今、日本・欧州メーカーがともに注力し、コンパクトクラスからミドルクラスにかけてのSUVは豊富な選択肢が出揃っている。価格の面では欧州SUVが国産勢よりも高く、国産SUV勢は200万円台半ばから買える安さが光る。では、内容とのバランスで決まる「買い得度」で選ぶと、国産・欧州SUVのどちらに軍配が上がるのか?
本記事では、以下の日欧最新SUV計12モデルのなかから、最もコストパフォーマンスの高いモデルを選出する。
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【国産 SUV】
・トヨタ C-HR/251万6400-290万5200円
・マツダ CX-5/249万4800-352万6200円
・三菱 エクリプスクロス/253万2600-309万5280円
・三菱 アウトランダーPHEV/365万9472-478万9260円
・日産 エクストレイル/219万7800-309万8520円
・レクサス NX/440万-596万円
【輸入SUV】
・BMW X1/417万-627万円
・BMW X2/436万-515万円
・メルセデスベンツ GLA/406万-808万円
・ボルボ XC40/389万-559万円
・VW ティグアン/363万6000-470万3000円
・レンジローバー イヴォーク/502万-855万円
文:渡辺陽一郎/写真:平野学、編集部
ベストカー2018年6月10日号
機能で見ると日欧SUVはどちらが優勢?
欧州の最新SUV、BMW X1(左)とボルボ XC40(右)。X1はBMWながらFFベースのSUV。ボルボ XC40とともに比較的コンパクトで、ともに4WD車も設定する
車の買い得度は、走行性能や居住性といった機能、装備、内外装の質感などと価格のバランスで決まる。SUVでは野性的な雰囲気とかアウトドアでの使い勝手も大切だ。シートや荷室の防水処理なども求められる。
日本と欧州のSUVを比べると、全般的な傾向でいえば日本車が買い得になる。日本のメーカーは1950年代から4WD車を開発しており、1982年に発売された初代パジェロが成功してからは、各社とも一般ユーザー向けのSUVに力を入れるようになった。
そのためにエクストレイルは荷室や収納設備が使いやすく、エクリプスクロスは300万円以下の価格で、1.5Lターボエンジンと4WDを含めた四輪制御技術のS-AWCを備える。
CX-5はクリーンディーゼルターボを搭載して、その実用回転域の高い駆動力はSUVのイメージにピッタリだ。
いっぽう、欧州メーカーは、以前は概してSUVに消極的だった。欧州では日常的に高速で走る機会が多く、SUVの重心の高さが安定性の面から敬遠されたためだ。
今は技術進歩と北米の旺盛な需要に押されて欧州メーカーもSUVを手掛けるが、車種が増え始めたのは2000年以降だ。
そのため欧州のSUVは、大径タイヤを備えた5ドアハッチバックという印象が強い。フォルクスワーゲン ティグアンの駆動方式はFFのみで4WDは用意されない。SUVの機能は日本車のほうが熟成されている。
コスパに優れるのは国産SUV
国産SUV販売No.1モデルのC-HRと、ミドルSUVクラスで最も販売台数が多いCX-5。決算期の2018年3月にはC-HRが1万990台、CX-5は9289台を販売している
さらに日本のSUVは価格も安い。エクストレイル 4WD「20X」は、4名乗車の快適な居住性を備え、荷室の機能も充実しながら275万5080円に収まる。
エクリプスクロスは四輪制御技術を備えた4WD「G」が292万2480円だ。C-HRはJC08モード燃費が30.2km/Lに達するハイブリッド「G」を、2WDではあるが装備を充実させて290万5200円に設定した。
いずれも価格は300万円以下だ。
今は上級志向のユーザーが考える価格上限が300万円だから、そこを基準にした。そして例えばC-HRの価格は、同等の機能を備えたプリウスに比べて約25万円高い。
日本のSUVの価格は、同等の機能や装備を備えた5ドアハッチバックなどに比べて、25万~30万円の価格上昇と考えればいい。
ところが欧州車では、このSUVの対価が50万円以上に拡大する。メルセデスベンツ GLA180は406万円で、AクラスのA180 AMGスタイルに比べて50万円以上高い。
ティグアンの「ハイライン」は、ゴルフヴァリアントの同グレードと比べても94万円上まわる。日本ではSUVを売れ筋カテゴリーに位置付けて割安だが、欧州車ではスペシャルティモデルとしてみるため価格の上乗せも大きい。
表現を変えれば、日本のSUVはミニバンほどではないが買い得なカテゴリーだ。外観は力強く、居住性はセダンやワゴンよりも快適で、荷室も使いやすい。ミニバンに近い機能と外観のカッコよさを併せ持ち、価格も割安だから人気を集めた。
下取り価格も含めた買い得車は?
【図表1】主な国産&輸入SUVにおける3年落ち車の残価率。国産SUVのほうが比較的残価率が高めで件並み50%台後半を超える
車を売却したり、下取りに出したりする時の値打ちは「残価率」で示される。残価とは3年なり5年後の残存価値で、新車価格に占める残価の割合が残価率だ。例えば新車価格が100万円で、3年後の残価(売却額)が55万円であれば、残価率は55%になる。
主なSUVの残価率(初年度登録から3年後)を表に示した。残価率が最も高いのはレクサス NXで約67%に達する。次はエクストレイルで約59%だ。最下位はBMW X1で37%にとどまる。
この【図表1】では日本車と輸入車を各4車種掲載したが、日本車の3年後の残価率はすべて50%以上で、NXは60%を超えた。
この4車の残価率はミニバンの人気車と比べても高く、ランドクルーザーなどを含めてSUVは有利な条件で売却できるカテゴリーだ。
逆に輸入車で50%以上なのはイヴォークのみ。40%以下が2車種ある。輸入車は大幅値引きで売られることもあり、昔と違って日本車よりも残価率が低い。
短期間で売るなら国産、長く乗るなら欧州SUV
価格と残価率のバランスで買い得感が高い日産 エクストレイル
従って購入後3年程度の短期間で売るなら日本車が有利だ。逆に長く乗る場合は残価率の差が縮まるから、フルモデルチェンジを控えた輸入車を大幅値引きで買うのが得策になる。輸入車は売る時に不利だから、購入時の値引き商談を確実に行いたい。
そして、新車価格の割安感と残価率の両面から判断すると、最も買い得なSUVはエクストレイルだ。
優れた走行性能や居住性を求めるならエクリプスクロス、価格は少し高いがディーゼルエンジンのCX-5も魅力がある。
逆に輸入車で日本のSUVに対抗できるのはイヴォークだ。外観が先進的で内装も上質なので、時間が経過しても古さを感じにくい。そのために残価率も高い。
外観は舗装路向けのSUVに見えるが、駆動方式は全車4WDで、悪路走破力を高めるオールテレイン・プログレスコントロールなども装着した。最低地上高は211mmで、水深500mmまでなら走破できる。
◆コストパフォーマンスに優れるSUV ベスト5
1位:日産 エクストレイル
2位:三菱 エクリプスクロス
3位:レンジローバー イヴォーク
4位:マツダ CX-5
5位:ボルボ XC40
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