「マツダ3」に設定された特別仕様車「レトロスポーツエディション」に今尾直樹が試乗した。マツダらしい個性的な1台に迫る!
ランチアを彷彿
優れた都会的なSUV──新型スバル レヴォーグ レイバック試乗記
小春日和の某日、マツダ3ファストバックの「レトロスポーツエディション」で、小1時間ほどのドライブを楽しんだ。「レトロスポーツエディション」というのは、マツダが本年9月4日に発表し、同日から注文予約を開始していた特別仕様車で、マツダ3ファストバックのほかに、「CX-30」と「CX-5」にも設定がある。
どのモデルも、国内では昨年末に登場したマツダ「ロードスター」の「ブラウントップ」という特別仕様車に設定された「ジルコンサンドメタリック」がイメージカラーとしてボディ色に採用され、グリルやホイール等は全体を引き締めるブラックに塗られている。
インテリアではブラウンとブラックの2トーンのシート表皮が目に止まる。シートの外枠の部分は「テラコッタ」と呼ばれる茶色の合成皮革で、これがおそらくレトロな雰囲気を醸し出している。背中とお尻が当たる黒い部分はスウェード調の「レガーヌ」という合皮で、この「レガーヌ」がスポーティネスの源泉というか象徴のように思える。でもって、どちらもレザーっぽいので、ゴージャス感と結びついてもいる。
「レトロスポーツエディション」は、「レトロモダンの世界観をテーマにスポーティーさを融合した特別仕様車」というのがマツダの定義で、マツダ3ファストバックそれ自体、1960年代のクーペを思わせるクラシックなデザインではあるものの、日産「Be-1」とかのような懐古趣味ではない。なのに、内外装の色と素材の組み合わせによって、なるほど、レトロモダンでスポーティに見える。ポルシェ「911」の964型を1960~1970年代風に仕立てる米国カリフォルニアのレストアラー、シンガーの色調にも通じるところがある、と、筆者は思う。
あるいは、この艶消し風オリーブグリーン色と素焼きの茶色の組み合わせに特別な力がある、ということか……。着座すると、ダッシュボードの一部に「レガーヌ」が使われ、テラコッタ色のスティッチまで入っていることに気づく。まるでイタリアの高級車みたい。というのは筆者の個人的な感想にすぎず、こんなイタリア車が実在するわけではないけれど、あえて車名をあげると、ランチア「イプシロン」とかでしょうか。
世界でも稀有なメーカーでもって、エンジンをスタートさせて走り出す。試乗車のパワーユニットは「e-SKYACTIV G」という2.0リッターのガソリン直列4気筒と6ATとの組み合わせだ。eはマイクロ・ハイブリッドの意である。内燃機関の可能性に賭けてマツダが開発した筒内直接噴射の1997ccDOHC16バルブは内径83.5×行程91.2mmのロング・ストローク型で、13.0という高い圧縮比を実現している。最高出力は156ps/6000rpm、最大トルクは199Nm/4000rpmと、数値は驚くようなものでもないけれど、高効率、低燃費を特徴とする。
MHEVのモーターは6.9ps/1800rpmと49Nm /100rpmで、発進・加速時にエンジンをアシストしているはずだ。はずだけれど、その存在を意識することは皆無で、まるで自然吸気の2.0リッター・エンジンのような……いや、自然吸気の2.0リッター・エンジンにしては少々静かすぎる。発進時の負荷をモーターが減らしているのだろう。ほとんど無音で走りはじめる。乗り心地はダンピングがよく効いている。硬め、と、表現してもよい。215/45R18というタイヤサイズのわりには低速でもショックがないところが美点だ。ダンパーが繊細にコントロールされている……と、感じる。
首都高速・湾岸線に上がって北上し、アクアラインの風の強さにおののきながら、館山自動車道をちょこっと走る。途中、ドライブ・モードをスポーツに切り替えると、6ATが1段ダウンシフトし、2.0リッター・ガソリンの直4をグオオオオオオッと歌わせはじめた。さらにアクセルを踏み込むと、3000rpmから7000rpm近くまで、美声を積極的に聴かせてくれる。ノーマルのときとは一変。俄然、血中のペトロール濃度がみるみる上がる。2023年の新車にして、ガソリンエンジンの音色を聴かせてくれるのだからプレシャスで、プライスレスな体験である。
「レトロスポーツエディション」は特別仕様車、ということだけれど、じつはボディ色はジルコンサンドだけではないし、パワートレインの選択肢も広い。マツダ3ファストバックだと、1.5リッターと2.0リッターのガソリン、それに1.8リッターのディーゼルが設定されている。ガソリンの2.0リッターには、今回の4気筒DOHC自然吸気と、圧縮着火を実現した圧縮比15.0のスカイアクティブXもある。駆動方式には4WDもあるし、ギヤボックスに6ATだけでなく、6MTも選べる。
これで6MTだったりすると、レトロモダン&スポーティネスの度合いはさらに上がる。マツダというのはエンスージアスティックであることをみずからに課す、世界でも稀有な、じつにエンスージアスティックなメーカーなのだ。
そんなマツダが提案するレトロスポーツエディション、いいと思います。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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