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【ヒットの法則362】サーブ9-3は爽快な走りと環境の分野で世界をリードする意欲作だった

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【ヒットの法則362】サーブ9-3は爽快な走りと環境の分野で世界をリードする意欲作だった

2007年、サーブ9-3が大幅に改良されて登場した。コンセプトカー「AeroX」のデザイン要素を取り入れた外観はまるで別のクルマのようだった。また、バイオパワーや新しい4WDシステムなど技術的な話題も盛りだくさんだった。ここでは日本導入を前にスウェーデン・イエテボリで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年10月号より)

新しい4WDシステムを搭載した「9-3XWD」のプロトにも試乗
サーブがスウェーデン航空機株式会社(SAAB)の略ということは、クルマ好きにはかなり浸透していると思う。では、モデル名の数字が何を意味しているかご存知だろうか。89までが軍用機で90と91が民間用の航空機に、そして1949年に発表されたサーブ92からが「乗用車用」になった。

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サーブ初の乗用車「サーブ92」は、航空機製造技術を応用したモノコックボディを持ち、しかもFF車という先進のメカニズムを搭載していた。

そのサーブの近況だが、2006年に13万台強という過去最高の世界販売台数を記録している。特に欧州市場で11.1%増と好調な伸び率を記録しているのだ。そしてこのほどプレミアム・ミッドサイズ・セグメントに属する9-3のビッグマイナーチェンジが行われた。今回はスウェーデンでの試乗会の模様をお伝えしよう。

新しくなった9-3の大きな変更点はまずエクステリア。特に、Aピラーより前方が一新されている。昨年のジュネーブショーで発表された「AeroX」(ドアとルーフがキャノピーのように開閉するコンセプトモデル)のデザインを流用していることがはっきりと見てとれる。

彫りの深いフロント部分は、クロームで縁取りされたグリル周りとF1ウイングを連想させるようなフレアーのついた精悍なエアインテークが特徴的。ヘッドランプはトレンドの切れ長なものになり、ややクラシカルな雰囲気を漂わせる9-3のイメージを踏襲しながらも、新しいデザインを表現している。さらにはスモークのリアホワイトレンズ、そしてドアやドアハンドルなども新しくなった。ちなみに、スポーツセダンで70%のボディパネルやパーツが新設計となっている。ディメンジョン(車両寸法)に関してはほぼ現行どおりと考えてよい。

インテリアでは、ナビがビルトインされたことで日本国内ユーザーにとっては利便性が向上することだろう。

試乗は、Stora Holmsと呼ばれる民間向けのドライビングコース(サーキットではない)から始まった。ここには、ワインディングや散水されたスキッドパッド、そしてグラベルなど、クルマの限界性能が体験できるさまざまなコースが用意されている。

まず、ここでのみ試乗できたのが、最新の第4世代ハルデックス製4WDシステムを採用したフルタイム4WDのクロスホイールドライブ(XWD)だ。グラベルやワインディング、そして低ミュー路で限界を超えるようなドライビングを試してみたが、リアのスタビリティが高く、それでいて4WD特有のアンダーステアも抑えられていてスポーティなハンドリングだ。日本国内への導入は、来年2008年の春以降にメーカーオプションとしてスポーツセダン及びスポーツエステートに設定される予定だ。

日本へはガソリン車導入、欧州圏では脱ガソリンへ
スウェーデンは原発を国民投票により廃止するなど環境国家として有名だが、今回の試乗会のハイライトはガソリン車ではなく環境に優しいバイオエタノール車だった。AeroXは100%バイオエタノール車としてモーターショーに出展されていたが、今回の試乗車の9-3 2.0t バイオパワーはすでにスウェーデンで導入されているE85燃料(85%エタノール)仕様だった。

エタノールはガソリンよりもオクタン価が高いので、ターボ車の場合、ブースト圧を高めてもノッキングを起こしにくい。つまり、エタノール車はターボ向きといえるのだ。これにより、2.0tバイオパワーは最大過給圧1.2バールが可能となり200ps/300Nmを発生する。ガソリンターボのアークが0.85バール程度(209ps)なので、この数値はかなりの高圧といえる。これによって0→100km/h加速タイムは6速MTで8.2秒、5速ATで8.9秒とかなりの俊足である。

Stora Holmsを後にして、9-3 2.0t バイオパワーで一般道の試乗に出かけた。高速道路に入りアクセルペダルを踏み込むと、厚いトルクが感じられ、そのまま高回転域まで一気に回る。とてもレスポンスが良く、環境エンジンとは思えない力強さだ。高速でのドライブは楽しく疲労を感じないものだった。

日本に導入される予定のV6エンジン車にも乗ったが、路面に吸い付くようなサーブ特有のしなやかなサスペンションの恩恵で、超高速域における少々ラフなステアリング操作に対しても許容範囲が広いことを確認することができた。

サーブは、900で世界最初の花粉フィルターを採用するなど、いわゆる環境意識の高い自動車メーカーだ。そして今、フレキシ・フューエル部門で他社をリードしている。プレゼンテーションでは、近い将来バイオエタノールとディーゼルに絞り、「脱ガソリン」を進めることを強調していた。サーブ社では、バイオエタノールのハイブリッド仕様も開発中で、ひょっとするとトヨタのように環境と品質で「化ける」可能性を秘めている。(文:松田秀士/Motor Magazine 2007年10月号より)



サーブ9-3 スポーツセダン 2.0t バイオパワー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4636×1753×1433mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1490kg (DIN)
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:200ps/5500rpm
●最大トルク:300Nm/2500-4000rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:FF
●最高速:225km/h
●0→100km/h加速:8.9秒
※欧州仕様

[ アルバム : サーブ9-3 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • これ乗ってみたかったなあ。ウチは18年サーブ9-3に乗っているけども今だに新鮮であり驚かされることがあるからこれにもどんな驚きがるか知ってみたかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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