現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 本物のロードゴーイングレーサー、ダラーラ ストラダーレ。フォーミュラにも通ずる実力を測る 【Playback GENROQ 2018】

ここから本文です

本物のロードゴーイングレーサー、ダラーラ ストラダーレ。フォーミュラにも通ずる実力を測る 【Playback GENROQ 2018】

掲載 更新
本物のロードゴーイングレーサー、ダラーラ ストラダーレ。フォーミュラにも通ずる実力を測る 【Playback GENROQ 2018】

Dallara Stradale

ダラーラ ストラダーレ

本物のロードゴーイングレーサー、ダラーラ ストラダーレ。フォーミュラにも通ずる実力を測る 【Playback GENROQ 2018】

次の勝負はストリートで

ダラーラといえば、モータースポーツ界にその名を轟かせる名コンストラクターだ。そのダラーラが自社ブランドのスポーツカーを市販すると発表してから4年。ついに彼らの作品「ストラダーレ」のステアリングを握る日が訪れた。

「スーパーフォーミュラのマシンも製作するダラーラ」

フェラーリ、マセラティ、ランボルギーニ、そしてデ・トマソと、多くの自動車メーカーでエンジニアとしての卓越した才能を発揮したジャンパオロ・ダラーラ。そのダラーラが常に意識していたのはモータースポーツの世界だった。1963年に設立されたランボルギーニに活躍の場を求めたのも、新興勢力ゆえの自由な社風によって、あるいはモータースポーツへの道も開かれるのではないかという期待があったことは確かだし、12気筒ミッドシップのミウラを生み出してもなお、創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニにはその意思がないことが分かると、ダラーラは躊躇することなく、ランボルギーニを去ることを決断した。

モータースポーツに積極的に関係したいというダラーラの夢は、結局は1972年に自らの名を掲げたレーシング・コンストラクター、ダラーラ社を設立するまで待たなければならなかったが、ここからのサクセス・ストーリーは、モータースポーツの世界に詳しい者ならば、誰もが知る通りだ。現在では日本のスーパーフォーミュラや、アメリカのインディカー・シリーズの全車がダラーラ製のマシンを使用。スーパーフォーミュラに関しては、近く2019年シーズンから新規投入される「SF19」のシェイクダウンテストもスタートする予定だ。

「ナルドのテストコースと一般ストリートを試乗」

そのダラーラが、長年のレース活動で培ったノウハウをもとに、魅力的なロードカーを造り上げた。今後5年間にわたって、600台が限定生産されるという、そのロードカーの名は「ストラダーレ」。ダラーラ製のマシン、しかも最新モデルのステアリングを握ることができるのは、これまでレーシングドライバーの中でも、さらに選ばれた人間のみに限られていたことを考えれば、600人のストラダーレのカスタマーに自分の名を連ねるのは、それだけでも十分な価値があることといえる。

昨年の11月に正式にスペックやパフォーマンスが発表されてから、その存在が常に気になっていたダラーラ ストラダーレ。そのステアリングを握るチャンスがついに訪れた。テストドライブのプログラムは2日間にわたって行われ、1日目は現在ポルシェが所有する、南イタリアのナルド・テクニカルセンターのハンドリングコースで、2日目はここから風光明媚なサレント半島の一般道、すなわちストラダーレをドライブするというスケジュールだった。

「バルケッタを基本に、キャノピー付きのクーペなど4タイプへと仕様変更が可能」

直径が4km、一周が14km強にも達する、真円の高速周回路があることで知られるナルド・テクニカルセンターで初対面したストラダーレは、実に妖艶なスタイルのスポーツカーだった。ダラーラと、トリノのグランスタジオのコラボによって生み出されたボディは、フロントウインドウさえも備わらない「バルケッタ」スタイルが基本で、ここからカスタマーはフロントウインドウを装着した「スパイダー」、Tバールーフの「タルガ」、さらにはガルウイング・ウインドウを備えるフルキャノピーの「クーペ」と、アタッチメントパーツによって、そのスタイルを好みの仕様に変更することができる。このシステムを可能にしているのは、もちろんこのストラダーレの基本構造体が、ダラーラ自慢のCFRP製モノコックであり、それが走行中の全ストレスを負担するからにほかならない。

ハンドリングコースでドライブしたストラダーレは、オプションのトラック・パッケージが装着されたモデルで、その中には専用セッティングのサスペンションや大型のリヤウイングなど、よりサーキット走行にフォーカスした装備が含まれる。トランスミッションはMTとロボタイズドのいずれも6速が選択可能だが、ハンドリングコースでは後者でその走りを味わうことになった。

「855kgとされる車重から想像していた以上に軽快な加速だった」

元F1ドライバーであり、このストラダーレの開発プロジェクトには初期から携わってきたマルコ・アピチェラがドライブするストラダーレに先導されて、ハンドリングコースをドライブする。まず印象的なのは、スタンダードな仕様ではわずかに855kgとされる車重から想像していた以上に軽快な加速だった。

ミッドに搭載されるエンジンは400psの最高出力と500Nmの最大トルクを誇る2.3リッター仕様の直列4気筒ターボで、これはフォード製のエコ・ブーストをベースとするものの、その中身はもちろんダラーラのエンジニアリングチームによる独自の設計だ。ターボラグをほとんど感じさせずに、かつアクセルペダルの微妙な動きにも瞬時に、そして正確にレスポンスしてくれるから、これもまたサーキット走行においては大きな安心感を生み出してくれる。コンパクトなパドルでシフトするロボタイズド6速ギヤボックスの動きも、実にスムーズでクイックだ。

「このままどこまでも走り続けたい──誰もがそう感じることだろう」

ラップを重ねていく中で、走りを非常に魅力的なものと感じさせる最大の理由が、エアロダイナミクスにあることが分かってきた。ちなみにこのストラダーレは、0-100km/hを3.25秒で加速し、最高速度では280km/hを可能とするマシン。最高速時には車重に匹敵する820kgのダウンフォースがスタンダードなモデルでも得られるが、トラック・パッケージ仕様の試乗車ならば、さらに大きなダウンフォースが発生しているだろう。今回はストレートエンドで240km/hほどの速度に達することができたが、ここからそのまま進入する左コーナーでは、このダウンフォースの恩恵をダイレクトに体感することができた。

翌日のオンロードドライブで用意されたのは、3ペダルの6速MT仕様。ペダル間のクリアランスがやや狭いことが気になったが、コーナリングマシンとしての楽しさは、テストコースでの印象とまったく変わらなかった。さらに驚かされたのは、乗り心地や快適さといったロードカーとしての基本性能が高いレベルにあること。このマシンでどこまでも走り続けたい。ダラーラ・ストラダーレのステアリングを握るカスタマーは、誰もがそう感じるに違いない。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKAI)
PHOTO/Dallara Automobili S.p.A.

【SPECIFICATIONS】

ダラーラ ストラダーレ

ボディサイズ:全長4185 全幅1875 全高1041mm
ホイールベース:2475mm
乾燥重量:855kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:2300cc
最高出力:294kW(400ps)/6200rpm
最大トルク:500Nm(51kgm)/3000-5000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
最高速度:280km/h
0-100km/h:3.25秒

※GENROQ 2018年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

こんな記事も読まれています

中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
レスポンス
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
レスポンス
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
LE VOLANT CARSMEET WEB
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
VAGUE
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
くるまのニュース
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
ベストカーWeb
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
WEB CARTOP
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
LE VOLANT CARSMEET WEB
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
Auto Prove
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村