現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「戦力外通告」寸前から逆転ホームラン!スバルを救った偉大なる救世主は、世界が認めた高性能モデルだった件

ここから本文です

「戦力外通告」寸前から逆転ホームラン!スバルを救った偉大なる救世主は、世界が認めた高性能モデルだった件

掲載 更新 14
「戦力外通告」寸前から逆転ホームラン!スバルを救った偉大なる救世主は、世界が認めた高性能モデルだった件



今年の3月に「アウトバック」の受注終了をもって、「スバル・レガシィ」シリーズは国内での販売を終了しました。 2014年にツーリングワゴンが「レヴォーグ」に引き継がれ、2020年にはセダンの「B4」が終了。今年の「アウトバック」の販売終了で、1989年に初代が誕生して以来、実に36年にわたる「レガシィ」の歴史が幕を閉じました。 「レガシィ」が国内での“役目を終えた”のは、中型クラスのセダン&ワゴンの需要が減少したことと見られていますが、ツーリングワゴンのブームの火付け役と言っていい「レガシィ」がもう無くなってしまうとなると寂しい気持ちになります。 ここではその「レガシィ」の功績を振り返る意味も込めて、初代「レガシィ」にスポットを当てて、その開発経緯などを掘り起こしてみましょう。

→【画像】「戦力外通告」寸前から逆転ホームラン!スバルを救った偉大なる救世主は、世界が認めた高性能モデルだった件

●文:月刊自家用車編集部(往機人)

シンメトリカル・レイアウトの祖は「スバル1000」にあり

今では完全にスバル車のアイデンティティになっている水平対向エンジンですが、歴史を辿ってみると、あるときに“戦力外通告”される寸前に陥っていたそうです。

初代レガシィの誕生のストーリーには、この水平対向エンジンにまつわる話が不可避なので、ちょっと歴史を遡ってみましょう。

時は1960年代前半。軽自動車の「スバル360」のヒットで成功を収めたスバルは、初めての小型乗用車の計画を進めていました。

お手本としたのは当時の欧州車で、コンパクトな車体という制約の中で、室内空間を最大にとるため、メカニズムはできるだけコンパクトにする、という考えをベースに据えてスタートしたそうです。
その考えにもっとも合致するのはFFレイアウトです。

そして当時の製造技術を考慮しつつ、運動性能の良さを求めると、エンジンは水平対向がベストという結論に至りました。こうして試行錯誤を経て完成したのが、フロントに水平対向4気筒1000ccエンジンを搭載する「スバル1000」です。

―― スバル1000は、国産黎明期に世に送り出された量産型のFF乗用車。当時のFF車の課題を克服するため、水平対向エンジンを縦置きに配置する独自の方式を採用することで、理想的な左右対称駆動を実現している。

この時点で、ドライブシャフトの振動を最少にするため、デファレンシャルギヤボックスを中央に据える“シンメトリカル・レイアウト”を採用していました。

この「スバル1000」は販売成績は振るいませんでしたが、スバルの確かな理念を世に訴求することには成功しました。

そしてその「スバル1000」の後継車として「レオーネ」が開発されます。

「レオーネ」は北米市場をターゲットにしていたため、「スバル1000」の理念はいちど除けて、アメリカナイズを意識して進められたそうです。エンジンも刷新の話がありましたが、経済状況から続投が決定されます。

―― 初代レオーネは、水平対向エンジンと独自の4WDシステムを組み合わせた画期的なモデル。スバル4WDモデルの礎となったことで有名な一台。

「レオーネ」はラリーなどのイメージが強くAWDのパイオニア的に見られる傾向もありますが、実はAWD推しの販売戦略は上手くいっていなかったようです。

おまけに、市場のニーズに応じて排気量が上げられた水平対向エンジンは、構造的に限界が見えていました。

―― 1979年に登場した2代目レオーネは、ボディサイズと排気量を拡大し、上級クラスへ移行。ラインナップが少ない中、多様なユーザー獲得のため、4ドアセダン、2ドアハードトップ、ライトバンに加え、3ドアハッチバックの「スイングバック」など豊富なボディタイプが用意されている。

―― 1984年に発売された3代目レオーネは、「オール・ニュー・レオーネ」と銘が打たれるなど、空力に優れたスタイリッシュな外観と上質な内装を売りとしていた。1.8LのOHCエンジンや4WD自動切替装置、電子制御エアサスペンション「EP-S」など、メカニズム機構の進化ぶりでも大いに話題を集めた一台になる。

それらの状況に強い危機を感じた開発陣は、急遽「レオーネ」に代わる新時代のミドルクラスの乗用車の開発に踏み切ります。

それが初代「レガシィ」なのですが、ネガティブな要因の多い「レオーネ」のイメージから脱却すべく、思い切って「気持ちのいい走りを追求する」という方向にテーマを定めました。

他社のFF勢の進化に追われて時代に取り残されかけていた水平対向エンジンですが、いざ走りを優先事項にすると、メリットが際立ち、再び輝きを放ち始めました。

もともとエンジン剛性が高く振動が少ないこと、そしてサスペンションメンバーの配置に自由度が増えるため、剛性と乗り心地を無理なく両立できます。

そしてAWDの駆動系の設計でも優位な点が多く、手応えを感じたプロジェクトチームによって開発の勢いは増していきました。

その一方で会社のフトコロ事情は逼迫しており、このプロジェクトがコケたらつぶれかねないという緊張感が漂う“背水の陣”のような状況でした。

しかし逆にそれがカンフル剤となり、これまで培ってきた技術や理念の蓄積が開花し、その結果かつて無いほどのポテンシャルを秘めた車輌ができあがっていきました。

―― 初代レガシィは1989年に発売開始。パワートレーン&プラットフォームは完全新設計されるなど、前身のレオーネから大きく進化している。

最高水準の性能と上質感の相乗効果で、大ヒットを記録

搭載されるエンジンも「レオーネ」までの「EA型」からすべてを刷新した「EJ型」に切り替わりました。

基本構成はほぼ同じですが、クランクシャフト周りが高出力対応の設計となっているのが特色です。
その効能で、2.0Lターボ仕様の「EJ20ターボ」は当時クラス最高出力の220psを発揮しています。

―― EJ20ターボエンジンは、1989年に初代レガシィに初めて搭載され、その後2019年に生産終了するまで、約30年間にわたってスバルの主力エンジンとして活躍している。

また、北米や欧州の需要に訴求するツーリングワゴンを車種構成の柱に据えることで日本の新たな需要を掘り起こし、そこにAWDという伝統の武器によるタフさというイメージが加わって、ブームが起こるきっかけとなりました。

開発段階で車輌を煮詰めるテストにも力を入れており、公道を中心に市街地や山道はもちろんのこと、雪深い地域やアメリカなどの広大な土地、そして超高速レンジのアウトバーンなどに赴いて納得のいくまでに詰め、作業をおこなったそうです。

―― 初代レガシィは、スバル伝統の水平対向エンジンと、それに続くトランスミッション、プロペラシャフト、リヤデファレンシャルが一直線に配置されるシンメトリカルAWDレイアウトを採用したことで、オンロードで抜群の性能を獲得。この走りの良さを武器に高い人気を集めている。

その高い性能と耐久性を広く訴求するため、アメリカのアリゾナ州フェニックスの特設コースにターボ仕様のレガシィセダンRSを持ち込み、10万km耐久走行を実施。走行平均速度223.345km/hという国際記録を達成して見せた映像は、当時かなりのインパクトを持って自動車業界をザワつかせました。

―― デビュー前にアリゾナ州フェニックスの特設コースで10万km耐久走行を実施。平均速度223.345km/hというFIA公認の連続走行世界速度記録を樹立するなど、その優れた性能を世界にアピールしている。

車輌のイメージを左右するデザインも新たな試みが込められています。室内空間を広げるために抑揚が減っていた風潮に反して、フェンダー周りを少し外に膨らませる“ブリスターフェンダー”を採用することで、4輪で踏ん張るAWDの印象を強調しながらスポーティさを加えています。

ウインドウ周りでは、ぐるりと1周ボディ色の部分をできるだけ排して航空機のキャノピーのような印象に仕上げている点も特徴のひとつでしょう。

―― 当時のトレンドに合わせた直線的なフォルムながら、優れた空力性能を追求したスタイリッシュなデザインを採用。ウインドウ周りは、ブラックアウトされることで、航空機のキャノピー(操縦席の覆い)のようなグラスエリアが楽しめる。

さてこの初代「レガシィ」ですが、中古車市場を見てみると、タマ数がかなり少なくなっているようです。

そして価格面でも、昨今の旧車需要の高まりの影響か、年式を考えると少々お高めの200万円台の車輌が多く見られます。この記事で気になったという人は、チェックしてみてください。

―― 日本に本格的なステーションワゴンの市場を確立したなどの理由で、「2024 日本自動車殿堂 歴史遺産車」に選定。スバルの歴史を語る際に外せないモデルとなっている。

文:月刊自家用車WEB 月刊自家用車(ハラ)
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

カワサキ「斬新4脚モビリティ」製品化! 本格悪路性能×「バイク技術」が融合した「スゴいマシン」35年にデビュー! 2030年「サウジアラビア・リヤド万博」会場で採用目指す
カワサキ「斬新4脚モビリティ」製品化! 本格悪路性能×「バイク技術」が融合した「スゴいマシン」35年にデビュー! 2030年「サウジアラビア・リヤド万博」会場で採用目指す
くるまのニュース
タグ・ホイヤー、オメガ、ブライトリング──黒の表現がユニークな定番時計3選
タグ・ホイヤー、オメガ、ブライトリング──黒の表現がユニークな定番時計3選
GQ JAPAN
荒々しさと静寂と――浅草発のウォッチブランド“KIWAME TOKYO ASAKUSA”「IWAO(巌)」は、巧みに作り上げたダイヤルの表情に注目
荒々しさと静寂と――浅草発のウォッチブランド“KIWAME TOKYO ASAKUSA”「IWAO(巌)」は、巧みに作り上げたダイヤルの表情に注目
VAGUE
両端が離れすぎて、これじゃ見えない!? いえいえ、眼鏡ではありません!! 工具の一種『メガネレンチ』とは?
両端が離れすぎて、これじゃ見えない!? いえいえ、眼鏡ではありません!! 工具の一種『メガネレンチ』とは?
バイクのニュース
メルセデス・ベンツ新型「GLB」世界初公開! 全長4.7mに進化した3列7人乗りの大人気“コンパクトSUV” まずEVモデルが登場
メルセデス・ベンツ新型「GLB」世界初公開! 全長4.7mに進化した3列7人乗りの大人気“コンパクトSUV” まずEVモデルが登場
VAGUE
じつはイメージと全然違う物流倉庫! 「じつは静か」「ガテン系のノリじゃない」謎の施設の真実をご紹介!!
じつはイメージと全然違う物流倉庫! 「じつは静か」「ガテン系のノリじゃない」謎の施設の真実をご紹介!!
WEB CARTOP
8年ぶり全面刷新! 日産新型「流麗クロスオーバー」に問合せ“殺到”!? 全長4.4m“ボリューミーボディ”に「700km超え航続」も実現! 新時代の“日産の要”「リーフ」が販売店でも話題に
8年ぶり全面刷新! 日産新型「流麗クロスオーバー」に問合せ“殺到”!? 全長4.4m“ボリューミーボディ”に「700km超え航続」も実現! 新時代の“日産の要”「リーフ」が販売店でも話題に
くるまのニュース
ハイエース200系専用「LEDコンソールボックス」が進化! 収納・充電・照明を1台で実現する理由
ハイエース200系専用「LEDコンソールボックス」が進化! 収納・充電・照明を1台で実現する理由
ベストカーWeb
【メルセデス・ベンツ】アウトドアで使い倒す! ルーフラゲッジとスペアタイヤホルダーを純正装備した「AMG G63」
【メルセデス・ベンツ】アウトドアで使い倒す! ルーフラゲッジとスペアタイヤホルダーを純正装備した「AMG G63」
Auto Prove
タイヤのロックを防いでくれるABS 「チャンネル」ってナニ? あえてオフにもできる?
タイヤのロックを防いでくれるABS 「チャンネル」ってナニ? あえてオフにもできる?
バイクのニュース
まさに“息を呑む”美しさ... 人生で一度は見ておきたい「日本新三大夜景」が全国の夜景観光士によって選出 ネットでの反響とは
まさに“息を呑む”美しさ... 人生で一度は見ておきたい「日本新三大夜景」が全国の夜景観光士によって選出 ネットでの反響とは
VAGUE
ホンダ、レッドブル・パワートレインズへのF1技術支援を終了…8年間で72勝の実績
ホンダ、レッドブル・パワートレインズへのF1技術支援を終了…8年間で72勝の実績
レスポンス
価値ある398万2000円──新型BYDシーライオン6試乗記
価値ある398万2000円──新型BYDシーライオン6試乗記
GQ JAPAN
日本市場にホンキだ──新型BYDシーライオン6試乗記
日本市場にホンキだ──新型BYDシーライオン6試乗記
GQ JAPAN
キアの電動商用車『PV5』、欧州メディアから高評価…「バン・オブ・ザ・イヤー」など受賞
キアの電動商用車『PV5』、欧州メディアから高評価…「バン・オブ・ザ・イヤー」など受賞
レスポンス
トヨタ「GR GT」誕生の裏にあったのは「悔しさ」だった! 20年に一度、“継承と進化”をもって開発されるトヨタのフラッグシップスポーツ その誕生秘話とは
トヨタ「GR GT」誕生の裏にあったのは「悔しさ」だった! 20年に一度、“継承と進化”をもって開発されるトヨタのフラッグシップスポーツ その誕生秘話とは
くるまのニュース
“手に取りやすいトゥールビヨン時計”の旗艦モデルにコレクション初となる限定モデルが鮮烈デビュー! 気になるお値段は?
“手に取りやすいトゥールビヨン時計”の旗艦モデルにコレクション初となる限定モデルが鮮烈デビュー! 気になるお値段は?
VAGUE
次世代スマート街路灯システム発表、アダプティブライティングや交通分析機能も…Ubicquia
次世代スマート街路灯システム発表、アダプティブライティングや交通分析機能も…Ubicquia
レスポンス

みんなのコメント

14件
  • ner********
    1979-2015年スバルの販売部門に携わっていました、今思い返せば、当時は日産グループで当時群馬工場でチェリーやパルサーを作っていて吸収合併寸前でしたが、レガシィの大ヒットで1989から4WDとワゴンプームで、ブランドを築き復活、そしてトヨタ会長の目に留まり、現在存在している奇跡のブランドと思う、、、
  • ote********
    先輩がBF5 GTに乗っていて同乗で志賀高原へスキーに行った時の事です。

    帰りに中央道が大雪で通行止めとなり下道も大雪。塩尻峠をスタックした大型トラックの間を縫いながら岡谷まで走り抜けました。
    その時の雪はバンパーでラッセルするくらいの積雪で凄いクルマだなと思いましたね。
    当時はアコードに乗っていたんですが乗り換えの機会でSF5 Stbに乗り換えて以来スバル車を乗り継ぎ今はレイバックです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150 . 5万円 276 . 4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39 . 0万円 580 . 0万円

中古車を検索
スバル レガシィの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150 . 5万円 276 . 4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39 . 0万円 580 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村