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アウディの新型電動SUV「Q6 e-tron」シリーズがワールドプレミア

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アウディの新型電動SUV「Q6 e-tron」シリーズがワールドプレミア

 独アウディAGは2024年3月18日(現地時間)、新型電動SUVの「Q6 e-tronクワトロ」と高性能バージョンの「SQ6 e-tron」を本国で発表した。

 新型Q6 e-tronは、ポルシェと共同開発した新しい電気自動車用プラットフォームのプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)とE3 1.2電子アーキテクチャーを最初に採用するEVモデルで、パワートレインには800Vの主電源システムにパワフルで効率的な電気モーター、革新的なバッテリーと充電管理システム、新開発の電子アーキテクチャーを搭載する、アウディの電動化とデジタル化における次の大きなステップを体現する新世代の電動SUVに位置。また、アウディが本社を構えるバイエルン州のインゴルシュタットの工場で生産する初の電気自動車というキャラクターも有している。

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 注目のパワートレインは、パワフルかつコンパクトで高効率な電気モーターに、800Vテクノロジーおよび12のモジュールと180のプリズムセルで構成した総電力量100kWhの新開発リチウムイオンバッテリーを搭載。モーター総出力はQ6 e-tronクワトロが285kW(387hp)、SQ6 e-tronが380kW(516hp)を発生する。また、クワトロ(4輪駆動)システムはリアアクスルへの配分を重視。同時にさらなるグリップ力とドライビングダイナミクスを確保するために、リアタイヤにはフロントタイヤよりも幅広いタイヤを装着した。充電については、11kWのAC充電(オプションで22kWも設定)と270kWのDC充電に対応。400Vの充電ステーションを利用した際にバンク充電と呼ばれる機能が起動し、800Vのバッテリーは自動的に同じ電圧の2つのバッテリーに分割されて最大135kWの出力で並列充電する。最適な急速充電(High Power Charging:HPC)ステーションを使用した際は、10分ほどの充電で最大255kmの距離を走行することが可能。また、約21分で充電レベル(state-of-charge:SoC)10%の状態から80%にまで充電できる。加えて、最新のPlug&Charge機能により、互換性のある充電ステーションに充電ケーブルを差し込むと、ステーションは車両を自動的に認証して充電プロセスを開始するという、充電を完全に自動で行う仕組みも導入した。さらに、日常走行のすべての制動プロセスの約95%を回生ブレーキによって行い、最大220kWのエネルギーを回生できるシステムを採用して、航続距離の延長を図る。一充電航続距離は、欧州WLTPモードでQ6 e-tronクワトロが625km、SQ6 e-tronが598kmを実現。性能面では、Q6 e-tronクワトロが最高速度210km/h、0→100km/h加速5.9秒を、SQ6 e-tronが最高速度230km/h、0→100km/h加速4.3秒を達成した。

 車両のデジタル化をこれまで以上に直接体験することができるE3 1.2電子アーキテクチャーを初採用したことも、Q6 e-tronシリーズのアピールポイント。E3という名称は、エンドツーエンドの電子アーキテクチャー(end-to-end electronic architecture)を意味。機能指向のアーキテクチャーは、5台の高性能コンピュータ(HCP:ハイパフォーマンス コンピューティング プラットフォーム)を備えた新しいドメインコンピューター構造に基づいており、インフォテインメントや運転機能から、将来の部分的自動運転に至るまで、すべての車両機能を制御する。演算能力において、これまでで最も高性能なこの電子アーキテクチャーは、ユーザーの要件をスムーズかつ効率的に実現するように設計。より高度なシステムに対応し、モジュール構造をサポートするためにドメインコンピューター、制御ユニット、センサー、アクチュエーターを緻密かつ安全にネットワーク化した。また、E3 1.2はCar-to-Xスワームデータアプリケーションとオフボード(車外)計算機能を実行するための、高性能でシームレスなバックエンド接続機能も実現している。

 シャシー面については、コントロールアームをサスペンションアームの前方に配置したことが特徴。これは、特に高電圧バッテリーの配置に関するパッケージに利点をもたらす。また、新開発の電動コンポーネントにより動的な特性をより高めた。一方で操舵機構では、ステアリングラックをサブフレームに固定。合わせてアクスル構造の改善により、ドライビングダイナミクスを大幅に向上させた。

 エクステリアに関しては、長いホイールベースと短いオーバーハングで構成する力強くダイナミックなパッケージによるアウディのSUVデザインの典型を踏襲したうえで、随所に新しいデザイン言語を導入する。基本フォルムは全体的にソフトな形状に、シャープなラインとエッジを配して絶妙なコントラストを形成。アップライトなフロントエンドには、完全に閉じられたシングルフレームグリルを設置し、そのマスクカラーにはセレナイトシルバーまたはグロスブラックの2種類を設定して、立体的な造形のシングルフレームおよびサイドエアインテークを取り囲む。また、高い位置に配備したデジタルデイタイムランニングライトがQ6 e-tronシリーズに特徴的かつオリジナリティあふれる眼光をもたらした。

 一方でウィンドウエリアは、力強い形状でボディ後方へと延びて緊張感を創出。ウィンドウ自体は車両後方に向かってわずかに細くなっており、緩やかに傾斜したDピラーがボディワークの筋肉質なショルダー部分にエレガントに流れ込んでいる。また、Dピラーとルーフ間に設置した開口部は、車両の外観をよりダイナミックに演出するとともにキャビンをいっそう長く見せる役割を果たす。さらに、リアコンビネーションランプからリアドアへと延びるラインによって、緩やかに傾斜したDピラー下部の“クワトロブリスター”を強調させた。アウディはこのデザインの指針を「テクノロジーの可視化」と呼称する。そして、ダイナミックに絞り込んだリアエンドは、エレガントでスポーティな雰囲気と、力強い造形を巧みに融合。左右を結ぶライトストリップを備えたクリーンで幅広いリアコンビネーションランプも、Q6 e-tronシリーズに先進的かつシックな印象を与えている。ボディサイズは全長4771×全幅1939×全高1648mm、ホイールベース2899mmに設定した。

 世界初のアクティブデジタルライトシグネチャーを備えた点もトピック。Q6 e-tronシリーズには5台のドメインコンピューターを搭載し、その内の1台によって制御されるソフトウェアモジュールにより、この新しいライトシグネチャーを可能とする。フロントライトでは、調光可能な12のセグメントとアルゴリズムの相互作用によってアクティブデジタルライトシグネチャーを作成。一方で第2世代のデジタルOLEDリアライトでは、合計360のセグメントを備えた6枚のOLEDパネルが専用開発のアルゴリズムを使用して10ミリ秒ごとに新しい画像を生成する。また、デジタルOLEDリアライトは路上での安全性を新たなレベルへと引き上げたことも訴求点。今回初めて、特定の目的で車両の周囲とコミュニケーションを取れるよう、コミュニケーションライトを設定する(Car-to-X)。他のアウディモデルに既に採用している近接検知システムの機能をさらに拡張したコミュニケーションライトは、通常のテールライトグラフィックスに加えて、危険な運転状況または交通状況が発生した場合にデジタルOLEDリアライトが警告シンボルをスタティック(静的)テールライトシグネチャーとして表示する機能を組み込んでいる。なお、今回採用したライティングテクノロジーは、カスタマイズの面でも新たな基準を創出。マトリクスLEDヘッドライトのデイタイムランニングライトとデジタルOLEDリアライト2.0には、合計で最大8種類のデジタルライトシグネチャーを設定し、ユーザーはまったく新しい方法でQ6 e-tronシリーズのライティングをカスタマイズすることを可能としている。

 インテリアについては、立体的かつハイコントラストな新しいデザイン哲学と新世代のデジタルステージを採用したことが注目ポイントだ。アウディMMIパノラマディスプレイとMMIパッセンジャーディスプレイで構成する、いわゆるデジタルステージは、インテリアのデザインコンセプトと完全に統合され、明るく広々としたスペース感覚を創出する。スリムな独立型アウディMMIパノラマディスプレイは、曲面デザインとOLEDテクノロジーを特徴とし、11.9インチのアウディバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成。運転席エリアは曲線を基調にしてデザインし、ディスプレイがドライバー側に向けて緩やかにカーブする。このディスプレイは、アンビエントライトの効果により、夜になると宙に浮かんでいるように見え、また、操作も最適化される。一方で助手席前には、アクティブプライバシーモードを備えた10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイを装備。これにより運転中にドライバーの注意が散漫になることを防止し、合わせて助手席の乗員が映画を観たり、ビデオコンテンツをストリーミング再生したり、ドライバーにナビゲーションのルート案内を伝えたり、充電ステーションを見つけたりすることを可能とした。

 デジタルステージでは、飛躍的な進化を遂げた拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイをオプション設定したことも注目点。ドライバー前方のフロントガラスに対角約88インチの大きさで映像を映し出し、そこに、速度、道路標識、各種アシスタンスシステムの情報、ナビゲーションシステムのシンボルなどを表示する。拡張現実ディスプレイの機能をさらに高めるために、画像は前方に傾けて配置。ドライバーは表示される情報に簡単に焦点を合わせることができる。また、このプロセスと画像の仮想距離を遠くに設定したことにより、表示されるエレメントが車両から最大200m離れたところに浮かんでいるような印象を演出。そのため、仮想コンテンツは現実世界とシームレスに統合され、ドライバー、イライラしたり、気を散らしたりすることなく、情報を素早く理解することを可能とした。

 インフォテインメントシステムの面では、Android Automotive OSを初採用する。OTA(over the air:無線)アップデートにより、コンテンツは常に最新の状態を保持。もちろんAudi connect serviceや機能を強化したe-tronルートプランナーも最新の状態をキープし、さらにYouTubeなどのアプリはMMIに直接統合されているサードパーティアプリのストアから入手可能で、スマートフォンと車両を接続する手間が省けるようにアレンジした。

 キャビン空間自体はアットホームな雰囲気を重視し、“ソフトラップ”と呼ぶトリムはドアからコクピット全体を通ってセンターコンソールにまで広がり、調和の取れた、乗員を包み込むようなスペース感覚を具現化する。シートにもトリムと同様のカラーと高品質な素材を使用し、その一部にはリサイクル素材を配備した。さらに、使用する素材は機能的な観点から選択するとともに、インテリアの様々なエリアの間で明確なデザインの区分けが行えるように設定。快適性を重視したエリアでは広々とした雰囲気を強調した表面と柔らかい素材を用いてデザインし、一方でコントロール類には高品質なハイグロスブラックを採用して、車両との対話に必要な明確さを実現している。スペース自体は新しいPPEの採用により、広々としたスペース感覚と居住性を両立。ロングホイールベースにセンタートンネルがない電気自動車の特徴により、とくにリアシート中央席の快適性が大きく向上する。ラゲッジ容量は526リットルを確保。40:20:40分割可倒式リアシートを折りたたむと、最大1529リットルまで拡大する。また、ボンネット下のフランク(フロントのトランク)には、64リットルの収納スペースを設定した。

 ドライバーアシスタンスシステムも大幅な進化を遂げる。新しい機能として、アダプティブドライビングアシスタントプラスを採用。このシステムは加速、一定速度の維持、車間距離の維持、レーンガイダンスだけでなく、クラウド上に集約された高解像度地図データや他の車両のスワームデータを活用して運転をサポートする。また、車両は収集した情報を元に仮想ルートを作成し、あらゆる速度域および渋滞時においても、可能な限り快適かつ確実なルート走行を実現した。さらに、リアパーキングアシストやクルーズコントロール、車線逸脱ワーニング、エフィシェンシーアシスト、アクティブフロントアシスト、集中力欠如および眠気警報システムなどを標準で採用。装備パッケージの一部として、追加のアシスタンスシステムやセーフティパッケージもオプションで用意している。

 なお、新型Q6 e-tronクワトロおよびSQ6 e-tronの本国での受注は本年3月から開始し、ユーザーへの納車は今夏からを予定。日本への導入時期などは、遅れてアナウンスする予定である。

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みんなのコメント

4件
  • 浩美
    上品で、エレガントな、アウディデザインか好きです❤️
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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