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原点回帰とも言われる新型ステップワゴン! 戻るべき「歴代最強」モデルは何代目か?

掲載 更新 12
原点回帰とも言われる新型ステップワゴン! 戻るべき「歴代最強」モデルは何代目か?

 この記事をまとめると

■6代目ステップワゴンが発表された

ミニバン市場に異変! バカ売れだった「ノアヴォク・セレナ・ステップワゴン」が売れないワケ

■6代目は初代の面影を残したエクステリアということで話題になっている

■歴代ステップワゴンの中で最高だった1台を振り返る

 6代も続くミニバンの長老は一周まわってどれが最適解か

 2022年2月からの先行予約に先立ち、新型ステップワゴンが、そのスタイリングを公開した。初代や2代目を連想させるスクエアなシルエットやシンプルなフロントマスクはユーザーから好意的に評価されているようだ。

 ところで、新型モデルはステップワゴンとしては6代目にあたる。初代の誕生は1996年5月、ステップワゴンは意外に歴史が長いモデルとなっているのだ。新型モデルのスタイリングが発表されたということで、初代からの流れを振り返りつつ、歴代のベストモデルを考えてみよう。

 ステップワゴンはMクラス・ミニバンというカテゴリーに分類される。簡単にいうと5ナンバー(小型車)サイズの枠に収まるスライドドアのミニバンというのが同カテゴリーの基準で、ライバルは日産セレナやトヨタ・ノア/ヴォクシーなのはご存じのとおりだ。

 しかし、初代ステップワゴンが『ファミリー・ムーバー』というキャッチコピーを引っさげてデビューしたときには、Mクラス・ミニバンというカテゴリーは存在していなかった。当時、日産からバネットセレナという商用ベース(後輪駆動)のミニバンはあったが、乗用車ベースのFFプラットフォームから生まれた5ナンバーサイズのミニバンはステップワゴンが最初だったのだ。

 そうしてステップワゴンが切り開いたFFの5ナンバーサイズ・ミニバンというカテゴリーは大いに市場から評価された。1996年にはトヨタが対セレナとしてはタウンエースノアを出すが、名前からもわかるように商用車ベースであることはセレナ同様で、ステップワゴンの牙城を切り崩すことはできなかった。

 たしかにセレナはSR型エンジンを積むなどシルビア的な要素がありFRのハンドリングは楽しいものだったが、フロント・ストラット、リヤ・ダブルウイッシュボーンのステップワゴンのほうが安定感は上だった。さらにいえば、FFパッケージはプロペラシャフトがない分だけ床を低くでき、スペース効率でも圧倒していたのだから商用車ベースのセレナやタウンエースノアでは同じ土俵に上がることができなかったのも致し方ない。

 さらに、2001年にフルモデルチェンジした2代目ステップワゴンは、リヤ・ダブルウイッシュボーンというスポーティなサスペンションを進化させつつ、エンジンをi-VTEC(吸気側バルブタイミング&リフト可変機構)を備えていた。ダブルウィッシュボーンとVTECの組み合わせは、その響きだけでホンダのスポーティテイストを期待させるものだった。

 ライバルのセレナは1999年のフルモデルチェンジで、またノア/ヴォクシーは2001年のフルモデルチェンジの際に、ともにFFプラットフォームに生まれ変わったのはステップワゴンのフォロワーになったということであり、この頃からMクラス・ミニバンというカテゴリーが激戦区になっていった。そうして、日本市場はミニバン天国と呼ばれるようになった。

 Mサイズミニバン王者の牙城が崩れる時が来る

 しかし、ステップワゴンは2005年5月のフルモデルチェンジで迷走する。スポーティ路線で評価されていると考えたのか、全高を下げてしまったのだ。低床コンセプトを極めたことで室内高は従来モデルと同等を確保していたが、ライバルより小さく見えたことは致命的だった。つり目のフロントマスクも不評の理由で、それまでの人気ぶりがウソのようにMクラス・ミニバンでの勢力図が変わっていった。

 2009年10月には初代のイメージに立ち返った4代目モデルが誕生する。デビュー当初のラインアップは標準系とカスタム系(スパーダ)ともに2リッターエンジンだけの設定で、スクエアでライバルに負けない立派なボディもサイズを小型車枠に収めた全車5ナンバーと基本に立ち返った。しかし、3代目での失速を取り戻すことができなかった。

 2015年4月に登場した5代目は、ライバルとはまったく異なるテクノロジーや装備で差別化していた。具体的には、1.5リッターのダウンサイジングターボと、縦横に開く「わくわくゲート」が特徴となるが、ハイブリッド・トレンドに対してダウンサイジングターボだけでは勝負にならず、2017年9月に2モーター式ハイブリッドを追加設定するが、時すでに遅し。ノア/ヴォクシーやセレナにはダブルスコアで差をつけられていたのが実際だ。

 こうして、ステップワゴンの歴史を振り返ってみると、やはり初代と2代目が好印象となるのは否めない。6代目モデルが原点回帰とばかりに、初代に通じるスタイリングとなったのは、ステップワゴンの勢いを取り戻したいという思いがあるからに違いない。

 では、歴代ステップワゴンのベストモデルは初代なのかといえば、個人的には2代目を推したい。

 そのポイントは世界観にある。じつは2代目には車載して使うことを想定した「ステップコンポ」という折りたたみ電動アシスト自転車が用意されていた。オプションのAC電源を装備すれば、走りながらステップコンポのバッテリーを充電、目的地では電動アシスト自転車でサイクリングという楽しみ方が提案されていたのだ。

 素性のいいハンドリングやシャープなエンジンによる走りの楽しさ、ステップコンポを使ったモビリティをミックスした楽しみ方……、実際にステップコンポを購入したユーザーはごく一部だったろうが、そうした世界を見せてくれた2代目ステップワゴンの勢いを、はたして6代目ステップワゴンは再現することができるのだろうか。

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