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長期テスト アストン マーティン・ヴァンキッシュS(1)

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長期テスト アストン マーティン・ヴァンキッシュS(1)

もくじ

ー アストンとVH構造の蜜月
ー ミン・ブルーQの外観に垂涎
ー ヴァンキッシュS 走りの第一印象
ー テスト車について
ー 追加した装備一覧
ー テストの記録

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アストンとVH構造の蜜月

では、最後の古き良きアストン マーティンに乾杯! このVH(水平垂直)プラットフォームがDB9で初めて採用されたのは2004年。フォードのプレミア・オートモーティブ・グループ(PAG)の所属となって新しい路線の見通しが立ってきた頃だった。ほんとうに長い月日だった。

その間にやって来たのは、新しいヴァンテージ、独立、カリスマ社長ウルリッヒ・ベッツ(聞いたところではセグウェイでオフィス内を移動し、夜更けに空ぶかしなど決してしなかったという)、そしてレース。レースに次ぐレースだ。

いっぽうで、VHプラットフォームは少しずつ進歩してきた。裕福な世界的コングロマリットの後ろ盾を失ってからも(もっとも、もし適切に運営されていたなら、フォードPAGのポートフォリオは奇跡的なものになっただろうと思わずにいられない)、かつて大富豪の所有だった時のようにアストンは地道に進歩を続けた。

VHプラットフォームは修正/改善が加えられ、プラットフォームというより哲学的構造物とまで呼ばれたが、後々のモデルは歴史的建造物を維持するかのようでもあった。新経営者アンディ・パーマーはそこを変えようとしたのだ。

DB9は去り、DB11が取って代わった。新型ヴァンテージもつい最近デビューした。いっぽう、このヴァンキッシュはといえば、2019年までは生産されることになっている。

ただDB11の出現でやや影が薄くなったと考えたのだろう、最近になって多くの改良が加えられ、名前も新たにヴァンキッシュSとなった。VH系統の最後を飾る、守旧派の1台。自然吸気5.9ℓV12は600psまでスープアップされ、駆動系にも少しではあるが重要な変更が加えられてますます輝きを増した。細部の変更と改善は内装にも、そして今からお目にかかる外装にも及んでいる。

ミン・ブルーQの外観に垂涎

ああ、見たまえ、特別DBに惚れてきたわけでもなく、アストンが似たようなクルマばかり造ってお色直しで事を済ますのは公然のことだと長年書き喚いていたのだが、それでもヴァンキッシュは腹が立つほど素晴らしい。

アストンは長く大きな秀逸なデザインのボディを連綿と生みだしてきたが、これも例外ではない。まあ、容姿のことをクドクド書き連ねるのはやめよう。美は眼でもって観賞するものだし、最も美しい市販車がこれ以外にあり得るとは思えない。さらにわたしはもう、1万km近くを共にしているのだ。

始めの10日ほどで3000kmを走ったところで、長期テストの最短記録を作ってしまう危機が訪れた。でも見るだけでいい。

アストンのデザイン責任者であり、公式には副社長兼CCOであるマレック・ライヒマンは、外見と空力に寄与するわずかな変更を加えたヴァンキッシュは停まっている姿も素晴らしいのだと力説する。リアには大きなディフューザーが鎮座し、フロント下部も小さな翼状に象られている。

ボディは明朝の磁器にちなんだ「ミン・ブルーQ」という色に塗られるが、ライヒマンのチームは数年来、例えば緑とライムに塗られたアストンのレースカーのような対比の妙を演出する配色を研究してきた。

ミン・ブルーにはクラブ・スポーツ・ホワイトを差し色に選べる。これは明るいところでは金属のような光沢を放つが、いずれにしてもいい色だ。

車内もお望み通りの仕立てが可能だが、お勧めのひとつは青のアクセントが入った白のレザーだ。わたしのようなだらしない身なりの人間にはちょっと眩しすぎるし、オプションのOne-77ステアリングホイールもちょっと角張っているのだが、それでも実に居心地がいい。

インフォテインメント・システムもちょっと古臭いのは否めないが、AppleのCarPlayには対応するのでわたしの普段使いには十分だ。

乗ってみたらどうだろうか。

ヴァンキッシュS 走りの第一印象

いざ乗ってみると愉快。華々しい。素敵。DB11とは違い「ソフトスタート」設定はないので、始動するや排気の轟音が響き渡るが、これもヴァンキッシュSになったことで単なるGTよりもスーパーGTのように感じられるところ。エンジンは始終うなりを上げている。その上ステアリングの「S」ボタンを押せばさらにオマケも付く。

動きだしても気の利いたところばかりだ。

8段のATは、ステアリングコラムに付いたゆるい手応えのパドルを両方とも引くと手動変速モードに入り、右側パドルを引き続けると自動に戻る、理想的なアルゴリズムだ。

エンジンはV12の中でも最上の、クリームのようななめらかさを誇る。V12には完全バランスをもたらす慣性モーメントというものがあるのだなとかつては理解していたが実はそれだけでなく、排気音を少し大きくしてやると顕わになる、それこそオーバーレブさせてしまわんばかりの夢のような陶酔も持ち合わせているのだ。

乗り心地は硬めで落ち着き、路面にもよく追従する。理想的なスーパーGTでありながら、普段乗りにも使える。ダンパーは固めに設定を変えることもできるが公道では必要ないし、それはイギリスの道でも変わりはない。

油圧のパワーステアリングは重さもギア比も完璧で、路面の感覚を的確に伝えてくれる。免許の心配が要らないスピードで分別を持ってドライブしても、ヴァンキッシュはひたすら安楽でありながら運転に熱中させてくれる。

ここ数年で最高だったと思えるドライブをもう何度も、このクルマで体験した。バング&オルフセンのオーディオのボリュームを上げ、高らかに排気音を響かせ、変速をパドルで支配し……。あまりに性急に貪らないようにしたいが、それほど虜にするクルマなのだ。

テスト車について

モデル名:アストン マーティン・ヴァンキッシュS
新車価格:19万9950ポンド(3053万円)
テスト車の価格:22万2260ポンド(3394万円)

追加した装備一覧

■光輝仕上げアルミホイール 4995ポンド(76万円)
■ミン・ブルーQボディ色 3995ポンド(60万円)
■ボディアクセント色 2995ポンド(45万円)
■無塗装カーボンファイバー・ルーフ 2245ポンド(34万円)
■表面サテン仕上げカーボンファイバー内装パネル 1915ポンド(29万円)
■コンテンポラリー・レザー内装 1195ポンド(18万円)
■カーボンファイバー・サイドストレーキ 995ポンド(15万円)
■カーボンファイバー・サイドミラーカバー 995ポンド(15万円)
■ブラック塗装ブレーキキャリパー 995ポンド(15万円)
■ブラックメッシュ・アウトレットグリル 995ポンド(15万円)
■One-77ステアリングホイール 995ポンド(15万円)
■ブラック・フロントグリル 495ポンド(7万5000円)
テストの記録

燃費:8.3km/ℓ
故障:無し
出費:無し

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