現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【プラグインの評価は?】トヨタRAV4 PHV試乗 ハイブリッド仕様との違い 充電/内装/荷室は?

ここから本文です

【プラグインの評価は?】トヨタRAV4 PHV試乗 ハイブリッド仕様との違い 充電/内装/荷室は?

掲載 更新 1
【プラグインの評価は?】トヨタRAV4 PHV試乗 ハイブリッド仕様との違い 充電/内装/荷室は?

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】RAV4 PHV、新型ハリアー 細部を比較【実車写真】 全105枚

photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

プリウスPHVに続くプラグイン・ハイブリッド車として開発されたモデルが、RAV4 PHVである。

その名のとおり、外部からの充電が可能なのがPHVの特徴だが、PHV化に合わせた変更が加えられている。スペックで最も目立つのはハイブリッド用バッテリーの容量拡大である。

1.59kWhのRAV4 HV(ハイブリッド)に対して、PHVは10倍以上の18.1kWh。

しかも劣化抑制のための常用容量制限が厳しいニッケル水素から制限が少ないリチウムイオン電池への変更で、実用容量の差はさらに拡大している。

また、E-Four(Eフォー)の後輪駆動ユニットは共通しているが、ハイブリッドシステムと一体となった前輪駆動用モーターを、HVの46kW(62ps)増となる134kWの新型モーターに変更。

エンジン型式はHVと共通するが、これもPHV用にトルク特性などの見直しが図られている。

興味深いのは外部充電システムである。

充電時間/価格差について

外部充電の方式は、普通充電のみの対応。100V/6A、もしくは200V/16Aとなり、充電時間の短い200Vでも満充電には5時間以上掛かる計算だ。

当然、出先での再充電は難しく、車両保管場所での充電が基本となる。

ちなみにプリウスPHVは、OP設定で急速充電に対応できる。急速充電スタンドの普及と急速充電必須のEV(電気自動車)を考えると、PHVは急速充電スタンドの使用を控えるべきとの考え方もあり、普通充電のみとしたのは1つの見識ではある。

価格は装備揃えでHV/Eフォーの約70万円高。プリウスのHVとPHVにほぼ準じた価格差であり、ベース車の元値の違いを考慮するならプリウスよりも多少手頃感のある値付けだ。

アウトドア趣味のレジャー適応で主役となるミドルSUVとしては射程距離に収まる価格設定でもあり、走りの付加価値を気に入ればエコプレミアムに傾倒していなくても狙い目となりそうである。

どんな感じ? 内外装、演出は少

外観を見てPHVと見当がつくのは「PHV」「PLUG-IN HYBRID」のバッヂと右リアフェンダー部にある充電用ハッチの有無、フロント・フォグランランプ形状の差くらい。

標準系モデル(ガソリン/HV)には設定のない黒色ルーフの2トーン車体色なら即PHVと分かるが、PHVを選んだことをこれ見よがしにしたいユーザーにとっては外観の差が少なすぎる。

走行性能や走りの味わいで選ぶ、内容本意のモデルとして捉えて欲しいのだろう。

余談ながら標準系にも2トーン車体色は設定されるが、オフローダー感を高めた専用フロントマスクを採用したアドベンチャー専用で、ルーフ色も白。PHVにアドベンチャー同様の外装設定はない。

内装も標準系モデルに準じている。PHVにはパッドPC的なデザインの9インチDA(ディスプレイ・オーディオ)が標準装着されているが、同様のものが標準系にもディーラーOPで設定されているので、内装も「これ見よがし」の演出はない。

使いこなしたい、走行モード

PHVをさり気なく主張するのはセレクターレバー前方に設置された2つの走行モード切替スイッチ。

1つは、HV/EV/チャージの走行モードの選択。もう1つは、HVモード/EVモードを自動で切り替えるAUTO(オート)モード用。

使い分けるのが面倒臭そうだが、それぞれの走行モードでパワートレインの稼働状況だけでなく運転感覚も多少異なり、上手に使い分ければより効率的な走行が可能になる。

HVモード 上位モデルの走り

HVモードは標準系HVに似た印象で、全体的に力感を嵩上げしている。

低速域では電動走行を主体とするが、速度や加速の上昇に対して比較的早いタイミングでエンジンを稼働。内燃機/電動の二人三脚で、HVモード選択時の蓄電量を維持するように制御。

市街地や一般路では滑らかに力強く、深い踏み込みの加速では標準系HVを上回るダッシュ力を発揮。PHVが動力性能面でも標準系HVの上位モデルなのが実感できる。

EVモードは、蓄電量が不足しない限りエンジンを一切稼働させない。アクセルを床まで踏み込んでもだ。

また、PHVのエアコンは冷暖房とも家庭用エアコン同様に電動コンプレッサーを用いたヒートポンプ方式を採用するので、原則的にエンジンの暖機稼働も行わない。

電動パワーの制御 その出来は?

電動の特徴の1つは、ペダル操作に対するトルク増減の応答遅れがほとんどないこと。そのままでは神経質なので、プログラムで俊敏な反応と穏やかな繋がりを作るのが勘所。この制御は上手い。

電動ならではの力強い反応と、身構える必要のない運転のしやすさが、巧く融合している。

ただし、深い踏み込みでの加速は意外と緩い。アクセルペダル・ストロークの半分くらいで、最大トルクの7割を使ってしまうような感じである。前後モーターの出力合計が174kW、馬力換算なら240ps近い出力を考えれば遅いような気もするが、PCUなどの容量から全開加速性能はNAの2L車相応に抑えているとのこと。

もっとも、試乗チェックのために全開にしたものの、ふつうに走ればペダルストロークは半分以下。EVモードの意義からしても難点というほどではない。

心地良いAUTOモード

チャージモードは、蓄電量低下時に外部充電なしでEVモード復帰するための機能とすれば分かりやすい。

駆動制御はHVモードに準じていたが、停車時も含めてエンジンは稼働。エコ的にはオマケ程度の機能だが、AUTOモード用の支援モードとしては有意義。

AUTOモードは、HVモードとEVモードの「いいとこ取り」である。

十分な蓄電量がある状態ならEVモードを基本として、急加速などのパワーが必要な状況で自動的にHVモードに移行。EV時の力強く滑らかな力感と、HV時の伸びやかな加速がシームレスに繋がり、市街地から高速までとても心地よいパワーフィールを示す。

燃費を考えるとあまり勧められないが、蓄電量が低下してEVモードに入らなくなったらチャージモードを使って復帰させるのも手である。

最低地上高/安全装備/荷室

その他の走行関連の機能は、HVのEフォー車に準じている。

4WDのトルク分配制御ではスタックからの脱出を想定し、前後輪のトルク分配に加えてブレーキを用いた電子制御LSD効果を強化したトレイルモードを設定。

重量増は多少気になるものの、195mmの最低地上高(ブラックトーン:200mm)と合わせて他標準系に勝るとも劣らない悪路踏破性が期待できる。

全車速型ACCや前走車追従モードを備えた走行ライン制御型LKA(レーン・キーピング・アシスト)などのトヨタ・セーフティ・センスの内容も共通。フットワークは重量増が利いてか沈み込みを意識する重質な味わいが深まったが、大まかにはHVに似た味わい。

ダートランナー的な適度な硬さで、収まりと追従性のいいハンドリングを示す。

床下収納スペースが減少しているが、それ以外のRAV4の魅力は維持もしくは上乗せ。アウトドア趣味を楽しむためのSUVらしい実用性を備えている。

「買い」か?

RAV4 PHVの注目して欲しいスペックの1つは、HV走行でのWLTCモード燃費。

市街地/郊外/高速の全モードで標準系Eフォー車を上回っている。とくに、市街地モードでの上げ代が大きい。

標準系Eフォー車より210kgも重くなって不思議に思えるかもしれないが、重量増は運動エネルギーの蓄積量増に直結。加速で消費したエネルギーを回生で効率良く回収できれば、損失は抑えられる。

効率的なHVでは、重量増は燃費のハンデにならない。要するにPHVは、回生ブレーキ効率が標準系HVから向上しているのだ。

高速モード燃費の向上については、モーターの高出力化で電動の効率低下速度域が高まったと考えるのが妥当だろう。HVシステムそのものがグレードアップしているのだ。

だからといってHVとの価格差を燃費で回収するのは無理。

新型車PHV 向いているユーザーは?

満充電からの300kmドライブをしたとしても、燃料代(除充電代)の差額は800円(150円/L換算)前後。

週一のペースで70万円を回収するには18年も掛かってしまう。ならばEV走行レンジの95kmで計算すると9万km以上の走行距離が必要。

言うまでもなくEVモードだけで10万km近く走れるならEVを選んだほうがいい。つまり、経済的に考えればPHVを選ぶメリットはない。

それでもRAV4 PHVは魅力的だ。

EV走行だけでなくHVとしての性能に優れる。SUVとして良質な走り。アウトドア趣味に使いやすいキャビンやボディワーク等々。

高価といってもプレミアムSUVとすれば納得できる価格。

もちろん、エコ性能やアウトドア趣味を軸脚にした価値感の上でだが。寧ろアウトドア趣味を楽しみたいからこそ、環境負担の少ないSUVを求めるユーザーには当を得たモデルといえよう。

RAV4 PHV 試乗車スペック

トヨタRAV4 PHVブラックトーン(プラグイン・ハイブリッド/Eフォー)

価格:539万円
全長:4600mm
全幅:1855mm
全高:1695mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:22.2km/L(WLTCモード)
CO2排出量:105g/km
車両重量:1920kg
ドライブトレイン:直列4気筒2487cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):177ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):22.3kg-m/3600rpm
最高出力(前モーター):182ps
最大トルク(前モーター):27.5kg-m
最高出力(後モーター):54ps
最大トルク(後モーター):12.3kg-m
ギアボックス:電気式無段変速機
乗車定員:5名

こんな記事も読まれています

前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
AUTOSPORT web
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
AUTOCAR JAPAN
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
Auto Messe Web
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
AUTOCAR JAPAN
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
くるまのニュース
日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは
日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは
WEB CARTOP
首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
乗りものニュース
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
レスポンス
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
motorsport.com 日本版
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
@DIME
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
乗りものニュース
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
くるまのニュース
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
VAGUE
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
WEB CARTOP
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
Webモーターマガジン
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
乗りものニュース
アウディがプレミアムミッドサイズSUVの特別仕様車「Q5/Q5スポーツバック Sライン ダイナミックエディション」を発売
アウディがプレミアムミッドサイズSUVの特別仕様車「Q5/Q5スポーツバック Sライン ダイナミックエディション」を発売
@DIME

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

469.0539.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

328.0522.6万円

中古車を検索
RAV4 PHVの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

469.0539.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

328.0522.6万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村