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【試乗インプレ】KTM「1290 SUPER ADVENTURE S」スポーツライディングも視野に入れたポテンシャル <ADVenture's 2020>

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【試乗インプレ】KTM「1290 SUPER ADVENTURE S」スポーツライディングも視野に入れたポテンシャル <ADVenture's 2020>

ラフロードから離れ、オールラウンダーとしての機能を搭載し、より身近なキャラクターへ。ハードルが高く感じる本格アドベンチャーが、そっと寄り添ってくれる喜び。

撮影:松川 忍 文:濱矢文夫/小松信夫/編集部

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アドベンチャールックでロードを往くオールラウンダー!
特徴的なフロントマスクが目立つ、ツアラーとしての機能性を追求したスタイリングの大柄な車体に、最高出力160㎰という強力な1301cc水冷Vツインエンジンを搭載。

ライダーをサポートする最新の電子制御デバイスなどの充実した装備も合わせて、どこまでもスポーティで力強く、しかも快適に走り続けられる。

スーパーアドベンチャーSはフロント19・リア17インチのキャストホイールという、オンロード重視の足周りを与えられたモデル。

車体とエンジンはそのままに、フロント21・リア18インチのスポークホイールとオフロード向けタイヤを装着、ヘビーデューティ仕様のスーパーアドベンチャーRも存在する。

ライダー好みのセッティングもボタンひとつで思いのまま
「ハードルが高く感じる本格アドベンチャーが、そっと寄り添ってくれる喜び」

スポーツライディングも視野に入れたポテンシャルを秘める

今や390からあるKTMアドベンチャーシリーズ、その堂々たる旗艦モデルがこの1290スーパーアドベンチャーだ。

このモデルには2つのタイプ、前が21インチで後ろが18インチのワイヤスポークホイールを履いた〝R〟モデルと、前が19インチ、後ろが17インチのキャストホイールを履いた〝S〟モデルがある。

このホイールサイズの違いでも分かるように、〝R〟は、KTMがこれまで数々の成功をおさめてきたオフロードレースのノウハウを注ぎ込んだものだ。

それでは、この〝S〟はどういうモデルなのかが気になるところだ。より小径キャストホイールによりオンロード向けのタイヤを履いていることから、〝R〟とは逆に舗装路をメインにしている───それは間違いじゃない。

あちこち走り回って感じたのは、もっと大きく、自分たちが信じる究極のアドベンチャーモデルを目標にしたのではないかということ。

車名の数字は1290になっているけれど、水冷DOHC75度Vツインエンジンの実際の排気量は1301cc。これをクロームモリブデン鋼製チューブラースペースフレームに搭載している。

23Lの燃料タンク容量も含んだボディに加え、試乗車には大きなパニアケースとトップケースが装着されており迫力満点。

今まで新旧様々なオートバイに乗らせてもらってきたけれど、身長170cmと大きいとは言えない体型では、Uターンや狭い道でこの大きさを持て余すんじゃなかろうか? と思ったのがファーストインプレッションだった。

ところが、エンジンをかけずにハンドルを掴んで押してみると意外なほど重くなくスルスルとタイヤが回転して動かすことができる。軽いとまではいかないけれど、見た目から予想した重さへの覚悟は拍子抜けだった。

またがるとVツインのメリットになるエンジンの横幅が狭いことに合わせたスリムなフレームもあって、ライダーの体が触れる部分が細身だ。シート高は低い状態にして860mmだが、リアサスペンションの初期動作が柔軟なのもあって、数値より足つきが良い印象。

エンジンの特性が選べるライドモードが、スポーツ/ストリート/レイン/オフロードとあって、ハンドルのスイッチで遠隔設定可能な電子制御サスペンションのダンピングのモードも、スポーツ/ストリート/コンフォート/オフロードから選べる。

だから足をもっと固め、エンジンのレスポンスも鋭いスポーティーな節度ある走りから、乗り心地を良くするために穏やかなエンジン特性と、当たりの柔らかいサスペンションでゆったり流して走る仕様まで好みによって乗り味を変更することが可能だ。

1290スーパーアドベンチャーSが持っている顔はひとつではなく、いろいろだ。それをライダーの、好みで簡単に選択できるのがミソだ。

ダートを走る仕様の〝R〟は220mmという本格的オフロードモデルなみのサスペンションストロークを持っている。それはさすがと思うけれど、よりストリート寄りの〝S〟でも20mm少ない200mmもある。

よってエンジン特性や足廻りの設定をオフロードモードにすれば、このまま十分にダートも走れる。

21&18インチホイールのオフロードマニアックなスーパーアドベンチャーRはある意味で使い方を割り切ったところがあるが、スーパーアドベンチャーSは本当の意味でいろいろな道で性能を発揮できるオールラウンダーを目指したものだといえる。

事実として回り込むような低速ワインディングでも、気持ちがいいくらいの旋回ができる。

よく効いてタッチの良いブレンボ製ラジアルマウント4ピストンキャリパー+φ320mmローターを組み合わせたフロントブレーキで強い減速しても、サスペンションとフレームはかっちりそれを受け止め、そこからさっとリーン。

大きな車体から想像するより身軽で安定した動作でくるっと向きを変えて、立ち上がりは良好なトラクションでスムーズに加速していけた。

19&17インチという多くのアドベンチャーモデルが採用するオンとオフの中庸を狙ったホイールサイズながら、その振り幅が比較的大きいと感じられた。

他よりもっとオフ、他よりもっとオンをしっかり走らせようとしている姿勢が見て取れた。ポジティブな意味でかなり欲張っている。

ひとたびスロットルを大きく開けると、160PS(118kw)に140ニュートンメートルのトルクによる加速は胸のすく速さ。スーパースポーツを彷彿とさせるほど吹け上がりは鋭い。

荷物を収めることができる大きな箱を3つも後ろに積んでいるから、セミアクティブサスペンションの調整をひとり乗りにしておくと、条件によってフロントの接地感が少し足りなく感じることがあった。

そこでメーターの[モーターサイクル]→[LOAD]から[1人乗車+荷物あり]を選択すると落ち着いた。このように工具を使わずオートバイに乗ったままで、様々にセッティングできる。

実にKTMらしいところは、いろんなシチュエーションでしっかり走れて、快適で、機能的なデュアルパーパスツアラーとしてきっちり作りながら、その乗り味と動きから他より断然スポーティーにするという意気込みが伝わってくること。

同ブランドがいつも使っている有名な〝READY TO RACE〟のスローガンは、この大排気量アドベンチャーモデルにも当てはまる。とにもかくにもスポーツライディングが好きなライダーの心をにくいくらい刺激するのである。

1290 SUPER ADVENTURE S detail
SPECIFICATIONS 1290 SUPER ADVENTURE S
全長×全幅×全高:-mm
ホイールベース:1560±15mm
シート高:860/875mm
車両重量:222kg(乾燥)
エンジン形式:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ
総排気量:1301cc
ボア×ストローク:108×71mm
最高出力:160PS
最大トルク:140Nm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:23L
変速機形式:6速リターン
タイヤサイズ前・後:120/70ZR19 ・170/60ZR17
価格:203万6100円

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みんなのコメント

2件
  • こんな超大型でしかも大量に荷物積んで移動するのならそれこそ車使えよって思う。
    バイクである利点が何もないじゃん。
  • ビッグオフって独特の所有感がありそう。

    昔TVで見た、パリダカ・ファラオラリーでの、ラリーバイクにまたがるライダーのイメージで強烈に魅かれる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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