■続々と広がりを見せる「クロスオーバー化(SUV化)現象」
近年、これまでセダンやハッチバックといったボディタイプが主流だったモデルがその名を用いつつ、クロスオーバー化(SUV)しています。
トヨタでは、「ヤリス」の派生車として「ヤリスクロス」、「カローラ」の派生車の「カローラクロス」(日本未導入)です。では、ほかの国産メーカーでは同様の事例はないのでしょうか。
かつて日産では、「スカイライン」の派生車として「スカイラインクロスオーバー」を日本でも発売していました。
また、最近では日本を代表する高級セダンのトヨタ「クラウン」が次期型モデルでセダンを廃止して、クロスオーバー化するという報道が話題となっています。
ただし、ひと言でクロスオーバー化といっても同じプラットフォームを使って開発・販売する際にはふたつの方法があります。
ひとつは、前述のようにヤリスやカローラなど代表的なモデル名を用いてさまざまなボディタイプを展開する方法です。
とくに、カローラの場合は、セダンの「カローラ」、ステーションワゴンの「カローラツーリング」、ハッチバックの「カローラスポーツ」、クロスオーバーの「カローラクロス」というラインナップ。
一方で、カローラと同じくプラットフォームは同じでも車名を別にする方法では、例えばトヨタのTNGAプラットフォーム「GA-K」の場合、セダンのトヨタ「カムリ」「アバロン」、レクサス「ES」、SUVの「RAV4」、「ハイランダー」、「ハリアー」、ミニバンの「シエナ」と異なる車名やコンセプトとして展開されています。
これらは、国や地域のニーズや文化、そしてそのブランドに対する国毎のイメージなどによって、異なるため一概に決められるものではありません。
しかしながら、ある程度認知された車名を用いて販売するほうが、ゼロから築きあげるよりも、販売台数を稼げる確率は高くなります。
では、なぜ最近のSUV人気においてトヨタ以外の国産メーカーはヤリスやカローラのように認知された車名を付けたSUVを販売しないのでしょうか。
日本でのSUVモデルのラインナップについて、ホンダは次のように話します。
「現在、グローバルでは地域に適したモデルを投入しています。日本では、コンパクトな『ヴェゼル』、ミドルサイズの『CR-V』です。
また、2020年2月にはコンパクトカー『フィット』で異なる5つのタイプを設定しましたが、その際に『クロスター』というSUVテイストを盛り込みつつ、車高をほかのタイプより挙げているものを展開しています。
日本市場では、コンパクトSUVの需要が高まっていますが、ホンダではヴェゼルとフィットクロスターでそのニーズに対応しています。
そのため、フィットクロスターがヤリスでいうヤリスクロスのような存在といえます」
一方で日産は、国内のSUVラインナップについて次のように話しています。
「日本では、2010年からコンパクトSUVとして『ジューク』を販売していました。その後、2020年6月には新型コンパクトSUVとして『キックス』を投入しています。
ジュークは、2019年秋に欧州で2代目にフルモデルチェンジしています。そのジュークを日本に導入するかどうかについて検討はしておりましたが、ジュークはデザインは優れているものの、後席や荷室の狭さが日本のユーザーには適していないのではないかと考えました。
キックスは、後席も荷室も広く確保しており、デザイン性だけではなく実用性も兼ね備えています。
そのため、日本には新型キックスを導入し、後席や荷室の広さよりもデザイン性を重視する傾向がある欧州では新型ジュークを販売しています。
現在、ほかの自動車メーカーでも同じですが、グローバルにおいてそれぞれの国や地域で『選択と集中』をおこなっており、それは日本市場でも同様です」
※ ※ ※
65年という長い歴史を持つクラウンは、初代モデルからセダンを設定し、時代によってバンやハッチバックなどさまざまなボディタイプを展開していました。
しかし、今回の報道では昨今のセダン需要の低迷から「セダンを廃止して、クロスオーバー化を検討」となっています。
今後、クラウンがどのような方向性を示すのかは現在では、定かではありませんが、ベースとなるセダンが無くなるというのはひとつの時代の象徴なのかもしれません。
■クラウンはセダン廃止を示唆!? アコードはどうなる?
クラウンのクロスオーバー化が話題となったなかで、競合するとされているのが、スカイラインやホンダ「アコード」です。
なかでも、前述のスカイラインクロスオーバーは、12代目スカイラインの派生車として2009年に登場しました。
外観デザインはセダンのスカイラインをイメージさせるフロントマスクに、クーペスタイルのフォルムとなっています。
パワートレインは330馬力を誇る3.7リッターV型6気筒エンジンを搭載し、駆動方式はFRもしくは4WDが設定されていました。
ラグジュアリークーペは海外市場に投入されていたインフィニティ「EX37」として開発されたモデルです。
これを国内向けに仕立て、スカイラインの名前を冠したのですが、旧来からのスカイラインファンからは「なぜスカイラインなのか?」という声がありました。
その後、スカイラインクロスオーバーの販売は芳しくなく、惜しくも2016年に生産を終了。
現在、インフィニティは北米で「QX50」という当時のスカイラインクロスオーバー(EX35)の後継モデルともいえる存在がラインナップされています。
もしも、このQXをスカイラインクロスオーバーとして日本市場に再投入すれば、一定数の需要が見込めるかもしれません。
ホンダでは、2020年2月に10代目アコードが日本市場で発売。ホンダによれば、2019年の年間グローバル販売実績は49万9493台だといいます。その大半を占めているのが、北米市場(25万8999台)と中国市場(21万7899台)です。
10代目となる新型アコードは、2017年に北米市場に導入し、その後2018年に中国市場で発売されており、日本市場への導入は後発の部類となります。
その理由として、開発責任者の宮原哲也氏は「各地域のほかのモデル導入を含めたうえでのタイミング」と語ります。
「歴代アコードを振り返ると実用性や走りに関しては高い評価を得ています。しかし、デザインに関してはそれ以上でもそれ以下でもないことが大きな課題でしたので、新型アコードでは『若返り』を開発キーワードとしています。
ただし、おじさんが無理に若作りするということではなく、若い人が見て『おじさんカッコいいよね』といわれるようなモデルを目指しました」(宮原氏)
アコードは、前述のように北米と中国で絶大な人気を誇ります。以前から北米や中国ではセダンの需要が高く、それらの要素からアコードはホンダの普通車販売の柱となっています。
しかし、昨今では北米でセダンの需要が縮小傾向にあり、米国メーカーではセダンのラインナップを廃止する動きも出ています。
中国でもラグジュアリーSUVの人気が出てきており、欧州メーカーなどが続々と投入するなど、まだSUV人気は続きそうです。
また、世界中の自動車市場で電動化が急激に進んでいいますが、とくに中国は電動化の筆頭市場といえます。
実際にホンダは、2020年9月26日に中国で初となるホンダブランドの電気自動車のコンセプトモデル「Honda SUV e:concept」を発表。
このモデルについて、ホンダは「将来、中国で初となるホンダブランドのEVの量産を見据え、その方向性を示すEVコンセプトカー」と説明しています。
セダンの縮小、SUV人気、電動化を考えると、今後北米や中国で売れ筋のアコードがクロスオーバー化する可能性も無いとはいいきれませんが、ホンダは明確なコメントをしていません。
実際にホンダ販売店では、「クラウンのニュースを見たお客さまから、『アコードはSUV化しないの?』というような声を頂きました。もし、商品化されれば話題性は大きいかもしれません」と話します。
クラウンのクロスオーバー化が検討されるという報道があったように、アコードのクロスオーバー化が実現する未来も考えられそうです。
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