OPTION誌の連載企画から誕生した“車検対応”の超弩級マシン!
R35誕生の4年前にV型ツインターボ&トランスアクスル化を敢行していた
「深夜の超高速クルーズに的を絞ったBNR34改!」速さを求めて2.8L化+ホリンジャー6速シーケンシャルまで搭載!
BNR34生産終了からR35GT-R誕生までの空白期間。「次期GT-Rがしばらく出そうもないから、自分で作っちゃえ!」ということで、OPTION誌で2004年4月号から連載企画としてスタートした“V35 GT-R化計画”。ベースはCPV35スカイラインだ。
スモーキー永田が目指した世界に1台のV35型GT-Rは、それから2年近くの歳月を経て、超怒級スーパースポーツ“V35 GT-R RX-1”として完成した。連載ではまとめて見せられなかったそのマシンメイクをあらためて紹介しよう。
連載スタート時に掲げられたコンセプトは「目標800psでアテーサ4WDを移植し、当然見ためはカッコよく」というものだった。
そこでまず目標馬力をクリアするためVQ35に代わる心臓部として、排気量で勝る4.5L V8のVK45DEを選択。シーマやプレジデントが搭載するトルク型のパワーユニットだ。これをツインターボ化することに決定した。ちなみに当時“次期GT-RはV8ツインターボで登場する”というウワサが流れていて、それを先取りしてしまおう! という思惑も少なからずあった。
V35のエンジンルームにVK45DEを収めた上でツインターボ化するのは至難の技で、タービンはフロントカバー付近にセットされることになった。当初はウエストゲート仕様のタービンを使う予定だったが、スペースの問題から断念し、アクチュエーター式のGT-RSとした。制御はF-CON Vプロを片バンクに1機ずつ配するツインフルコンシステムを構築し、最高出力は最大ブースト圧1.2キロ時に712psを発揮する。
ツインで装着されるインフィニティスロットル。左右バンクの吸気系を独立させることで効率アップを図っている。バタフライバルブを開閉させるリンケージまわりのメカニカルなメイキングは実にスモーキーらしい造作だ。
フロントバンパーに設けられた左右ダクトの直後には、ARCスペシャルインタークーラーとHKSパワーフローをセット。パイピングの取りまわしを含めてスペース的にキツイことが、このレイアウトからも分かるはず。
そう、アテーサ4WDの移植は残念ながら、エンジンがVK45ツインターボに決まった時点で物理的に不可能と判断された。GT-Rを名乗るために、アテーサは必須システムとの声も確かにあった。が、V8ツインターボが絶対に譲れない条件となった以上、エンジンルームのスペース的にアテーサシステムを組みこむことは無理だったのだ。
その結果、駆動方式はFRになったわけだが、タダのFRで終わらせないのがスモーキー永田という男。V8ツインターボでフロントヘビーになることを嫌い、なんとJZA80用ゲトラグ製6速ミッションをデフキャリアの直前に移設。トランスアクスル仕様を生み出したのである。
トランスアクスルの採用にともなって、プロペラシャフトはワンオフで製作。クラッチはエンジン側に残っているため、クラッチディスクのスプラインにプロペラシャフトが接続されることになる。
左右バンクで完全独立設計となるチタンマフラーはトップシークレットのオリジナル品。メインパイプ径は70φ→90φのテーパー形状とされ、排気効率を高めている。当然のことながら触媒も備わり、公認車検を難なくパスしている。
足回りは、リヤがコイルオーバー化されたオリジナル車高調を装着。スウィフトのスプリングはフロント22kg/mm、リア16kg/mmというバネレート。アッパーマウント部には、スイッチ操作によりエア圧で瞬時に車高を上げ下げできるロベルタカップが組みこまれる。アーム類はオリジナルの試作品に交換され、サスセッティングの幅を拡大している。
ブレーキは前後共ブレンボを装備。フロントが8ポットキャリパー+370mmローター、リヤが4ポットキャリパー+330mmローターという組み合わせだ。
メーターパネルにはスタックST8100とデフィブースト計をセット。センターコンソール上にはワンオフメーターフードが追加され、NEKO AF700(左右各バンク用としてふたつ)とEVCIVが装着される。そのすぐ下にはアルパインの格納式モニターが収まり、最下段のインダッシュ式モニターとのツイン仕様になっている。
シートは電動リクライニング機構を持ったレカロSP-JC。室内にはクスコ6点式をベースに、斜行バーとサイドバーを追加したワンオフロールケージが張り巡らされる。一般的なスポンジパッドの代わりにレザーが巻かれ、独特の雰囲気を醸し出している。
エクステリアはトップシークレットのオリジナルエアロパーツでフル武装。ノーマルに対して50mmワイドとなるフロントフェンダーとバンパーによって、フロントマスクはグッと迫力あるものに変身。特にバンパーはエッジを効かせたデザインとなり、寸法以上のボリューム感を与えることに成功している。
複雑なラインで構成されるリヤフェンダーは100mmのワイド化を達成。オリジナルパーツとして作られたベタづけタイプのリヤスポイラーやテールランプを覆うカーボンパネルなどによって、リヤビューの雰囲気はかなり戦闘的なものへと変わっている。
245/35-19サイズのフロントタイヤ(ポテンザRE-01R)に対して、リヤは最高速を稼ぐため285/40-19(ポテンザRE050A)という外径の大きいサイズによりハイギヤード化が図られる。しかも、リヤタイヤは万が一に備え、エアが抜けてもある程度の距離を自走できるランフラット仕様を装着している。
V35GT-Rが完成するまでは、ひたすら試行錯誤の連続だった。それだけに、アウトバーンでの最高速アタック、それもたった1度で叩き出した341km/hという記録も、東京オートサロンにおける“チューニングカー部門最優秀賞”や、イギリスで開催されたマックスパワーショーでの“ベスト・ジャパニーズ・チューニングカー賞”獲得なども、よりいっそう価値のあるものに思えてくる。まさに伝説だ。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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