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マクラーレン570Sスパイダーに試乗 フェラーリ488、ウラカンより「買い」

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マクラーレン570Sスパイダーに試乗 フェラーリ488、ウラカンより「買い」

■どんなクルマ?

570Sは、スパイダーでも「カタい」

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570Sスパイダーは、£164,750(2400万円)から購入ができるが、乗り出し価格は£200,000(約2914万円)近くになるはず。エクスクルーシブであることに疑いはない。

構造は、スパイダーの派生車種を前提にされているのだから、マクラーレンの次の一手を予見することは難しくない。パフォーマンスに関しても、その販売台数に関しても。

オープントップモデルは、570psを発生する3.8ℓツインターボのV8と7速の変速機を共有する。モノセルIIとなったカーボンファイバー製のタブと万能なダブルウィシュボーンサスペンションも同じである。

大きな違いは、46kgの重量増であるが、それは、ボタンひとつで、15秒で収納できる、複合素材でできた屋根の代償である。

12Cの時と同じ様に、ライバルと比べた時、オープン化の代償が少ないのがモノセルの美点。570Sは、ねじれ剛性を確保するために、自身の屋根には依存していないので、追加の補強は必要ない。

つまり、スパイダーの車体剛性がクーペよりも劣るということはない。


乗り出し価格は3,000万を超える

パフォーマンスで劣ることもない。メーカーの開示では、0-200km/h加速で0.1秒遅く、屋根さえ閉めておけば、クーペと同じ328km/hの最高速度を達成することができる。屋根を開け放ち、髪を乱して記録したのが、315km/hである。

テスト車となった、この左ハンドルモデルには、オプションで装着できるスポーツエグゾースト、10本スポークの鍛造ホイール、カーボンファイバー製の多数のパーツが奢られ、乗り出し価格は3,000万を超えるに至っている。

■どんな感じ?

見た目、クーペとスパイダーで「ほぼ一緒」

マクラーレンのオープン化であるから、屋根を閉じた状態で、クーペとの違いを指摘できたなら、それは賞賛に値するだろう。

パネルの段差とトノカバーがそれを示唆するが、その他の外観の変更は極めて少ない(誰も気づかないが、例えば、スパイダーのリアスポイラーは、エアロダイナミクスの変更により12mm高く設定されている)。ということは、570Sのスマートで美しい外観はそのままである。

乗降性に関しても、おせっかいながら、一言いっておくべきだろう。モノセルIIのサイドシルは細くなったとはいえ、自身の体重を使ってねじ込む様に運転席に潜り込むことになる。

苦行はこれだけではない。


気になることが、ないでもない

苦行は、ここで終わらず、マクラーレンの悪名高きカーボンファイバー製レーシングシートは、装備するランバーサポートで容赦なく背筋を伸ばした姿勢へと強要するのである。

一言でいって、570Sのインテリアは素晴らしい。しかし、マクラーレンのソフトウェア開発チームの造った、難解なIRISインフォテインメントシステムに慣れるのに半年を要することになるだろう。

手組みされる内装の立て付けと仕上げは、人間の業とは思えない完成度を誇り、オプションで装着できるトリムを追加すれば、質感はさらに増す。開閉自由な屋根は、機能的に不満はないし、40km/hまでなら、安全に開閉できる。

マクラーレンはこのクルマに、屋根を開けた時、ウインドディフレクターとして機能する、小さなガラス製のリアスクリーンを装備し、これを上げ下げすることもできる。天候に関わらず、このクルマに乗った時にサウンドと風を感じていたいという向きには最適の装備である。

しかも、トノカバーの下には、追加スペースが設けられており、荷物の置き場所として使うことができる(ハンドバックや小物を置くことはできるが、屋根を開ける時にはそれらを除外しなければいけない)。

風切り音は大きめだが、いっぽうスパイダーという構造上、サウンドを近く感じることができる。もの造りへの質実剛健な態度は、はっきりと切実に感じ取ることができるけれど……。

しかし、このクルマのポテンシャルの確信に触れた時、苦言は一瞬にして消え去ってしまうだろう。


「めっぽう速い」

新たなベンチマークを定義する720Sの爆発的なポテンシャルの感覚がまだ記憶に新しいというのに、この兄弟車もまた、めっぽう速い。

それは、扱いやすく、唐突なところがなく、強烈でもありながら、後輪駆動のシャシーを脅かすことはない。

クーペと同様に、このクルマが他のライバルと決定的に異なる点は、低速域から沸き出る有り余るパワーを、現実的に推進力として使うことができる点にある。それを考えると、46kgの重量増など、とるに足らないことである。

このクルマの乗り心地は素晴らしく、旋回性能は、超自然現象的である。しかも、その正確性とグリップに関しては、今までに経験したことのないような確信をもって臨むことができる。

そのどれもが、公道では無用の長物であるかもしれないし、ヘアピンで介入してきた、マクラーレンのブレーキ・ステア技術に疑問はない。

しかし、アダプティブハンドリングを「ノーマル」に、パワートレインを「スポーツ」にセットし、570Sを果敢に攻め込んだ時の経験は、最高のもので、忘れることができないだろう。

パワー、柔軟性、軽量、精密な機械、圧倒されるテクノロジー、これらがこれ以上に調和している様は他にない。


■「買い」か?

「官能」? 意味があるのでしょうか?

シンプルにイエスである。クーペと同様にどこを取っても、スパイダーは素晴らしい出来だ。

無造作な扱いをした時のGTカーとしての振る舞いや、鞭を入れた時の振る舞いを共存させ、モダンなミドエンジンスーパーカーがあるべき姿を具現化している。

同時に、このスパイダーには、どうしても譲れない項目があることも確かである。V8エンジンのサウンドである。一級品とはいえないが、聞こえる位置が近くなった。

悪くないのだけど、それが求めるものでもなく、車内に留まる理由でもないのであれば、価格と競争の面で不利であろう。

であるから、488スパイダーやランボルギーニ・ウラカンを好感する向きが結果的多いのかもしれない。

しかし、570Sの持つ圧倒的な走行性能、乗り心地、そして、実直なキャラクターと向き合い、終わりのない試行錯誤から得られるこの上のない充実感の前では、それらは意味のない事である。

クーペモデルに比べて若干敷居が高い。しかしスパイダーはわれわれの評価ではクーペと同等の評点を獲得している。

マクラーレン570Sスパイダー

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