昔は羨望の的だったあのお店…なぜ靴屋に?
2024年現在30代後半から40代の人たちにとって、おもちゃ店といえば、城壁をイメージしたような白とピンクのギザギザ屋根が特徴的な「おもちゃのハローマック(以下:ハローマック)」を思い浮かべる人が少なくないと思います。
【え…】前代未聞の“模型化” 全店閉店した「おもちゃのハローマック」(写真)
全盛期は472店が全国にあった同チェーンですが、ネット通販や電気量販店の売り場などに押される形で、残念ながら2008年に全店舗が閉店となりました。しかし、その目立つデザインの店舗跡は未だに他の店舗などに居抜きで流用されています。
その中でも居抜き店舗が比較的多いのが「東京靴流通センター(以下:靴流通センター)」です。ハローマックが靴流通センターに流用されるケースが多いのはなぜでしょうか。
実は、靴流通センターとハローマックは運営企業が同じとなっています。現在も靴流通センターを運営するチヨダ(東京都杉並区)は1985年、当時の「ファミリーコンピューター(ファミコン)」人気を背景に、玩具業界へ参入。画期的だったのが、これまでの駅前や商店街にあった“まちのおもちゃ屋さん”とは違う場所に店舗を設置したことでした。
模型業界紙の記者はハローマックが画期的だった点について「幹線道路沿いに店舗を配置するいわゆる『ロードサイド店舗』戦略で、それまでの玩具店や模型店と一線を画す戦法で出店したことにあります」と話します。
当時まだ日本にトイザらスが上陸する以前で、電気量販店なども直接おもちゃ売り場を展開していませんでした。その中でチヨダのハローマックは、最初期に大規模なおもちゃ屋のチェーン展開をした店のひとつで、1980年代の基準では店舗面積もかなり大型。豊富な商品点数で大きな話題を集め、一躍全国的な存在に躍り出ました。
実は今でもたまに“復活”してる?
ハローマックは実店舗こそ全店閉店していますが、チヨダは定期的に同店に関するアピールを行っています。
実は公式ホームページには、靴流通センターとして流用されているハローマックの居抜き店舗が公開されており、公式キャラクターである「マックライオン」も健在です。
2019年6月には、東京ビックサイトで開催された「東京おもちゃショー」で、ハローマックが出展ブースとして限定復活。チヨダの公式アプリをダウンロードした人は先着で「マックライオン」の缶バッチやラバーキーホルダーが当たるガチャが回せるキャンペーンに参加できたほか、ブースを訪れた人にはマックライオンがプリントされた不織布バッグがプレゼントされました。
当時のブースを筆者も仕事で訪れたことがありますが、実際にハローマックでの勤務歴のあるスタッフが担当しており、「昔はハイパーヨーヨーやミニ四駆を売っていましたが、今は靴ですね」と明かしました。売る製品は変わりましたが、「子どもが喜ぶようなものをという気持ちは同じ」とも話していました。
さらに、2024年の5月には、トミーテックから情景模型(ジオラマ)として、「おもちゃのハローマック」が11月に発売されると発表がありました。全店が閉店した後の実在店舗の商品化は珍しく、ハローマックが街の情景として、人々の記憶に留まっていることがうかがえます。
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