クルマ好きが大学に入ると気になる存在、それが「自動車部」。国立私立を問わず、全国およそ120校以上の大学に自動車部があり、長い歴史を誇るところが多い。今回は超都心に拠点を構える強豪、早稲田大学の自動車部をご紹介!!
※本稿は2023年8月のものです
文/奥野大志、写真/ベストカー編集部、撮影/大石博久
初出:『ベストカー』2023年9月10日号
ガチハードな「部内ライセンス制度」って!? 早稲田大学自動車部はストイックさが武器の超強豪だ!!
■超都心に構える早大自動車部
早稲田大学自動車部は1934年(昭和9年)創部。部員数は約25名(うち女性部員は3名)で、保有車両台数は学連戦用の試合車両3台に、練習用の車両多数。活動場所は東京都新宿区の早稲田キャンパス内29-6号館ガレージ
ベストカー読者のみなさん、大変お待たせしました! 「ニッポン大学自動車部調査隊」、慶應義塾大学に続く第2回目は永遠のライバル、早稲田大学の登場です。
早稲田大学は内閣総理大臣を二度務めた大隈重信が1882年(明治15年)に創設(当時は東京専門学校)。1902年の大学昇格以来、長きにわたり私学の最高峰に君臨し、多くの卒業生が官民問わず活躍しています。
また駅伝やラグビー、野球など、大学スポーツの活躍でも知られ、“早稲田レッド”のユニフォームはおなじみの存在ですね。
そんな早稲田大学の自動車部は東京のド都心部、新宿区の早稲田キャンパス内にあります。創部は1934年。話はいきなり脱線しますが、慶應義塾大学の自動車部とほぼ同時期で、日本の自動車産業の黎明期に両学の自動車部が存在していたことになります。“早慶”ってやっぱりスゲー。
■日本一コスパに敏感な自動車部!?
取材に応じて下さった安達悠人氏(左)と宮崎巧郎氏(右)。部内ライセンスのことや部の歴史を事細かに答えてくれた
早大自動車部のガレージは早稲田通りに面した29-6号館にあります。早稲田通り側からもガレージの存在を確認できますが、その裏手に入ると景色は一変。校舎と校舎の間に試合車や練習車が隙間なく並べられており、都心のキャンパスの一角がファクトリーのような雰囲気を醸し出しています。
取材に対応いただいたのは3年生の安達悠人さんと2年生の宮崎巧郎さん。自動車部の施設をていねいにご案内いただいた後、ガレージに隣接する部室でインタビュースタート。
部員は約25名で、活動日は週3回の平日と週末、また、主となる試合は全日本学生自動車連盟(学連)主催の3競技(ジムカーナ、ダートトライアル、フィギュア)であることを教えてくれました。
「過去の部内資料を見ると、試合車がいろいろ代替わりしていることに気づくと思います。弊部は競技志向の強い、自動車部ということが言えると思います」(安達さん)
早稲田大学自動車部の主力マシンはホンダ インテグラタイプR。さらにもう2台ある
現在の試合車は3台のインテグラタイプR(DC2型)。車種を統一することで、部品の確実な確保や、調子のいいエンジンを車体間で融通しています。純正部品やタイヤ、ガソリンの値上げが続くなか、なるべく効率よく戦えるように努力しているのです。
DC2の前はスターレット(EP82型)が全盛で、その前もやっぱりスターレット(EP71型)。どの車種も速くて丈夫(しかも安価)な自動車部の御用達車両として一時代を築いたものばかり。早大自動車部はある意味、日本一コスパに敏感。
また、試合車と同じDC2を個人車にしている部員が複数いるのも特徴で、日頃から同じクルマに乗り、テクニック向上に励んでいます。スキルアップのスピードは爆上がりするはずで、早大自動車部が競技志向であることをビンビン感じます。
■伝統のライセンス制度とは!?
取材当日はダートラから帰ってきた部車がウマにかけられ、部員全員で整備にあたっていた
競技重視の活動を支えるのが部車の取り扱いに関する独自のライセンス制度。
助手席でナビをするための「サイド」がスタートラインで、部の敷地内に限りクルマを運転できる「部内」、自主的に運行できる「乗用系自主運」、貨物車を運転できる「貨物系自主運」、さらに一人前と認められる「ドラ章」まで5段階あり、厳格に運用されています。
「ダート走行では急にハンドルをとられて挙動が乱れることや、うまくギアが入らず、無理やりシフト操作して壊してしまうこともあります。そういうことを起こさないためにも、資格制度は必要と考えています。
また、サイドの資格は、部員に求めていることが法規走行と一致しているので、無意識に基礎が刷り込まれます。誰が運転しても安全に運転できるのが早稲田の強みだと思います」(同)
部が発行する部誌「前照燈」を見せてくれた。50年以上前の冊子も存在し、歴史の長さを再確認した
ちなみに自主運のライセンスをとるには3人の先輩部員の推薦が必要。ハードルは低くないです。さらに3~4年生全員と面接し、正部員の認定を受けると、初めて選手候補として選考に参加することができます。長い道のりですが、やりがいは大きい。
「そこまで到達するのに、入部から1年半から2年ぐらいかかります。宮崎は1年の最後に入部したのですが、どうしても選手になりたいと半年でクリアしました。今70歳くらいの先輩方もこの制度を知っているので、50~60年は継続していると思います」(同)
この制度は一般的なドライバーにとって、過剰に感じるかもしれません。しかし、早大自動車部は、安全運転の重要性を後輩たちに教えることを重視。厳しいライセンス制度を設け、運用してきたのです。
驚いたのは、早大生が自動車部の部員から運転に関するコーチングを受けると、単位を取得できる授業が存在すること。早大自動車部の長く地道な活動は、大学本体に認められています。
■ライバル・慶應と切磋琢磨し上を目指す!!
伝統を受け継ぎながら、挑戦し続けます!
このような早大自動車部の努力は確実に実を結んでおり、2022年度の全日本年間総合杯(学連3競技の合計)は男子団体と女子団体が優勝。全関東の総合杯は男子団体が準優勝、女子団体が優勝と、3冠を獲得しています。
最大のライバルはやはり慶應義塾大学。両学がワンツーを占める試合も多く、自動車部の試合においても早慶が、激しく火花を散らしています。
「慶應に対するライバル心はめちゃくちゃあります。その時代にもよりますが、今はよきライバル関係を築けています。長い付き合いですし、お互い負けたくないので頑張ろうね、と考えています」(同)
慶應義塾大学とほぼ同時期に創部された早稲田大学自動車部。スローガンは「全日本四連覇」だ
早大自動車部の今年の目標は全日本年間総合杯の4連覇(男子団体)。本誌が発売される頃にはダートトライアルの結果も出ており、8月後半のジムカーナ、11月のフィギュアを経て、総合杯の順位が決まります。
結果は学連や各自動車部のホームページで見ることができるので、ガチ勝負を繰り広げる早大自動車部に、熱いエールをお願いします。
■自動車部員の愛車聞き込み調査!!
・岩澤秀造さん……ホンダシビックタイプR(EP3型)
岩澤秀造さん(スポーツ科学部4年)
シビックが好きで、特にEK9が好きだったのですが、価格が高いのでEP3を購入しました。1.6Lの小さなクルマなのに、こんなに速いなんて、面白いと思いました。EP3の魅力はK20Aの強靭なエンジンと安い価格。某走り屋系アニメを見たのがきっかけでクルマに興味を持ちました。
・大矢根洋さん……ホンダインテグラタイプR(DC2型)
大矢根 洋さん(文学部3年)
自動車部のOBで、全日本にインテやシビックで出ている人が多いのですが、先輩たちと戦いたくて、同じインテRに乗っています。自動車部に入ったきっかけは、早稲田通りを歩いていて、たまたまガレージが開いていて「見ていく?」ってことになりまして……。めっちゃ楽しいです。
・平石大智さん……スズキスイフトスポーツ(ZC32S型)
平石大智さん(基幹理工学部3年)
スイスポを選んだのは、競技ができるFF車で、比較的新しいクルマだからです。日常使いとジムカーナに使っています。クルマが好きになったきっかけは小学生くらいの時に『頭文字D』を見たからです。整備がやりたくて自動車部に入ったのですが、どんどんできるようになり、楽しいです。
・吉田太郎さん……スバルインプレッサ(GRB型)
吉田太郎さん(人間科学部2年)
ランエボが欲しかったのですが、早くクルマを買いたくなり、予算的にOKで、ある程度の速さもあるGRBを購入。子どもの頃から父親と雪山に行っていたので、4WDしかないなと思っていました。自動車部に入ったのは乗り物が好きだからで、小さい頃から建設現場の乗り物に興味がありました。
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