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便利すぎるスライドドア! プロが感じた「思わぬデメリット」とは?

掲載 更新 54
便利すぎるスライドドア! プロが感じた「思わぬデメリット」とは?

ミニバン&ワゴンに採用されているスライドドアの○と×

 子育てファミリーや高齢者、妊婦さん、そしてペットのクルマの乗降を快適に、便利にしてくれるのがスライドドア。今ではミニバンはもちろん、ハイトワゴン系コンパクトカーのプチバン、軽自動車にも採用され、どれも人気車種となっている。

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スライドドアのメリット:開口部が広く乗り降りしやすい

 リヤヒンジ式ドアにくらべてスライドドアが乗り降りしやすい理由は、大開口が取れ、ステップを低く、段差なく仕立てることができる。まるで自宅の玄関に入るような感覚だ。低い敷居からまっすぐに体を大きくかがめることなく乗り降りでき、ドアを外側に大きく開く必要がなく、左右が狭いスペースでも容易に乗り降りできる点にある。

 加えてパワースライドドアであれば、スイッチひとつでスライドドアを自動、力要らずでスマートに開閉でき、車種によってはクルマに近づくと開き、クルマから離れると閉まる、予約機能があったりする。また、車内温度の上昇を抑制し、プライバシーをある程度守れるロールブラインドを付けやすいといったメリットもある。

スライドドアのメリット:ヒンジ式ドアよりスムーズな乗降性

 一方、低全高のセダンやワゴンに使われるヒンジ式ドアの場合、もちろんタクシーを除いて手動開閉操作が基本。スライドドアにくらべ開口部が狭くなってしまうだけでなく、サイドシルとフロアに段差があるのが普通で乗降のスムーズさという点で劣り、斜めに車内に入ることになる(90度開閉できるヒンジ式ドアを除く)。高齢者、妊婦さん、特に真っすぐにしかジャンプしにくいペットの乗降性では、スライドドアに大きく譲ることになる。

スライドドアのデメリット:非電動タイプは開閉に腕力が必要

 とはいえ、スライドドアにデメリットがないわけではない。国産のミニバン、プチバン、スーパーハイト系軽自動車の多くにはパワースライドドアが用意され、繰り返すけれど、車内のスイッチ、ドアオープナー、そしてリモコンでも自動開閉が可能でラクラク。

 だが片側パワースライドドアの非パワースライドドア側、ルノーカングーやシトロエン・ベルランゴといった欧州車の非パワーのスライドドアの場合、スライドドアが大きく重いため、操作はけっこう重い。細腕女性ならずとも、かなりの力が必要なのだ。

 しかも、パワー、非パワーのどちらのスライドドアも、パタンと一瞬で開閉できるヒンジ式ドアと違い、完全にドアを開く、閉めるのに時間がかかるのが普通。緊急時や急いでいるときなど、特に降車時はイライラする人もいるかも知れない(せっかちな人!?)。

 細かい点では、同じ車幅のクルマの場合、ヒンジ式ドアよりスライドドアのほうが、室内幅が狭まってしまう例もある。これはスライドドアのほうがドアに(パワースライドなどに関わるさまざまな機構が内蔵されるため)厚みが必要だからだ。もっともこれに関しては、同じクルマでヒンジ式ドア車とスライドドア車を比べる機会がなければ、あまり気にするほどのことではないだろう。

 が、スライドドア化すれば開口部周りの補強、パワースライドドアならヒンジ式ドアでは必要のないモーターやレールなどが付加されるため、重量がかさみ燃費面で不利になるのは否めない。

スライドドアのデメリット:経年変化によるガタツキの可能性アリ

 最後に、ある意味決定的なスライドドアのデメリットとして、経年変化によるガタツキの原因になるという弱点がある。そもそも大開口に大きく重いドアを張り付けるのだから、比較的軽く、取り付け部剛性も確保しやすいヒンジ式ドアに比べて走行振動などによって、時間や走行距離がかさめば、ガタつきが出ても不思議ではない。

 ただそれが、走りの質感、静粛性などに影響することは事実。実は最近、某スライドドア車を試乗した際、まだ新車から半年、走行5000km程度にもかかわらず、リヤスライドドアからのガタつきが認められ、走りの快適感に大きく影響した事例があった。自動車専門誌の試乗レポート中のことだけに、メーカーに原因の解明をお願いしたところ、取り付け部のガタではなく、ドア開口部周りのゴムモールのズレ(一部剥がれ)が原因だったと判明。

 しかし一般ユーザーがそうしたクレームをディーラーに進言したとしても、どこまで丁寧に調べて対処してくれるかは分からない。たまたま整備士が試乗した際、現象が出ずに原因不明として対処してくれない可能性もあるのだ。

 この点については、急のつく操作をしない、ボディが大きく(自然に)ゆがむような荒れた路面はなるべく走らない、定期的にスライドドア周りの点検を行う、ガタつきの症状が出たら早目に対処する(放置するとますます悪化する。保証期間中に対処すれば修理費用も掛からない)などの気遣いが必要だろう。

 ただし、以上のパワースライドドアの少なくないデメリットは、特に子育てファミリーや高齢者、妊婦さん、そしてペットの乗降での便利さ、快適さと天秤にかければ許せる範囲。デメリットを上回るメリットがあると納得できる人が多いはずである。

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みんなのコメント

54件
  • 一番のデメリットはチンタラ開く電動スライドで台風みたいな大雨の時に車内がずぶ濡れになること。
  • 電動スライドドアの遅さは本当にイライラするよねぇ。
    電動開閉スイッチを操作したときだけ電動で動作し、ドアノブを操作したときはモーターをドア開閉ギアから物理的に離して(モーターがギアにかまされたままだと操作が重くなる)手動開閉ドアとして動作するようにならんものか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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