズは十分に抑えられている。もっとも、最近は電気自動車に乗る機会も増えているので、車内騒音に対する自分の尺度が少し変わっているような気もする。じつは1.5Lのガソリン直噴ターボエンジンを搭載したC180セダンにも乗ってみたのだが、C220dより極端に静かとは感じられなかったのだから。

ドライブモードは「コンフォート」がデフォルトだが、「エコ」でも街中で普通に走るのに不満はない。インジケーターを見ているとISGが効果的に作動しているようで、発進時などの極低速から2トン近い車重を感じさせず、スッと走り出して車速を伸ばす。アイドリングストップからのエンジン始動もISGのおかげで静かでスムーズだ。「スポーツ」にするとエンジンのレスポンスは向上し、ステアリングの手応えもしっかりする。ちょっとしたスポーツドライビングも問題なく楽しめる。

ドライのオンロードでは4WDの恩恵を感じる機会は少ないが、それでも少しタイトなコーナーなどを一定の操舵量で4WDらしくスッと回ってしまうと、その良さを再認識してしまう。SUVやクロスオーバーにありがちな、高い目線のためコーナリングでロールを大きく感じるようなこともない。

同じコースを、ワゴンでも走ってみた。こちらはFRで車両重量も50kg軽いから多少の軽快感はあるものの、絶対的に「軽い!」と感じるほどではない。ただ、ロードノイズは少し低められているようだ。ドライビング時の目線はわずかに低いものの、インパネまわりの景色は(セダンも含めて)変わらない。これは、そもそもCクラスの視界が良いため、オールテレインで目線が高くなっても、劇的に良くなったと感じさせなかったということだろう。

そしてなんといっても、190から続く歴代のCクラスに共通の、いや電気自動車も含めた大半のメルセデス・ベンツ車に共通する、懐の深い安心感のある乗り味は、ワゴンもオールテレインも変わらなかった。

さて、オールテレインとC220dワゴンの価格差は約90万円。パワートレーンも安全&快適装備もほぼ同じだから、その差額は4マティックとオールテレイン専用アイテム代と考えることができるが、前述のようにワゴンに4WDが設定されていないから、Cクラスで4WDが欲しいならオールテレインを選ばざるを得ない。

降雪期間の少ない地域に住んでいて、ウインターレジャーなどにクルマを使わないのなら、ワゴンでも十分だろう。でも、街中ではワゴンとして活用し、雪道やちょっとしたラフロードなどに出かける機会も多く、オールラウンドに楽しみたいというのなら、オールテレインは、その価格差以上のサムシングを与えてくれるに違いない。機会があれば、4WDのパフォーマンスを試してみたくなるクルマだった。(文と写真:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

■メルセデス・ベンツ C220d 4マティック オールテレイン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1840×1495mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1900kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ+ISG
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15ps
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●WLTCモード燃費:17.9km/L
●タイヤサイズ:245/45R18
●車両価格<税込>:796万円

■メルセデス・ベンツ C220d ステーションワゴン アヴァンギャルド(AMGライン装着車) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4785×1820×1455mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ+ISG
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15ps
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:軽油・66L
●WLTCモード燃費:18.2km/L
●タイヤサイズ:前225/45R18、後245/40R18
●車両価格<税込>:705万円(AMGラインは32万6000円高)

[ アルバム : メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレインとワゴン はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

28件
  • 肥大化を繰り返して今では昔のEクラスよりでかくなりました。従来のCクラスとして見るとデカい高いで終わってしまうので、昔のEクラスの生まれ変わりと考えた方がよさそうです。
  • 残念ながら、ワゴンを無理やり感が…
    これでも売れるんだよね…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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