まだ手が届く範囲内にあるフェラーリ
RMサザビーズが2024年1月31日にパリで開催したオークションに出品された、1993年式「フェラーリ348スパイダー」のエスティメート(予想落札価格)は9万ユーロから11万ユーロ(邦貨換算約1440万円~1760万円)。これからフェラーリとともに自動車の趣味を始めようと考えるファンには、この数字はじつに魅力的に映るものではないでしょうか。
フェラーリオーナーへの近道は「348」しかない! ほぼ未使用車が1000万円以下の謎は右ハンドルだから!?
328の後継にあたるフェラーリ348
ここ数年フェラーリの高騰ぶりは著しく、それはクラシックやレースカー、あるいは限定車にのみならず、一般的なロードカーにも見られる傾向。このタイミングで愛車を手放してしまおうという売り手と、少しでもリーズナブルなモデルが見つかるうちにそれを購入してしまおうという買い手との駆け引きは、年々激しさを増しているようだ。
ここで紹介するのは、RMサザビーズが先日パリで開催したオークションに出品した、1993年式のフェラーリ348スパイダーだ。
フェラーリが308シリーズの時代から数えれば、15年近くにわたって生産を継続してきた「308/328」シリーズ。その最終進化型たる「328」は、ライフサイクルの末期においてもカスタマーから高い人気を博していたが、その生産効率は多くのハンドメイドの工程が存在したため高くはなく、また運動性能においても着々と進化を続けるライバルとの差は広がる一方だった。
そこでフェラーリが決断したのが、328の後継車となる新型V8ミッドシップ車の開発。生産性を高めるためにモノコック構造を採用し、さらにはミッドのV型8気筒エンジンは鋼管で組まれたリアのサブフレーム上に縦置きで搭載する。それに組み合わされる5速MTは対して横置き搭載となり、それを意味して車名はエンジンの排気量、気筒数、トランスミッションの横置き、ボディタイプ(ベルリネッタ/スパイダー)を表す、「348tb」、「348ts」とされた。デビューは1989年のことになる。
オーナーズマニュアルなどの付属品も充実
3.4LのV型8気筒エンジンが発揮する最高出力は300ps。まったくの新型車である348tb/tsは、デビュー当初にさまざまなトラブルが発生するが、フェラーリは1990年には早くもシャシーの強化を行うなど、それらのネガを打ち消すための多くのマイナーチェンジを実施する。
1993年の2月にデビューしたここでの主題であるフルオープンの348スパイダーは、ただ単にソフトトップの採用によって開放的な走りが楽しめるようになったばかりではなく、さらにその後に誕生する「348GTB」、「348GTS」と同様の改良が先行して施されていた、パイロットモデル的な役割をも果たしたモデルだったのである。
1973年に生産を中止した2シーター・ソフトトップ車、「365GTS/4」(デイトナ・スパイダー)から、20年の空白を埋めた348スパイダーには、もちろんほかにもオープン化のために剛性を高める補強作業も講じられており、モノコックやシャシーにも専用の強化部材が使用されていた。
ミッドの3.4Lユニットはさらに20psのエクストラを得て、最高出力は320psに。そのパワーはオープンゲートの5速MTとセルフロッキングデファレンシャルを介して後輪に送られた。
今回の出品車は1993年11月10日に、サント・テルソに在住する最初のオーナーに引き渡されたもの。ソフトトップとインテリアのレザートリムはいずれもブラックで、オプションではフロントとリアのフォグランプ、エアコン、パワーウインドウ、ヒーテッド・ドアミラーなどが装備されている。純正のツールセットやタイヤの空気入れセット、そしてオーナーズマニュアルも付属するというから嬉しい。
新車からの走行距離が、わずかに1万3291kmという低走行車であることも、この出品車に多くの視線が集まった理由のひとつ。最終的な落札価格は8万6250ユーロ(邦貨換算約1380万円)。フェラーリはわれわれにとって、まだ手が届くことが証明されたオークションだった。
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みんなのコメント
操縦性云々言われてますが、ノン・パワステでMTのみ!
ある意味で古き良きフェラーリを味わえる車で良いと思います!