ポルシェ911には豊富なバリエーションがあるが、その中でも「タルガ」はエクスクルーシブな存在として根強い人気を博している。2006年、997型911でもこのタルガが登場、ガラスルーフとテールゲートを持つエレガントなスタイルが注目だ。ポルトガルで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年12月号より)
エクスクルーシブな存在を目指した価値観
あなたが昔からのポルシェ911ファンで、最近になって、ついに念願が叶ったとしよう。漠然と「911を買う」と考えていたあなたは、ポルシェジャパンのウェブサイトを見て、唖然とさせられるはずだ。
【くるま問答】最近のクルマにテンパータイヤはない。パンク修理キットをどう使う? 最高速は?
911って、こんなにバリエーションが増えていたんだ!と。まず、スタンダードのカレラがあって、高性能版のカレラSが控えている。それぞれに2輪駆動版と4輪駆動版があり、それにカブリオレ版が順列組み合わせされる。さらにそれに、911にはGT3とターボというスペシャルな選択肢もある。大いに悩むところだが、そこにもう1車種追加された。
「タルガ」である。大きなガラスキャビンとテールゲートを備えたタルガは、1967年に生産が開始されて以来、911シリーズの1バリエーションとして作り続けられてきた。累計生産台数は約8万台にも上る。
初代のタルガは、オープントップボディへのアメリカの安全規制が強まったことへの対応策として発表された。タルガは、転覆時に乗員を保護するための強固な固定式のロールバー、脱着式フォールディングトップとプラスチック製フォールディングリアウインドウを備えていた。
その後、911のモデルチェンジに添いながらタルガも進化を遂げ、独自の存在感を示してきている。日本ではメジャーな存在とは呼べないが、全世界平均では911シリーズの約5%を占めている。
1996年に発表された993型のタルガから、ドーム型のガラスルーフを採用。2001年に登場した996型タルガでは、初めてリアウインドウとテールゲートが一体化され、開閉可能となった。
今回登場した997型タルガは、この996型を踏襲している。CTS社製ガラスルーフモジュールの天井部分が前後に大きく開閉し、同じくガラス製テールゲートが開閉する。天井部分の開口面積は、カレラクーペのスライディングルーフのそれの2倍も大きい。
大きく開き、後方から後席にアクセスできるテールゲートの効能は大きく、ゴルフバックなどを積み込む時に重宝するだろう。
ガラスキャノピーによって得られる開放感と実用性の高さ
今度のタルガは、モデル展開が4輪駆動だけに限られる。その理由を、開発担当者のエアハルト・メーセル博士は次のように語った。「デザインを重視し、1年中オープンエアドライビングを楽しみたい人のためのクルマとして差別化する。サーキットを速く走るような人のクルマではない」
つまり、GT3やターボのような、パフォーマンスを追求する「硬派な911」に対して、ベクトルの違う、言わば「軟派な11」路線のエクスクルーシブモデルとして、タルガを際立たせようとしたのだ。
地中海に面した、南ポルトガルのファーロ近郊アルグレーヴ周辺の山岳路と高速道路で乗った。最初に驚かされるのは、走行中に天井を開閉した時だ。「プシュッ」という音とともに、大きく天井が開いても、車内に風が巻き込まれることがない。
単に開口部が大きなスライディングルーフではないのは、広いガラスキャノピー全体から射し込んで来る陽光によって、車内がとても明るいことからもわかる。
天井を閉めた状態での車内の静粛性は、ほとんどクーペと変わらない。タルガでは、ガラスのキャビンモジュールが52kg、ボディ補強によって8kg、計60kgの重量が増えている。
いわゆるバネ上重量で60kgも増えていたら、気になるのは操縦性への影響である。100km/h以上のコーナーが連続するワインディングロードやブレーキを酷使する小径コーナー、250km/h以上での高速巡航など、様々な状況でタルガ4とタルガ4Sを試したが、カレラやカレラ4と遜色はなかった。いつもの911らしい頑丈なシャシと頼もしいブレーキが、タルガにもそのまま生きている。
同様に加速性能なども、データ上は重量の増加したタルガはカレラよりもコンマ数秒ずつ劣る数字が示されているが、これも体感することはできなかった。
総じて、新しいタルガ4とタルガ4Sは、カレラとカレラ4Sと較べても大きな不満を感じないだろう。
価格の違いは、ガラスキャノピーによって得られる開放感と実用性の高さによるもので、そこに掛け値はない。その価値を、あなたが享受するつもりがあるか、どうか。
911ファンの誰もが認めるカレラやGT3、あるいはターボを選ぶのが当たり前過ぎて面白くないと少しでもあなたが考えているようならば、タルガが魅力的な選択肢として浮上してくるに違いない。タルガは、他人の価値観ではなく、自分の価値観で主体的にクルマを選ぶことのできる通な人のための911だ。(文:金子浩久/Motor Magazine 2006年12月号より)
ポルシェ 911タルガ4S (997型)主要諸元
●全長×全幅×全高:4427×1852×1300mm
●ホイールベース:2350mm
●車両重量:1535kg
●エンジン:対6DOHC
●排気量:3824cc
●最高出力:355ps/6800rpm
●最大トルク:400Nm/4600rpm
●トランスミッション:6速MT/5速AT
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:4.9秒
●最高速:288km/h
※欧州仕様
ポルシェ 911タルガ4 (997型)主要諸元
●全長×全幅×全高:4427×1852×1310mm
●ホイールベース:2350mm
●車両重量:1510kg
●エンジン:対6DOHC
●排気量:3596cc
●最高出力:325ps/6600rpm
●最大トルク:370Nm/4250rpm
●トランスミッション:6速MT/5速AT
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:5.3秒
●最高速:280km/h
※欧州仕様
[ アルバム : ポルシェ 911タルガ(997型) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
お金があればタルガターボSGT2RSルックなんて仕様も注文できるかな!?
タルガは、カレラより人気があるのでしようか。
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