少しだけ大きくなったボディにホンダ史上最大級の空間性能を詰め込みながら、シンプルデザインで優れた機能性をアピールする新型ステップワゴン。初試乗の舞台は一般道オンリーだったけれど、洗練された走り味と類まれな居心地の良さ、便利な機能をチェックすることができた。
2車型3タイプ×パワーユニット2種類のシンプルなバリエーション
新型ステップワゴンでは、直4ターボ(FFと4WD)/e:HEV(FFのみ)ともに2タイプのボディメイクが用意されている。ひとつは従来の標準車に当たるナチュラルテイストの「エアー」で、もうひとつがほどよくスタイリッシュ感を増した「スパーダ」だ。
「AIR(エアー)」はまさに「シン・ステップワゴン」。時代の空気を読むカタチと色の魅力を、まずはじっくり味わってみた
さらにスパーダには仕様違いで、17インチホイールなど装備の一部がより上級となる「プレミアムライン」が設定される。全グレードが2列目にキャプテンシートを備えた7人乗りが標準だが、エアーとスパーダでは2列目ベンチシートの8人乗りを選ぶことができる。
とはいえ同じエンジンなら、価格差がそれほど大きくないところが興味深い。たとえばスパーダとエアーの価格差はおよそ20数万円であり、プレミアムラインはそこからさらに10数万円の上乗せでしかない。
留意すべきは、エンジンをはじめとする基本的なメカニズムについては、大きくは差別化されていないということだろう。そんなシンプルでわかりやすいバリエーション展開に合わせて、まずは総論、ミニバンとしてもっとも気になる「空間性能」の進化について検証してみよう。
大きくなって広くなった、だけじゃない「お部屋感覚」の心地よさを徹底
6代目となった新型ステップワゴンは、全体的にひとまわり大きくなっている。全長はおよそ100mm拡大、全幅も55mm広い3ナンバーサイズとなった。ただしホイールベースは変わらず最小回転半径は従来モデルと同等に保たれているので、取り回しに不満を感じることはないだろう。
サイズアップに伴って大きく謳われているのは「国内ホンダ車史上、最大の空間性能」だ。とはいえそもそも上下左右方向に余りあるゆとりを備えていることは、歴代ステップワゴンにとっては「当たり前」。今回の試乗でも、乗り込んだ瞬間に「すっごく広くなった!」と感動するほどの容積的な広さは感じられなかった。
それよりもまず真っ先に感じたのは、ちょっと不思議な「お部屋感覚」だ。インテリアのデザイン構成は基本的に直線を基調としている。左右のドアパネルからインストルパネルにかけてのラインと平面基調のインストルメントパネルとあいまって、四角い空間に包まれている感が非常に強い。
セダンやスポーツカーの「コクピット感覚」に慣れていると、初めは軽く面食らってしまいそうだ。けれど、凸凹が少ないぶん視線が安定するためだろうか、次第にとても穏やかな気持ちになってくるのが面白い。だらしなく脱力する感覚ではなく、背筋はしっかり伸びているのに気分的にはリラックスしている、といった感じ。これなら気張らず運転に集中できそうだ。
1、2、3列目のどこに座っても、それぞれに心地よい
デザインそのものが退屈なわけではない。メッシュのエア吹き出し口など、目が留まるワンポイントも効果的に配置されている。10.2インチのディスプレイはむやみに存在感を主張しないが、運転席からの視認性は高い。スマートフォンなどの小物をポンと置いて置けるスペースも豊富だ。
運転席だけでなく、2列目3列目にも座ってみたが、それぞれにちょっと違ったお部屋感覚が感じられた。全車に標準装備される2列目キャプテンシートは前後左右にスライド可能で、ほどよくエグゼクティブ感覚が味わえる。座面の厚みが21mm増えた3列目シートは大人が座っても足もとや上下方向にゆとりがあるし、視界が高めなので「バスに乗ってる」気分を楽しめる。
なるほど確かに新型ステップワゴンは、どこに座ってもそれぞれに優れた機能性を備えた「お部屋感覚」が満喫できるミニバンだ。単に「史上最大」なだけでなく、乗る人すべてにとって「史上最良の空間性能」を提供しているように思えた。
非常に洗練された乗り味。車酔いも減りそう
ボディが大きくなったことで、キャビンの居心地は確かに良くなった。だがちょっと気になるのは、重量増によるさまざまな悪影響だろう。新型ステップワゴンは従来型に対してボディ剛性向上、安全装備の充実などに伴って、車両重量が70~80kgほど重くなっているが、たとえば操縦安定性や乗り心地が悪化してしまってはいないだろうか。
だが実際に走らせてみると、それは杞憂だった。17インチを履くスパーダ プレミアムラインはややスポーティ寄りだが、標準の16インチタイヤ装着車ならエアーでもスパーダでも、非常に洗練された乗り心地を実現している。
サイドシルの断面大型化やスライドドア開口部への構造用接着剤の採用、リアスプリング取り付け部の剛性強化といった大小さまざまなポイントで、改良が施されているとのこと。おかげでバンピーな路面でも不快な振動やヨレる感覚はまったくない。
スムーズかつナチュラルな特性に成長したストロングハイブリッド
そしてもうひとつ、重量増による「速さ」への影響もやはり気になるところではある。新型ステップワゴンには先代と同じく1.5L 直列4気筒ターボエンジンと、2L直列4気筒ハイブリッド(e:HEV)ユニットの2タイプのパワートレーンが設定されているが、どちらもカタログ値はほぼ変わっていない。単純に考えれば、重さが増している分「不利」だと思う。
だが実際に走らせてみると、パワー不足、トルクの細さが気になることなどまったくなかった。それどころか、ターボもe:HEVも、圧倒的に洗練された印象に生まれ変わっている。アクセルワークと回転の上昇に対する加速感が非常にリニアで、操りやすい。
街乗りではどちらのパワートレーンでも、ストレスなく流れに乗り続けることが可能だ。さらに停止車両や右折車両を回避する時などに一瞬、速やかな加速が必要になる状況などでは、驚くほどスムーズにレスポンス良くスピードを上乗せしていける。とくにe:HEVはリニアかつ力強いトルク感が好印象だった。
1.5Lターボモデルでも、十二分に爽快な走りが楽しめる
扱いやすい特性は、燃費面でもメリットとなりそうだ。
WLTCモード燃費を基準車(現行のエアー)で比べると、e:HEVモデルの総合モードは変わらないものの、1.5Lターボ搭載車の総合モードはFFが13.6→13.9km/L、4WDが13.0→13.3km/Lに改善されている。さらに細かく見れば、新型ステップワゴンのエコ性能の向上ぶりはよりはっきりとわかるだろう。
◎従来型→新型ステップワゴン モード燃費詳細比較(ベースグレード/FF、単位はkm/L)
【1.5L 直4ターボ】
市街地モード:10.0→10.6/郊外モード:13.5→14.6/高速道路モード:14.6→15.4
【e:HEV】
市街地モード:18.8→20.4/郊外モード:18.8→21.3/高速道路モード:19.5→19.1
比べてみればわかりやすくパワフルなのはe:HEVのほう。エンジンだけでも最高出力145ps、最大トルク175Nmと十二分な性能を発揮する。加えて電気モーターによる184ps、315Nmのアシストが力強い。モーター駆動からエンジンとの協調が始まる瞬間のつながりにも唐突感が少ないので、積極的に上まで回してみたくなるほどだ。
一方でターボも、伸びがとても軽やかで素直なレスポンスを体感できる。最高出力150ps、最大トルク203Nmとけっしてハイパフォーマンスなスペックではない。しかしそのパワーフィールは、e:HEV以上によどみなく、アクセルワークと加減速の塩梅が絶妙にマッチしている。だから体感上は、非常にスピーディかつスポーティなものに思えた。
まとめ。車両本体価格300万円を切る、エアー×ターボのバリューに注目したい
一部の快適装備は確かにエアーでは省かれているものもある。たとえばステップワゴンとしては新採用となるパワーテールゲートは、確かについていると便利な装備だが、エアーにはオプションでも設定されていない。安全装備に関してもLEDアクティブコーナリングライトやブランドスポットインフォメーションなどは、装備できない。
だが裏返せばそれ以外の主要な装備は、ほとんどベースラインから採用されている、ということになる。Honda SENSINGの主要な機能は全部付いているし、カラー違いながら16インチのアルミホイールもしっかり標準装備だ。
そう考えると、299万8600円というもっともベーシックなエアーのスタート価格(1.5Lターボ/FF/7人乗り)は実に戦略的バーゲンプライスだ。なにしろそこにはすでに、新型ステップワゴンのすべての魅力が詰まっているのだから。
その上で、ちょっと贅沢な内外装のパーツや、ちょっと便利な機能装備、より燃費性能に優れたハイブリッドシステムなどの付加価値を好みに合わせて付け加えていくのが、きっと楽しい。
新型ステップワゴン ラインナップと価格表&試乗車の主要諸元一覧
ホンダ ステップワゴン ラインナップ
■ステップワゴンe:HEV(2L直4+2モーター)
エアー・FF:338万2500円(7名)/340万4500円(8名)
スパーダ・FF:364万1000円(7名)/366万3000円(8名)
スパーダ プレミアムライン・FF:384万6700円(7名)
■ステップワゴン (1.5L直4ターボ)
エアー・FF:299万8600円(7名)/302万0600円(FF・8名)
エアー・4WD:324万0600円(7名)/326万2600円(8名)
スパーダ・FF:325万7100円(7名)/327万9100円(8名)
スパーダ・4WD:347万7100円(7名)/349万9100円(8名)
スパーダ プレミアムライン・FF:346万2800円(7名)
スパーダ プレミアムライン・4WD:365万3100円(7名)
ホンダ ステップワゴン e:HEV スパーダ(FF・7名) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4830×1750×1840mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1993cc
●最高出力:107kW(145ps)/6200rpm
●最大トルク:175Nm/3500rpm
●モーター最高出力:135kW(184ps)/5000-6000rpm
●モーター最大トルク:315Nm/0-2000rpm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:19.6km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):364万1000円
ホンダ ステップワゴン エアー(4WD・8名) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4800×1750×1855mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1790kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1496cc
●最高出力:110kW(150ps)/5500rpm
●最大トルク:203Nm/1600-5000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー ・52L
●WLTCモード燃費:13.1km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):326万2600円
ホンダ ステップワゴン e:HEV スパーダ プレミアムライン(FF・7名) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4830×1750×1845mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1993cc
●最高出力:107kW(145ps)/6200rpm
●最大トルク:175Nm/3500rpm
●モーター最高出力:135kW(184ps)/5000-6000rpm
●モーター最大トルク:315Nm/0-2000rpm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:レギュラー・52L
●WLTCモード燃費:19.5km/L
●タイヤサイズ:205/55R17
●車両価格(税込):346万2800円
[ アルバム : 新型ステップワゴン 公道初試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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