スポーツカーばかりが走りの楽しめるクルマじゃない
トヨタ86&スバルBRZは新車を買おうとするとコミコミ300万円近く、マツダロードスターも車両価格だけで約250万円からと「乗って楽しいクルマはやっぱり高い」と思われる方は多いかもしれない。
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しかし日本で販売されている新車のリストをよく探してみると200万円以下の車両価格でも、乗って楽しいクルマはそれなりにある。そこで今回は車両価格200万円以下の安くて楽しめる安ウマカーを5台挙げてみよう。
(1)スズキアルトワークス(150万9840円から)
ターボエンジンを搭載し、スズキ・アルトのスポーツモデルのフラッグシップとなる「ワークス」はメインとなるFF+5速MTで150万9840円。
アルトのターボモデルには「RS」もあるが、こちらは5速AMT(2ペダルのシングルクラッチMT)。「ワークス」は「RS」にはない5速MTを組み合わせるだけでなく、RS以上にパンチあるエンジン、ギヤ比をクロスしたトランスミッション、硬いながらもしなやかさも感じるサスペンションなどにより、普通に乗っていてもとにかく運転が楽しめることが魅力。
楽しさ、速さ、燃費や居住性を含めた実用性、コストパフォーマンスといったバランスの高さは恐れ入るほどだ。
(2)ホンダS660β(198万円)
人が2人乗ったら荷物はほぼ積めない、ロールトップと呼ばれるソフトトップの脱着がちょっと大変など、実用性という面では「二人乗りで雨風をしのげるバイク」に近い。
その代わりに低い視点からお世辞にもパワフルとは言えないエンジンを常識的なスピードでもフルに使え、かつヒヤヒヤすることもなく運転に没頭できるという魅力を持つS660は車両価格198万円から。
198万円のβ(ベータ)は上級グレードのα(アルファ)に対し装備内容が少し劣る。
それ以上にS660らしい原色系の赤、青、黄色のボディカラーが選べないという弱点があり、「できればαを選びたい」というのが本心であるが、車両価格200万円以下という点はβの魅力だろう。
(3)スズキスイフトスポーツ(172万8000円)
コンパクトカーのスポーツモデルの定番的存在で、ハンドリングと乗り心地のバランスに代表される全体的な完成度の高さが大きな魅力。
その反面着座位置の高さや「エンジン音にもう少し迫力があってもいい」といったスポーツモデルに求めたい雰囲気、演出のようなものに欠ける感があるのも事実ではあるが、そこは価格が安い分でその過程も含め自分で手を加えていくという楽しみ方ができるともいえる。
全エンジンにMTの設定があるデミオ
(4)マーチニスモS(184万2480円)
チューニングされた1.5ℓエンジンを搭載するマーチニスモSは楽しいクルマではあるが、スイフトスポーツとは対照的に硬さを強調した足まわりなど、古典的というか決して完成度の高いスポーツモデルとはいい難い。
しかしマーチニスモSはその代わりにスイフトスポーツに欠けるスポーツモデルらしい雰囲気や演出で気分を盛り上がるというある種の楽しさをもつ。
「いい悪い」よりも「好き嫌い」という嗜好性を重視していいスポーツモデルにおいてはマーチニスモSが持つ荒っぽさのような部分も1つの味であり、好みにあえばマーチニスモSを選ぶのも面白い。
(5)マツダデミオ(135万円~)
マツダデミオにはここまで挙げた4台ほどのスポーツモデルは設定されておらず、どのグレードもスポーツモデルらしい刺激はないが、ハンドリングはじつに自然で「思うように車が動いてくれる」というドライビングプレジャーを備える。
また車両価格はほぼ全グレードが200万円以下である点も注目ポイントで、1.3ℓと1.5ℓのガソリン、1.5ℓディーゼルという3つのエンジンそれぞれに、「速くはないけどエンジンを回す楽しみがある1.3ℓガソリン」、「エンジンを回す楽しみと余裕のバランスに優れた1.5ℓガソリン」、「燃費のよさとトルクの太さで長距離ドライブを得意とする1.5ℓディーゼル」という三者三様の個性をもつ。
トランスミッションも3つのエンジンともにMTも設定されている。ATの完成度も秀逸だが、運転を楽しみたいなら、AT全盛のこのご時世にこれだけMTを設定しているデミオとマツダに敬意を表する意味も含めシフトフィール、クラッチフィールともに抜群のMTを勧めたい。
(文:永田恵一)
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