世に販売されるクルマの種類は数えきれないほどだが、そのなかでもシリーズが長期間存続され、安定したセールスをキープしているクルマがある。こうした“良血統”のクルマは何が違うのか? 今回は、自動車界のサラブレッドとも言うべきモデルを紹介し、どうしてそのクルマが高い人気を保ち続けているのか考えていきたい。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、スズキ、スバル、FavCars.com
クルマ界名門の系譜はやっぱりいい!! 王道を走る天晴れなサラブレッドたち
ドラスティックなモデルチェンジが新たな伝説を作る?「トヨタ クラウン」
2022年7月に16代目が発表されたトヨタ クラウン。4タイプが用意されるが、写真のセダンは現時点で発売時期は不明。従来型とは大きくイメージを変えている
2022年7月に発表されたのがトヨタの新型クラウン。60年を超えて販売が続けられているこのシリーズは、日本を代表する高級4ドアセダンとして知られている。
そもそもの成り立ちが第二次世界大戦後の復興を象徴する完全国産乗用車第一号だったクラウンは、販売当初から購入可能な層が限られた高級車であり、その根幹は現在までも変わっていない。
しかしクラウンの歴史が重ねられる間に日本も豊かになり、クラウンを所有することが、多くの人にとって目標にもなった。それは1983年登場の7代目につけられた「いつかはクラウン」のキャッチコピーからもわかる。
もちろんクラウンの長い歴史において販売台数の上下はあり、なかにはクラウンにしては不調に終わったモデルもあるが、それでもクラウンは憧れの高級セダンであり続けた。ところが、こうした歴史にも変化が訪れた。それが先に発表された通算16代目にあたるクラウンだ。
最新のクラウンは、従来の路線とは大きく異なるSUV的なルックスを伴って登場した。モデルも「クロスオーバー」「セダン」「スポーツ」「エステート」の4タイプがラインナップされ、単なる高級4ドアセダンにとどまらない展開を見せている。
ここまで大きなモデルチェンジはクラウン史上初と言ってよく、これがクラウンの覇道をさらに推進する起爆剤となるのか、それとも不発に終わってしまうのか? 世界中からも注目が集まっている。
リニューアル後も変わらぬ人気。その人気はいつまで続く?「スズキ ジムニー」
絶大な人気を誇る現行型スズキ ジムニー&ジムニーシエラ。写真はシエラとしては3代目にあたるモデルで、1.5リッターエンジンを搭載。駆動はもちろん4WDだ
スズキの小型SUV・ジムニーシリーズも、時代を超えて愛され続けるクルマのひとつと言える。
ジムニーが初めて登場したのは1970年。軽自動車では初となる本格的なオフロード4WDモデルがジムニーだった。発売前は他に例のないジャンルのクルマということもあって売れ行きが心配されたが、実際には販売開始から高評価が集まり、ヒットモデルになった。
軽自動車ながらタフな走りを発揮し、実用性も高かったジムニーの初代モデルはマイナーチェンジを続けながら1981年まで販売された。そして1981年には2代目がリリースされるが、この2代目は初代を上回るロングセラーになった。
2代目ジムニーの販売期間は1981~1998年だが、1982年には軽自動車枠を飛び出したリッターカーのジムニー1000が登場する。この時からジムニーは軽自動車と普通車のラインナップになり、それは現在でも続いている。
3代目は軽自動車の規格改正があった1998年に登場。普通車モデルにはジムニーワイドの名称が与えられ、2000年にはジムニーシエラに改名されている。
現行モデルの4代目は2018年に誕生。フルモデルチェンジが行われるのは実に20年ぶりで、この時はジムニー&ジムニーシエラが同時にリニューアルされている。待望のモデルチェンジを受けたジムニー&ジムニーシエラは大ヒットモデルになり、発売から4年が経過した現在も異例の長期納車待ち状態が続いているという。
異色の軽自動車SUVとその派生モデルであるジムニー&ジムニーシエラシリーズの快進撃はまだまだ続きそうだ。
スバルの“遺産”は受け継がれる「スバル レガシィ」
2022年現在日本国内で販売されているスバル レガシィはこのアウトバックのみ。セダンモデルや一世を風靡したツーリングワゴンの復活は果たしてあるのか?
スバルが伝統的に得意としていたのが4WD。悪路を走るラリーなどで鍛えられたスバルの4WDカーは、市販車でも高い性能を発揮して多くのファンを獲得した。その集大成的モデルがレガシィだ。
スバルのアイコンとも言うべき水平対向エンジンを搭載し、そこにやはりスバルのお家芸である4WDを組み合わせ、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンスタイルを採用したレガシィのデビューが1989年。それまでの路線を継承しつつも大幅なステップアップを成し遂げたレガシィの登場には大きな注目が集まった。
後にバブル景気と呼ばれる好景気が始まっていたことも後押しとなり、レガシィは予想を上回る売れ行きを見せた。その結果、諸事情により倒産の危機もささやかれていたスバルの業績は一気に回復。レガシィはスバルの救世主とも呼ばれるようになった。
実際に初代レガシィは出来の良いクルマであり、1990年からはWRC(世界ラリー選手権)にも参戦し、1993年のニュージーランドラリーでは見事優勝を飾っている。こうした好調を受け、その1993年には2代目スバル レガシィが登場した。
2代目のレガシィツーリングワゴンは全長が60mm延長されて後部のシートに余裕ができ、使い勝手も向上。ボディ幅は5ナンバー枠をキープしてコストを抑え、パワフルなエンジンとあいまって初代よりも高い完成度を実現していた。
2代目レガシィツーリングワゴンは大ヒットモデルとなり、この時期のステーション(ツーリング)ワゴン人気を牽引する存在に昇り詰めた。そして北米市場をターゲットに、2代目レガシィツーリングワゴンの車高を上げてクロスカントリー仕様にしたのがレガシィアウトバックで、1994年に北米での販売がスタートしている。
その後もレガシィは進化を続け、1998年登場の3代目セダンには新たにB4の車名が与えられた。B4とツーリングワゴンに搭載されるエンジンの出力は最高峰仕様の2リッター・ツインターボで280psと高く、これも3代目レガシィの魅力を高めていた。
2003年登場の4代目では3ナンバー化され、国内向けのクロスオーバーSUVモデルの名称もアウトバックとなった。この4代目モデルでは2002-2003日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
だが、スバルのサラブレッドだったレガシィの歴史にも変化が訪れる。初代から続いていた4ドアセダンモデルは2014~2021年の6代目をもって国内販売が終了となり、以降はクロスオーバーSUVのアウトバックに一本化された。4ドアセダンの7代目モデルは2019年に登場しているが、こちらは北米市場のみで販売されている。
国内はアウトバックのみとなったとはいえ、依然としてレガシィがスバルの“継承すべき遺産”であるのは間違いない。
ハイブリッドの先駆者は現在でも先端を走る「トヨタ プリウス」
プリウスの名を世に定着させたのがこの2代目モデル(2003年)。新世代のハイブリッドシステムを採用し、35.5km/Lという優れた燃費性能を達成した
燃料を使った内燃機関(エンジン)による走行に加えて、その動力でバッテリーも充電、さらにブレーキング時のエネルギーを回生してバッテリー充電を行い、この電力で走行用モーターを回すというのがシリーズ・パラレル方式ハイブリッドシステムの概略だ。世界初の量産型ハイブリッド車であるトヨタ プリウスはこの方式で登場した。
プリウスの初代モデルが登場したのは1997年。「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーとともに発売されたプリウスは、従来のガソリンエンジン車を大きく上回る燃費性能を発揮して、その優位性をアピールした。
初代モデルの売り上げは堅調であったものの、大ヒットとは言い難いものだった。しかし、ボディ形状を含めて大幅にモデルチェンジされた2代目が2003年に登場すると、効率を向上させたハイブリッドシステムも市場に歓迎され、大ヒットと呼べる売り上げを記録した。
2代目プリウス登場時にはトヨタのみならず他社からもハイブリッドシステム搭載車がリリースされていたが、先行しているプリウスのアドバンテージは大きく、ハイブリッド=プリウスというイメージの確立に成功した。
2009年には3代目がデビュー。この3代目では、従来同様のシステムに加えて外部電源からの充電も可能にしたプラグインハイブリッドシステム(PHV)搭載モデルも登場し、さらに戦費性能をアップしている。
4代目となる現行モデルは2015年に登場。トヨタからはプリウスよりもコンパクトなハイブリッド専用車のアクアや、ヤリスハイブリッドなどもリリースされているが、現在でもなおハイブリッド界のサラブレッドとしてのプリウスは健在。
そして、フルモデルチェンジの噂も飛び交うなど、プリウスを取り巻く状況が慌ただしくなってきた今、プリウスのさらなる進化が期待されている。
クロカンモデルの金字塔はその歴史を重ねる「トヨタ ランドクルーザー」
トヨタ ランドクルーザーと言えばこの40系をイメージする人もまだまだ多いはず。1960年に発売された40系ランクルは、記録的なロングセラーモデルになった
日本国内では“ランクル”の通常でもお馴染みのトヨタ ランドクルーザー。ルーツとなったモデルは1951年に登場しているため、すでに70年を超える歴史を持つサラブレッド中のサラブレッドだ。
後にランドクルーザーに改名されるトヨタ製ジープBJ型は、その名称からわかるとおりアメリカのクロスカントリーカー・ジープの日本版として製作された。当初は警察予備隊(現・陸上自衛隊)への納入を目的に作られたが、結局採用はされず、民生用へと転用されることになった。
当初はジープの通称を用いていたものの、アメリカの商標権に抵触してしまったため、1954年にランドクルーザーへと改名された。これがランクルの始まりである。
軍事色の強かった初代に変わってより汎用性を高めた2代目の登場は1955年で、2代目ランクルは本格的な海外進出を開始する。実際に2代目ランクルの完成度の高さは北米市場をはじめとする海外で高く評価され、着実な実績を残していった。そして決定版とも言うべき3代目が1960年にデビューする。
現在でも「40(ヨンマル)」の名で親しまれる3代目ランドクルーザーは、高い走行性能と信頼性を両立させたことにより、2代目が得ていた高評価をさらに引き上げることに成功し、次世代モデルの70系が登場する1984年までの24年間、世界各国のユーザーに愛された。
40系でその地位を確立したランドクルーザーは、以後もモデルチェンジを重ねて現在は2021年デビューの300系が栄光のシリーズを受け継いでいる。この300系にいたるまで、基幹をなすクロカン(SUV)モデルだけでなく、バンやステーションワゴンなどの派生モデルも登場した。
残念ながら、この記事内ではランクルの歴史とそのスゴさをすべて紹介することはできない。だが、両血統種の多いトヨタのラインナップにおいて、ランクルの存在もまた強烈な輝きを放ち続けているのは事実だ。
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みんなのコメント
トヨタを誉めて
飯を食い。
悪いけど国内専売だったクラウンは今回中華向けにチープな廉価車に成り下がった。
あとランクルが世界を目指したのは40系まで。
あとは99%がファッションSUV
自衛隊で使われないのがランクルの本性を表している。被災地で使えないんだよ。ヤワで