2006年2月、5代目ゴルフをベースにしたR32が日本に上陸している。その主力は5ドア右ハンドルのDSG仕様だったが、デビュー時は受注生産として3ドア左ハンドルの6速MTも用意されていた。販売台数は多くはなかったが、強烈な印象を残した真のイメージリーダーはどんなクルマだったのか。そのインプレッションを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)
トランスミッションだけでなく、仕様すべてがマニア好み
先代のゴルフR32は、DSGを初めて搭載したモデルとしても名を馳せた。残念ながら、日本市場へは6速MTモデルしか導入されなかったから、ゴルフVベースのR32 DSGを「待ちに待った」と期待しているファンも多いはず。そんな期待に応えるべく新型R32のDSGは文句ナシのGTスポーツカーに仕上がっているが、もうひとつ、忘れてはいけない仕様がある。6速MTモデルだ。
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どうやら新型R32では、DSG付きと6速MT仕様で性格を変えてみせたいようだ。DSGが右ハンドルの5ドアモデルとして、より一般的に選べる仕様としたのに対し、6速MT仕様は左ハンドルの3ドアモデルで、しかも受注生産。ミッション仕様だけでなく、ハンドル位置やボディ形状まで、マニア好みを極めたモデルだと言っていい。
先代R32の正当な後継車と言うべきか。日本市場の好みを考えると、DSG仕様だけでも十分だと思うが、受注生産とはいえあえてこのマニアックな仕様を導入した背景には、900台をあっという間に完売したという先代R32の実績への配慮があった、とも考えられる。ともあれ、最新のホットハッチモデルを左ハンドルのマニュアルギアボックスで楽しめるという幸せを、積極的に享受しない手はない。
事実、右ハンドルのDSG仕様に比べると、ドライバーズシートに腰をおろした瞬間の意気込みがまるで違う。DSG仕様ではフツウのゴルフと何ら変わることなくドライバーはリラックスしてステアリングを握ることができるが、6速MT仕様は違うのだ。
音が聞こえそうなぐらいに心臓の鼓動は高まり、右手がせわしなくシフトレバーをこきこき動かす。同時に左手は、レザーの感触を確かめるかのように径にそってステアリングを摩っている。走りへの期待がドライバーを囃し立てる。
期待にまず応えるのが、エンジンサウンド。はっきりとスポーツモデルであることを主張する音の演出は、最新の列強V8モデルに近い。グワンと地響きを立てるようなサウンドで、ドライバーの背筋をしゃんと伸ばす。上半身が思わずリキむ。
爆発音はすぐさま耳に心地いいリズミカルな低音ビートに変わるが、それがまた乗り手の心を囃し立てる太鼓のよう。視界には触り心地のいいステアリングとその先の道路しか見えてこないし、聞こえるのはV6と心臓のビートだけという有様。力強いサウンドから想像できるパワフルなロケットスタートを期待して、心が大いに逸る。
クラッチミートには、ちょっとしたコツと慣れが必要だ。ミートポイントが判然としないため、上げる左足と踏み込む右足のバランスコントロールが難しい。もう少し踏力の必要なクラッチペダルならコツを掴みやすいのになと思いつつも、渋滞などの頻繁な操作を考えるとこれぐらい軽い方がいい。
想像よりも引き気味のミートポイントさえ掴めば、あとはDSG風の、極めてスムーズなシフトチェンジが可能だ。個人的には左足へのダイレクト感がもっと欲しいが、低速トルクも十分な扱いやすいエンジンが相手とあっては、操作がひとつぐらい増えてもスムーズであって当然ということか。
迫力のエグゾーストノートを伴って回転を上げていく楽しみはDSGでも味わえるものだが、シフトレバーと腕、クラッチペダルと左足が一体となり、そこに右足とアクセルペダルが加わって、五体でマシンと繋がる感覚などはMTならではの楽しみだ。
R32の6速MT仕様は、ハルデックス4WDシステムと相まって優秀なGTカーとしても存分に使えるクルマではあるが、安心して一体になれるという意味でも、他にない孤高のスポーツホットハッチだ。(文:西川淳/Motor Magazine 2006年4月号より)
フォルクスワーゲン ゴルフR32 6速MT (2006年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4250×1760×1505mm
●ホイールベース: 2575mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3188cc
●最高出力:250ps/6300rpm
●最大トルク:320Nm/2500-3000pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:4WD
●車両価格:419万円(2006年当時)
[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフR32 3ドア 6速MT 左ハンドル(2006年) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
それのスポーツバージョンなら凄い性能でしょう。