リアルの航続距離は300~400km
日本にも電動化時代が本格的に訪れそうです。トヨタから「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」という量産EVが登場したのです。共同開発されたスバル「ソルテラ」も同タイミングで登場したことで、両社がEVの本格的な市販化に踏み出したことになります。
そして先日、朝から夕方までbZ4Xとソルテラを公道試乗する機会がありました。それぞれの特徴を紹介しながら、50代である筆者がおじさん世代におすすめできるのは、どちらのモデルかということを考えてみたいと思います。
意外!? 新型スバル ソルテラとトヨタ bZ4Xは良くできたEVだがパワーは控え目。試乗で見えた開発の裏側や満充電時の気になる点とは?
まず、全体のプロフィールですが、電気自動車として気になるバッテリー総電力量は71.4kWh。駆動方式は前輪駆動と四輪駆動の2種類で、前輪駆動は最高出力150kW(204ps)のフロントモーター、四輪駆動は前後に80kW(109ps×2個)のモーターを配するという構成になっています。
ミドルサイズのSUVとしては十分にパワフルですが、テスラなど超絶パフォーマンスの電気自動車とは一線を画す、エンジン車から乗り換えても違和感のない程度のスペックに抑えられているという印象です。
カタログスペックの一充電航続距離は487km~567kmとなっていますが、試乗した限りでは電費は6~7km/kWhという感じでした。おおよそ300~400kmは電欠を心配せずに乗れるというところでしょうか。
>>スバル ソルテラのカタログ情報をチェックする
>>トヨタ bZ4Xのカタログ情報をチェックする
ソルテラはパドルスイッチを装備するなどスポーティな味付け
さて、bZ4Xとソルテラ両車の違いはフロントマスクにあります。bZ4Xはグリルレスのいかにも電気自動車的なスタイルになっていますが、ソルテラはスバルのアイデンティティである6角形のグリルデザインを採用してイメージを変えています。ただし外観では前後の意匠以外は共通していますから、当然ながらパッケージングの面でも同じ2台といえます。
メカニズムでソルテラだけに備わっているのがパドルスイッチです。これは回生ブレーキ(モーターで発電しながら減速する機能)の強さを4段階で切り替えられるというもので、まるでエンジン車のパドルシフトのような感覚が味わえます。また、ドライブモードについてもbZ4Xはノーマルかエコの2モードですが、ソルテラはパワー・ノーマル・エコの3モードになっていて、スポーティに仕上げることで差別化しているようです。
パワーステアリングやサスペンションのセッティングも異なっていて、ソルテラのハンドルはグッと重さを感じるものですし、よりキビキビと走る足回りになっています。そのため乗り心地はbZ4Xのほうがマイルドになっています。
>>スバル ソルテラのカタログ情報をチェックする
>>トヨタ bZ4Xのカタログ情報をチェックする
価格だけで選ぶとソルテラが少しだけ安い
このように、デザインだけでなく、走り味も考慮して選びたい2台なので、「兄弟車で中身は同じなのだから相見積をとって安いほうで買えばいいや」というわけにもいきません。
そもそもbZ4Xはトヨタ系のサブスクサービス「KINTO(キント)」の専売モデルとなっていて、厳密には“買う”ことができず、一定期間(最長10年)のサブスク利用を前提としています。一方、ソルテラは通常の販売方法となっています。
<価格>
bZ4X・・・・・・FWD:600万円/4WD:650万円(シングルグレード)
ソルテラ・・・・FWD:594万円/4WD:638万円(ET-SS:ベースグレード )
4WD:682万円(ET-HS:上級グレード)
KINTOに10年乗った場合の維持費は年36万円
これだけを見ると、ソルテラのほうが若干ながらお値打ちな気もしますが、bZ4Xのサブスクにかかるコストを見てみなければ結論は出せません。
KINTOでbZ4Xに乗った場合に必要な支払額は、補助金なしで考えた場合10年間で963万7320円となります。車両価格が600万円だとすると、10年間で363万7320円の維持費が必要になると計算することもできるでしょう。
年間に均すと約36万円の維持費の内訳は、自動車税(年間2万9500円)や任意保険、車検、メンテナンス、各種消耗品、コネクティッドサービスの利用料などに加えて、10年20万kmのバッテリー保証もプラスされます。
年間36万円相当のコストをどう捉えるかは人によって異なるでしょう。ポイントになるのは任意保険の料率。任意保険は長く加入していて、保険を使うような事故などを起こしていなければ割引率が上がり、結果として保険料が安くなります。料率が最高レベルになっているユーザーの感覚で試算すると、年間36万円というのは割高に感じるでしょう。
さらに、bZ4Xはサブスクサービスなので、契約終了時には返却することになります。一方、ソルテラは残価のあるうちに下取りや買取りに出すことも可能。こうして戻ってくる金額まで考慮にいれると、bZ4Xとソルテラの総コストはさらに差が開きます。
つまり任意保険の料率が高い人は、スバル版のソルテラを検討するほうがトータルでのコストを抑えられる可能性があるといえます。それが“おじさんにソルテラを勧める”最大の理由です。
さらにいえば、前述したようにソルテラにはパドルスイッチが備わり、足回りも引き締められています。このあたりも、おじさん世代が好むようなスポーティな味つけになっているといえるのではないでしょうか。
>>スバル ソルテラのカタログ情報をチェックする
>>トヨタ bZ4Xのカタログ情報をチェックする
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
写真:
1~5枚目:スバル ソルテラ
6~7枚目:トヨタ bZ4X
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? 新ビジネスになりそうな“もしものサービス”とは?
左折するのに右にハンドルを切るのは道交法違反!?「右振り左折」は安全面・マナー面的にも悪癖なので改めましょう
日産「新型スポーツSUV」まもなく登場へ! 430馬力超え×「GT-Rの技術」融合!? 6月発売の最強”フラッグシップ” 新型「アリア NISMO」 どんなクルマ?
“日本で売るの?” なぜ「中国メーカー・ジーリー」が日本で試乗会開催? セダン&SUVのHV上陸!? 乗った印象はいかに
2023年 欧州でリコールの多かった自動車ブランド 20選 1車種で「9件」発生も
みんなのコメント
そもそもEVを販売してるメーカーの怠慢が招いている問題だ。
メーカーへは一台販売する毎に充電設備を一台の設置を義務づける必要がある。
そうしなければ給付金だけをせしめるだけになったままで普及なんかしない悪循環が永遠に続いていく。