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なぜディーゼルの信頼回復? 石原元都知事に悪者にされた復権の歴史

掲載 更新 13
なぜディーゼルの信頼回復? 石原元都知事に悪者にされた復権の歴史

■かつてディーゼル車は黒煙をまき散らしていた?

 かつて黒煙やススを出して走る印象が強かったディーゼルエンジンですが、現在では低燃費なうえ月々の燃料費も抑えられるという良い印象が定着化してきました。

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 これまでに、ディーゼルエンジンに関するさまざまな規制が実施されてきたなかで、どのようにして印象を復活させてのでしょうか。

 ディーゼルエンジンは、ガソリンよりも経済的な軽油を使用し、大きなトルクを得られることから、トラックやバスなど大型のクルマに使われています。

 1999年、当時の東京都知事だった石原慎太郎氏が、黒い粒子が詰まったペットボトルを見せました。その中身はディーゼル車の出した煤煙などとされ、これをきっかけに、ディーゼルエンジン車を規制する「ディーゼル車NO作戦」がスタートしました。

 当時のディーゼル車のなかでも、トラックやバスなどのマフラーから排出される黒い煙には、主にふたつの有害な大気汚染物質が含まれていたとされています。

 ひとつは「PM」と呼ばれる粒子状物質、ふたつめは「NOx」と呼ばれる窒素酸化物です。PMは燃焼時に発生する粒上の物質で、光化学スモッグの原因ともいわれています。

 NOxは、高温になると発生しやすくなり、大気汚染の原因ともいわれています。ディーゼル車NO作戦は、これらのPMとNOxなどを減らす目的で進められました。

 東京都環境局によれば、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都環境確保条例)」を定め、国に先立つ形で厳しいディーゼル車の規制をおこなったとされています。

 東京都のディーゼル車規制は2003年10月から実施され、トラックなどの「貨物自動車」、バスやマイクロバスなどの「乗合自動車」、コンクリート・ミキサー車などの「特種用途自動車」が規制の対象となり、条例で定める基準を満たさないディーゼル車は、東京都内の走行を禁止されてしまいました。

 その後、ほぼ同様の規制を、埼玉県、千葉県、神奈川県が実施し、ディーゼル車のイメージは、良いとはいえないものでした。国土交通省によれば、ディーゼル車に関する規制は、2005年に「新長期規制」、2009年に「ポスト新長期規制」が実施され、最近では2015年に排出基準のさらなる強化が実施されました。

 しかし、自動車メーカーでは新技術の開発や投入によって、これらの規制をクリアしています。

 ディーゼル車ではPMとNOxを同時に低減することは難しいとされています。PMは高い温度で軽油を燃焼させれば処理できますが、NOxが発生しやすくなります。逆に低温で燃焼させればNOxが減る代わりにPMが出てしまいます。それを解決するため、NOxを減らす尿素SCRと呼ばれる装置や、PMを減らすDPFという装置が開発されました

 また、ディーゼル車の燃料である軽油には、硫黄が含まれています。硫黄は、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)へ悪影響を及ぼすともされており、そのため硫黄の含有率を下げる改質の取り組みもおこなわれています。出光興産では、2005年の新長期規制に先がけて、2003年より低硫黄軽油を製造していたとされています。

※ ※ ※

 高度経済成長期、東京では青空が見えないほどの光化学スモッグに覆われることもあったとされています。

 ディーゼル車は、そうした大気汚染の原因のひとつとされ、石原慎太郎氏の黒いペットボトルと共に、「環境に悪いクルマ」と印象付けられました。

 しかし、自動車業界や燃料業界は、排気ガスに関わる課題を解決し、現在では黒煙を出すディーゼル車はほとんど見られなくなったのです。

■最近のディーゼル車に対する印象は?

 乗用車は、トラックやバスに比べれば小型ですが、ディーゼルエンジンのトルクや燃費の良さといったメリットは充分に受けられます。

 しかし、以前までの国産車では、RVやクロスカントリー車(現在のSUV)などの一部の車種を除いて、ディーゼルエンジンを搭載した乗用車はなかなか普及しませんでした。その原因はどこにあるのでしょうか。

 あるマツダ販売店のスタッフは、以下のように話します。

「ディーゼル車は黒煙やススが多く、環境に悪い印象をお持ちのお客さまもいらっしゃいました。現在ではガソリン車と乗り比べても、ほとんど差を感じることはできないレベルになっていますが、昔の悪いイメージがあるのかもしれません。また、お客さまのなかにはディーゼル車に特有の煙のほかにも、音や振動を気にされる方が多いです」

 ディーゼルNO作戦が実施される以前のディーゼル車を知っているユーザーは、「ディーゼル車は黒煙やススが多い」という認識を持つ人もいるようです。

 マツダでは、自社のディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」を、高効率クリーンディーゼルエンジンとして、主力車種に搭載しています。

 このディーゼルエンジンについて、前出のマツダ販売店のスタッフは以下のようにも話します。

「いまのディーゼルエンジンは、ガソリン車と比べて遜色ありません。ガソリン車は、アクセルに対するレスポンスや出足が良いため、街乗りに向いています。ですが、長距離を運転する場合は、高速道路で安定したパワーが出るディーゼル車をお勧めします。

 また、ガソリンと軽油の価格差が以前より小さくなっているため、長距離を移動される人ほど元が取れるため、ディーゼルエンジンのメリットが大きいです」

 マツダは、2019年にディーゼルエンジン搭載車の国内販売が50万台を超えたと発表しました。しかし、ディーゼル車特有の問題もあるとされており、ある中古車販売のスタッフは、ディーゼル車について以下のようにも話しています。

「ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて、構造上頑丈に作る必要があります。そのため車重が重くなるうえ、コストも上がる傾向にあります。例えば『マツダ2』では、ガソリン車よりもディーゼル車の方が重く、価格も数十万円上がります。

 また、ガソリン車に比べて頻繁なオイル交換を推奨しています。これは、燃えカスやススが溜まってしまうためで、そのままにしておくと振動が大きくなる原因になります。『ずいぶん乗ったな』と感じた際には、オイル交換をすることを頭の片隅に置いておく必要があります」

※ ※ ※

 現在では、マツダ車以外にトヨタ「ランドクルーザープラド」、三菱「デリカD:5」、「エクリプスクロス」といった車種にディーゼルエンジンが搭載されています。

 多くのユーザーにとって、ディーゼル車は身近なものではありませんでした。そのため、ガソリン車と同じ感覚で乗っていると、思わぬトラブルに見舞われることがあるかもしれません。

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みんなのコメント

13件
  • お膝元の欧州や大市場の中国でディーゼル車が売り辛くなったものだから、
    舶来物に弱い日本人にディーゼル車を売りつけようとする欧州メーカーと、
    そのお先棒を担いでメシの種にしようとする日本のメディア関係者による
    プロパガンダだね。
  • 今でも相変わらず悪者ですよ。
    肺がん患者の増加が止まらない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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