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【比較試乗・ミドルワゴン編】「メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン×BMW5シリーズ・ツーリング×アウディA6アバント」これがアッパーミドルワゴンの最前線

掲載 更新 38
【比較試乗・ミドルワゴン編】「メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン×BMW5シリーズ・ツーリング×アウディA6アバント」これがアッパーミドルワゴンの最前線

ジャーマンプレミアム御三家のアッパーミドルワゴンは、時にはビジネス、時にはプライベートの“アシ”として活躍。しかもそのチョイスが周囲から羨望の的になることも。ここではそんなマルチユースな3台を同時に走らせ、あらためてそれぞれのキャラクターを明らかにしてみる。

排気量を意識させないE200の力強さ

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一時期、ドイツ御三家はブランドの方向性を修正していたように思える。メルセデス・ベンツはスポーティに、BMWはラグジャリーに、アウディは、そのままだったけど……。そんな変化が、ブランドの価値を一段と高めたことは間違いない。ただ、近年は本来の価値を再び強化しつつある。

MERCEDES-BEMZ E200 STATIONWAGON SPORT メルセデス・ベンツは、ラグジュアリーであり優れた実用性を備えることがE200を走らせると明らかになる。ザラついた路面を通過する際に聞こえるゴーッというロードノイズは同行のライバルと比べて音量が低く、2020年9月のマイナーチェンジにより耳元でザワつく印象も改善された。ワゴンで問題になりがちな、リアから聞こえる排気系のこもり音とも無縁だ。このあたりの快適さは、メルセデスならではと納得できる。

エンジンは、1.5Lの直列4気筒ターボを搭載する。アッパーミドルのワゴンに1.5Lエンジンでは頼りなさそうだが、日常的な場面では満足度が高い。48V電気システムを採用するマイルドハイブリッドを組み合わせているからだ。低回転域では、ジェネレーター(発電機)を兼ねるモーターが最大トルク160Nm(クランクシャフトへの作用値)を発揮してベルト駆動によりエンジンをアシスト。発進時はターボによる過給効果を得る前に力強さが立ち上がり、アクセル操作に即応して排気量を意識させない加速に入る。




しかも、ターボは低回転域をモーターに任せ中回転域にかけて過給効果を立ち上げるので、3000rpm台に乗るまでの力強さの盛り上がり感が心地よい。とはいうものの、そのままアクセルを踏み続けても高回転域でパワーが伸びるわけではない。加速のスポーティさを期待するなら、E300以上のグレードを選べばいい。

相変わらず、ステアリングの切れ味とサスペンションの動きはスムーズだ。ノーズが軽いので、コーナー進入時の応答性は想像以上に軽快。コーナリング中は、路面のうねりを通過してもロール感を適度に抑えながらフラットな姿勢が保たれるあたりも好印象だ。

BMW 540i xDrive TOURING M SPORT 同じ場面で、540iはロールが認められボディが少しだけ縦揺れする。おやっ、BMWらしくないと判断するのは早計だ。抑制された姿勢変化は、むしろ操作に対してクルマが忠実に反応していることを示す実感となるからだ。一時期、ラグジュアリーな走りも重視したことで得た新たな価値といえる。もちろん、ボディの余計な動きが残ることはない。

コーナーの立ち上がりでは、アクセルをわずかに踏みエンジン回転数が2000rpm台であっても加速時は音量こそ低いが誘いかけるような快音が聞こえてくる。そのため、もっとアクセルを踏み込んでみたくなる。実際にそうすると、3Lの直列6気筒ターボはDレンジのままでもタコメーターの針が6500rpmから始まるゼブラゾーンに突入する。




その間、パワーはギッシリ詰まっている。メーターにパワーを表示するとスペックの通りに5500rpmで340psに達し、その先で落ち込むことがない。高回転域でパワーが伸びるのも、当然というわけだ。そして、アクセルを戻すとクゥーンと心地良く余韻を奏でる。

A6で明らかとなるアウディ流の洗練度

こうした、ドライバーへの訴えかけの巧みさはBMWならではの魅力でありスポーティさを際立たせる。さらに、ラグジュアリーな一面を備えることも。たとえば、荒れた路面を通過する際にタイヤがインパクトノイズを発することがある。だが、ゴツッではなくドスッという感じになる。それだけに、不快感を伴う突き上げではなく衝撃を抑え込んでいる印象になり、ノイズさえも演出したかのように思えてくるのだ。

AUDI A6 AVANT 55 TFSI QUATTRO LUXURY A6 55 TFSIは、スポーティさやラグジュアリーであることばかりを強調せずアウディらしくソフィスティケート(洗練)された乗り味に仕上げられている。サスペンションは、同行のライバルよりも引き締まった設定となりボディの動きを最小限に抑える。ステアリング操作に対する応答性は、フロントがE200より130kgも重い1040kgを負担していることが信じられないほどダイレクト。それでいて、乗り心地という意味で硬さが気になることはなく快適そのものなのだ。

直進性の感じさせ方もアウディ流であり、クワトロらしくステアリングがセンターでビシッと落ち着いているのかといえばそうでもない。むしろ、センターには微小な不感帯(遊び)がある。にもかかわらず、目視できるような路面のわだちに進路が影響されることがないあたりは見事であり、直進時の安定感の高さに結びつく。




3LのV型6気筒ターボは、48V電源を備えるマイルドハイブリッド。E200もそうだが、モーターは脇役に徹し出番に気づくことさえない。それでも、走りを支える名脇役であることは確か。高速道路では、多くの場面でエンジンが1500rpm以下を維持する。少しだけアクセルを踏み足して追い越し加速に入る場面の力強さの立ち上がりといったら、感心させられるほどスムーズなのに勢いが増してくる。メーターを見れば、7速から6速にダウンシフトされている。デュアルクラッチ式のSトロニックを搭載するためもあるが、モーターがアシストしつつ高精度で余計なトルク変動を抑制しているに違いない。

いかがだろうか、御三家それぞれにブランド本来の価値に付加価値を巧みに融合させている。そこに、アッパーミドルワゴンにふさわしい機能性をいささかの抜かりもなく上乗せしていた。

ラゲッジルーム

E200

540i

A6

【PERSONAL CHOICE】BMW 540i xDrive TOURING M SPORT

走りの味わいが深くて濃い540i

試乗車の540iとA6 55 FTSIは減衰力を可変するサスを装備。その設定は540iがラグジャリーでA6はスポーティ。なのに魔法のように走りは正反対。ただ味わいはE200を含めて比べると540iが圧倒的に濃いのだ。

文:LE VOLANT CARSMEET WEB 萩原秀輝
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