シトロエンの「C5 エアクロスSUV」という全長4500mmのSUVが、2019年5月29日より日本で販売されている。きわめて個性的なSUVだ
試乗した第一印象は、「驚くべき乗り心地のクルマ」というものだった。乗り心地以外の魅力もたっぷりで、力のあるディーゼル・エンジンに使い勝手に優れたパッケージ、さらに充実した運転支援システムなど、最新SUVとして必要十分な機能を有する。
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フランス車というと、ひと昔前はハッチバック・モデルの印象が強かったかもしれないが、このところ、SUVやクロスオーバーの分野にも力を入れており、それらは日本にも導入されている。とくにプジョーとシトロエンのSUVやクロスオーバー車は、ほかの国のプロダクトとは一線を画したコンセプトで、新しいフランス車像を確立した観がある。
スタイリングにしても、昔からの“エレガンス”や“ダイナミズム”とは一線を画している。ほかのSUVと比べて、「?」がつくぐらい、大胆なスタイリングコンセプトをあえて採用するのも、プジョーとシトロエンの特徴といっていいだろう。
なかでもC5エアクロスSUVの個性は格別だ。「C4 カクタス」(2015年発表)に端を発した、どこにヘッドランプがあるのか判然としない独自のフロントマスクデザインの流れを汲む。上下2列になったグリル一体型ライトと、大型のエアダム一体型バンパーが特徴的だ。
とはいえ、エクステリア以上に個性的である、と、思ったのは乗り心地だった。“ふわりふわり”と、常に動いているような、まるで油のうえをたゆたうようなイメージの走りなのだ。これをもって、「慣れていないから……」と、軽い拒否反応を示すひともいるようであるが、私は、走りだしたとたんに、大好きになった。
路面の凹凸をきれいに吸収するすばらしい乗り心地をもたらしている大きな理由は、たっぷりしたストローク感と、新しいダンパーにあるという。シトロエンは、「プログレッシブハイドローリッククッション」と名づけている。
C5 エアクロスSUVのサスペンション・システムに、新しく使われたダンパーは、プライマリー(メインとして動くダンパー)が伸び縮みし、いずれかで限界に達するところでセカンダリーダンパーが減衰の役目をすかさず引き継ぐという構造上の特徴を持つ。
今回、C5 エアクロスSUVに乗った人のなかには、「エアクッション?」と、感じたひともいたが、従来からある金属バネの進化版だ。金属バネにもかかわらず、これほどの滑らかな乗り心地を実現したのはスゴいとしか言いようがない。
世の中には、電子制御ダンパーや電子制御アダプティブ・サスペンションを搭載するクルマは何台もあるけれど、ここまで気持いい動きをする足まわりを体験したことはない。
路面の凹凸が大きくても、つまり不整路面でも、なんの問題もなくこなしてしまう。ステアリング・ホイールを握っている手を通して、あるいは下から入ってくる音によって、路面が荒れているのはわかるけれど、ショックはほぼすべて吸収されてしまい、ドライバーのからだが揺すられるようなことがないのだ。
日本のある自動車メーカーで、乗用車の操縦安定性開発を務める人に、C5 エアクロスSUVに少し乗ってもらった。その人は「つねにクルマが、ゆっくり前後・左右に動いているような足まわりの設定は、日本やドイツのクルマにないもので、その連続した動きが気持よさにつながるのでは」と、分析した。
シトロエンでいうと、かつての「2CV」(1949年登場)や、「CX」(1975年登場)といった一連のクルマが、サイズの大・小に関係なく、「船のような」と、評されもした乗り味をもっていたが、C5 エアクロスSUVでもその乗り味を連想した。
そういえば、油圧と窒素による独自のサスペンション・システムを持っていたCXなどは、高速走行の乗り心地はよかったものの、細い突起のようなものを超えるのは苦手だった。そちらは2CV(それも1970年代までの前後関連懸架方式採用モデル)の得意分野だった。
しかし、C5 エアクロスSUVは、両方の場面において乗り心地は優れている。高速ではふわふわと(しかし頼りないかんじはなく)走るいっぽう、不整路面もなんなくこなす。ショックはシートまででほぼすべて吸収されるので、ドライバーは頭がいっさい動かない。
フランス車が乗り心地を重視するようになったのは、田舎道で街路樹の根による路面のうねりをうまくいなすため、と、言われていた。C5 エアクロスSUVに乗って、そんなエピソードを思い出した。C5 エアクロスSUVであれば、路面を波状にするポプラの根だろうが、難なくこなしてしまうだろう。
搭載するディーゼル・エンジンの完成度も高い。最高出力130kW(177ps)、最大トルク400Nmを発揮する1997cc直列4気筒ディーゼルターボ・エンジンは、ごく低回転域からトルクがたっぷりあって、加速中は力が途切れる印象もない。
室内にいる限り、エンジン音はきわめて静かなので、ディーゼル・エンジン車に乗っているとは気がつかないかもしれない。振動もよく抑えられているし、エンジンの回転フィールもスムーズ。意外なほど速いペースで走行出来た。
静粛性の高い室内は広い。リアシートは3つがべつべつに前後150cmスライドする機能を持っている。テールゲートはかなり立っているので、ラゲッジ・ルーム容量は大きく、なんと580リッター(通常時)~1630リッター(最大)もある。
フランス人はバカンスが好きで、クルマで出かける機会が多い。そのためクルマには、ボディ外寸に対して広い室内というパッケージングと、大きなラゲッジ・ルームを要求するとか。あくまで一般論であると思うけれど、C5 エアクロスSUVの万能ぶりは、さもありなんと感じさせるのだ。
やや残念なのはインテリアだ。ひとことでいうと、子どもっぽい。素材と造型と色づかいが、奇をてらいすぎているように感じた。エアコンやオーディオやナビゲーションなどは平面パネルのタッチスイッチで操作するが、わかりにくいうえ、操作感(クリック音や手ごたえ等)がないので、走行中は操作しづらい。
私は、おとなっぽいインテリアになれば本気で購入を考える。たとえば、ボルボのインテリアが組み合わさったら最強だろう、と、思ったりもした。試乗のとき、連れだったマツダ「CX-8」にも、内装のテイストでは負けているのでは? と。個人的には思った。
SUVでディーゼル・エンジンを搭載するライベル・モデルを探すと、日本市場でも意外なほど車種は豊富だ。
4640mmの全長に、C5 エアクロスSUVとおなじエンジンを搭載するプジョー「5008 GT BlueHDI」(414万円)や、全長4530mmの車体に最高出力110kW(150ps)の2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載するフォルクワーゲン「ゴルフトゥーランTDI」(378万9000円~)が思い浮かぶ。
全長4375mmで最高出力110kW(150ps)を誇るディーゼル・エンジンを搭載するBMW「218dアクティブツアラー」(458万円~)あるいは3列シートモデルの「218dグランツアラー」(493万円~)もある。日本車では4900mmの長めの全長に3列シートを備えたマツダ「CX-8」(360万7200円~)も強力なライバルかもしれない。
C5 エアクロスSUVの価格は424万円。シートは2列しかないものの、運転支援システムを含む先進・快適装備は充実している。よく出来たディーゼル・エンジンと、快適な乗り心地は強力な武器だ。個性的な内外装のデザインさえ問題なければ、日々のパートナーとしてとても好きになれる1台になるだろう。
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