1989年に登場したロードスターは、2019年で30周年を迎えた。その間、NAに始まり、NB、NC、そして現代のNDまで4世代の進化を果たしている。なぜロードスターは長い間、愛され続けているのか? 歴代モデルを乗り比べて、その理由をひも解いてみたい。今回は3代目のNCロードスターだ。
ボディは大型化されたが、基本性能は向上した3代目NCロードスター
「3代目 NCロードスター(2005~2014年)
ゴールド免許のちょっと意外な取得条件。無事故・無違反の定義とはなにか?【くるま問答】
初代NAと2代目NBが同じプラットフォームを使った兄弟車であったのに対して、3代目NCはプラットフォーム(RXー8と共有)からエンジンまでまったく別物になった。NAやNBと共通の部品はほとんどなく、本当の意味でのフルモデルチェンジとなったといえるだろう。
ボディが大きくなったことで車重が増えたのは残念な点だが、これをカバーするために2Lのパワフルなエンジンを搭載した。電子制御スロットルを採用するなど、時代に合わせた変更がなされているのも特徴だ。
インテリアのデザインも、NBまでとはまったく異なるものになった。ウエストラインも高くなり、サイドウインドーを下げて肘をドアにのせて運転するのは少しツラくなった。
このように大幅に進化したNCロードスターだが、それでもNAからNBへと続いたロードスターの大切なところは、しっかりと守られていた。それは「人とクルマとの一体感」だ。ドライバーの意志のとおりにクルマを動かすことができるフィーリングの良さだけは、同世代のどのスポーツカーにも負けない。
ただし、クルマが大きくパワフルになり、タイヤが太く高性能になったことにより、軽快感はスポイルされてしまったのは致し方ないところだ。
タイヤを含めた足回りの性能は、確実にワンランク向上し、コーナリングの安定感も高いレベルに仕上がっている。同じコースを走り比べてみれば、間違いなくNAやNBより簡単に速く走ることができる。
逆に言えば、NAやNBはコーナリング性能の限界が低いところを、うまく軽快さというフィーリングに変換していたとも言えるだろう。
スポーツカーとしては、NA & NBの時代よりもステップアップした性能を備えつつ、それでも、従来の乗り味を辛うじて残したのがNCロードスターの真骨頂だった。(文:鈴木ケンイチ/写真:永元秀和、井上雅行)
ロードスターRHT(2006年)
電動開閉ハードトップを備えた「パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)」モデルが追加設定された。オープン状態でもソフトトップモデルと同じトランク容量を確保しており、日本でも人気を呼んだ。
マツダ・ロードスター(2005年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
●ホイールベース:2330mm
●エンジン種類:直4DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:162(170)ps/6700rpm
●最大トルク:189Nm/5000rpm
●当時価格(税込み):231万円~
※( )内はMT
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