■現在でも十分に通用する高性能セダンたち
近年は、SUVやミニバンに押されてセダン人気が低迷しています。国内メーカーのラインナップからセダンが減少し、2019年にはトヨタ「マークX」やスバル「WRX STI」の生産終了が決定するなど、市場規模はさらに縮小する方向です。
一方、現在の状況になる少し前の2000年代は、まだセダンに活気がありました。そこで、2000年代を中心に販売されていた、高性能なセダンを5車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイライン 25GTターボ」
日産「スカイライン」は歴史が始まったプリンス時代から、先進的でスポーティなセダンとして代を重ねてきました。
一時期はスカイラインGT-Rに代表される2ドアクーペにスポットライトが当たっていましたが、現行モデルではセダンのみとなっています。
スカイラインは1998年に発売された10代目のR34型まで、直列6気筒(直6)エンジンを搭載してきましたが、このR34型こそ、ある意味直6モデルの集大成といえるモデルでした。
4ドアセダンのトップグレードは「25GTターボ」で、2.5リッター直列6気筒ターボのRB25DET型エンジンを搭載。最高出力は280馬力と、スカイラインGT-Rと同じ値をマークしています。
R34型は2001年に生産を終了し、後継のV35型になりますが、伝統の丸テールを廃止したことやV型エンジンのみとなったことで、コアなファンのなかにはR34型こそが最後のスカイラインだという人もいます。
●トヨタ「マークII 2.5iR-V」
前述のとおり、マークXが2019年をもって生産を終了しますが、このマークXの前身が「マークII」で、初代は「コロナマークII」として1968年に発売されました。
そして1980年代には、いわゆるハイソカーとして「チェイサー」「クレスタ」の兄弟車とともに一世を風靡します。
2004年にマークXとなりますが、最後のモデルである9代目マークIIには高性能エンジンを搭載したモデルが存在。
そのグレードは「2.5iR-V」で、最高出力280馬力を誇る2.5リッター直列6気筒ターボの1JZ-GTE型エンジンを搭載していました。
同エンジンはA70型スープラや、Z30型ソアラにも搭載され、スポーティなパワーユニットとして高度なチューニングにも応えられる実力がありました。
2004年に発売されたマークXではV型6気筒エンジンにスイッチしたため、このモデルが最後の直6搭載車として、いまでも高い人気を誇ります。
●ホンダ「アコード ユーロR」
1992年にホンダ「NSX」の運動性能をより際立たせた「NSX タイプR」が発売されると、続いて「インテグラ」と「シビック」にもタイプRが展開されました。
各タイプRに共通していたコンセプトは、ノーマルの状態でもサーキット走行が可能というもので、その反面、公道での乗り心地や静粛性については考慮されていないほど、硬派なクルマでした。
ミドルクラスセダンのアコードの高性能版は、タイプR並に硬派なクルマでは普段使いには厳しいため、マイルドなチューニングで「ユーロR」と名付けられました。
最初のアコード ユーロRは2000年に発売されますが、2年後の2002年にはフルモデルチェンジし、2代目となります。
搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒のK20型で、最高出力は220馬力を発揮。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみでした。
また、サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアが5リンク・ダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架で、ユーロRはスプリング、スタビライザー、およびブッシュ類が専用にチューニングされています。
しかし、2008年にアコードが8代目にフルモデルチェンジすると、ユーロRなど高性能版は設定されず、現在に至ります。
■マツダ最後の高性能セダンとは!?
●マツダ「マツダスピード アテンザ」
マツダのフラッグシップセダン「アテンザ」は、2019年に車名をグローバルで統一するために「マツダ6」に変わりました。
2002年に初代アテンザは発売され、ボディタイプはセダンのほかに5ドアハッチバック,ステーションワゴンをラインナップ。
2005年には高性能版のセダン「マツダスピード アテンザ」を追加します。マツダスピード アテンザは2.3リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載し、最高出力は272馬力を誇りました。
これに6速MTが組み合わされ駆動方式を4WDとし、大パワーを効率よく路面に伝えていました。
また、全長4760mm×全幅1780mm×全高1430mmのボディサイズは、当時のミドルクラスセダンとしてはかなり大柄でしたが、そのサイズを活かして、のびのびとした流麗なスタイルを実現します。
しかし、2008年に2代目がデビューすると、全車自然吸気エンジンとなったため、突出した高性能モデルはなくなってしまいました。
●三菱「ギャランVR-4」
三菱「ギャラン」はすでに消滅してしまったモデルですが、初代の「コルトギャラン」が1969年にデビューしてから2005年まで、36年という長い歴史を持つクルマでした。
1987年に発売された6代目から「VR-4」という高性能エンジンを搭載した4WDモデルがラインナップされ、当初はモータースポーツに参戦する目的で設定されていました。
そのポジションを「ランサーエボリューション」が引き継ぐと、ギャランVR-4は高性能グレードとして7代目、8代目へと続きます。
そして1996年にデビューして最終型となった8代目では、2.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載。最高出力は280馬力に達し、トランスミッションは5速MTと5速ATが選べました。
また、ギャランVR-4はセダンとしての乗り心地や静粛性、ラグジュアリーな内装などが考慮さ、ハイパフォーマンスモデルとして、三菱のフラッグシップに君臨。
しかし、販売は低迷していたため、2002年にVR-4の生産を終了し、2005年にはギャランの歴史が幕を閉じました。
※ ※ ※
今回紹介した5車種は、現在でも十分に通用する高性能モデルばかりです。しかも、中古車価格も高騰すること無く安定しており、手が出しやすい価格帯で販売されています。
ただし、どれも生産終了から10年以上が経過しているため、部品の欠品も多くなっていると思われます。普通に維持するだけなら、それほど問題はありませんが、内外装の部品交換は厳しいかもしれません。
日本は自動車大国なのに、こうした優れたモデルに長く乗るれる文化が育たないのが、非常に残念です。
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