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新型「SL」 2Lターボでも、上級オープンカーの優等生 ハードルは1600万円超えの価格

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新型「SL」 2Lターボでも、上級オープンカーの優等生 ハードルは1600万円超えの価格

日本仕様 まずは1グレード

さすがに厳冬期は辛いが、秋から初冬はオープンカーの旬。イメージでは初夏辺りが似合いそうだが、陽射しが厳しい時期は熱中症にもなりかねない。

【画像】いま日本で買える、ベンツ/AMGのオープンカー【SL 43の細部を見る】 全87枚

個人的な感想と言われればそれまでだが、肌寒さを感じる頃に“防寒着を着て”くらいで走らせるのがオープンカーの醍醐味と信じている。

で、AMG SLロードスターである。

メルセデス車のオープンカーラインナップは他に「Eクラス・カブリオレ」と「AMG GTロードスター」の3モデルがある。

キャビン実用性では何とか実用の後席を備えるEクラス・カブリオレ、2シータースポーツのGTロードスター、まったくの2+2のSLロードスターという体。

実用性でオープンカーを選ぶユーザーはいないと思うが、サブトランクとしてバッグ等の身周り品のチョイ置き等に使えるので、後席の有無は意外と実用性に影響する。

SLロードスターにはパワートレインと駆動方式により3モデル設定されているが、日本に導入されているのは標準仕様とも言える「SL 43」。駆動方式は2WD(FR)で、装備設定も含めて1グレード構成となっている。

車内は? ヒーター機能を確認

11月後半の箱根路、冬の気配が濃くなる頃。オープンカーに丁度いいとは思うものの相応の服装をしても寒い。そんな中でのSL 43である。

傍から見れば寒々しくもあるのだろうが、乗ってる当人にすれば意外と快適。エアコンとシートヒーター(ベンチレーター)だけでなく、襟元に温風を送り出すエアスカーフが備わり、寒さを跳ね返す。

冷えを感じる要点を、効率的に温めているわけだ。

走行速度が高ければサイドウインドウくらいは立てるが、基本はフルーオープンでの試乗となった。

一応、ソフトトップを被せての居心地もチェック。

防音マットを挟み込んだ三層構造を採用しただけあって、ハードトップには及ばないまでも会話やオーディオを楽しむに十分な静粛性と心地よい密閉感を生み出していた。

また、ウインドウ越しの視界に制限されてもとくに視角的閉鎖感は覚えなかった。青天井の爽快さは味わえなくても快適なツーリングを楽しむには十分である。

「C 43」のエンジンと違う点

なお、ソフトトップの開閉はセンタコンソールのスイッチパネルまたはメディアディスプレイの操作で行い、要する時間は約15秒。

しかも60km/h以下ならば走行中の開閉が可能。これも臨機応変にオープン走行を楽しめる要点の1つだ。

4気筒2Lターボは型式では「AMG C 43」と共通だが、実際に走らせてみるとSL 43のほうがパワーフィールがマイルドに感じられる。

パワースペックでも最高出力は27ps、最大トルクは2.1kg-mほど低下。

悪い言い方をするならばディチューン版となるが、クルマのキャラクターに合わせた見識と考えるのが妥当だろう。

「C 43」は4WDを採用したスポーツモデル、「SL 43」はFRのオープンカーであり、走りの楽しみ方が異なっている。

AMG SLのレシピ 加速の味付け

とはいえ400ps近い最高出力を発揮する2Lターボだ。

高回転まで衰えることのない豊かなトルクを維持。加速のキレと伸びやかさはAMG車らしい。加速性能も昂揚感もスポーツモデルとして何の不足もない。

ただ、SL 43をドライブしているとそれが余技として思えてしまう。

本領は“悠々としたドライブフィール”。例えば登坂・加速でアクセルを踏み込んだ時、初期のトルク立ち上がりに重きを置いた加速を示す。

後半の加速の伸びは穏やかで、時としてマニュアル変速を挟んでリズムを刻むもよし。攻める速さではなく、体感的にもストレスがなく心地よい加速感が印象的。「悠々」と「意のまま」の按配が妙味だ。

オープンカーは車体剛性がウィークポイント。中でも捻り剛性の確保が厳しい。しかし、SL 43は操安性でも乗り心地でもオープンカーのハンデを感じさせなかった。

乗り心地/ハンドリングについて

ハンドリングは徹底的な安定志向。

400psに近いパワーとFRの2WD。切れ味のよさ、あるいは軽快な姿勢変化はラフなアクセルコントロールで破綻しやすい。

SL 43は急激な回頭性や後輪への負担増を抑え、操舵に穏やかに追従する操縦性を示す。

ある意味では鈍いとも思えるが、コントロール感に曖昧さはなく、狙ったラインに乗せやすく、後輪のトラクションで姿勢を安定させやすくもある。後輪に荷重とトラクションが掛かったFRの「いい感じ」を楽しみやすい特性でもある。

乗り心地面で感心させられるのは車体をシェイクするような、いわゆるブルつきが一切感じられなかったこと。細かな突き上げもサスストロークで吸収するサスセッティングの効果も少なくないが、車体捻り剛性の高さがよく分かる。

しかも、腰のあるストローク制御で収束・据わりも良好。決して柔なサスチューンでないのは前述の操安特性からも理解できるだろうが、“柔を纏った剛”とも表現したくなる乗り心地である。

ハードルを越えられるヒトなら…

SL 43ロードスターは爽快にして頼もしく、上級クラスらしい質感・振る舞いを備えたモデルである。

何よりオープンカーの楽しさをきっちりと味わわせてくれる。付け加えるなら狭いながらも後席を備え、荷室容量もフルオープンにしては広い。同ジャンルでは優等生でもあるのだ。

ただ、AMG車でしかもオープンカー。さすがに値も張り価格は1648万円。

ちなみに前項で引き合いに出したC 43よりも500万円以上高価である。生活やレジャーにクルマを積極的に活用するなら、別にファーストカーを揃える必要もあるだろう。

オープンカーに魅力を感じているドライバーにとってSL 43がいかによく出来ているか語っても、コスト面や実用面の“ハードルの高さ”は如何ともし難い。

そういった意味では、プレミアム中のプレミアムでもあれば、クルマ道楽の頂点の1つと言ってもいいかもしれない。

メルセデスAMG SL 43 スペック

価格:1648万円~
全長:4700mm
全幅:1915mm
全高:1370mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:10.8km/L
CO2排出量:-
車両重量:1780kg
パワートレイン:1991c 直4ターボ+BSG
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):381ps/6750rpm
最大トルク(エンジン):48.9kg-m/3250-5000rpm
最高出力(モーター):13.6ps
最大トルク(モーター):5.9kg-m
ギアボックス:9速オートマティック

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みんなのコメント

36件
  • 質感落ちて安っぽくなっていく。
    液晶増やすとどうしてもねぇ。
    エンジンは吉利汽車って奴なん?
    にしても四発では縦置きでもいらんな。
  • 出たばかりにしては中古多いのは何故?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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