F1アメリカGPを前に浮上した、車高調整デバイスに関する不正疑惑。渦中のレッドブルはレギュレーション違反を否定しており、クリスチャン・ホーナー代表はFIAの介入はライバルたちの”被害妄想”をなだめるためのものだと語った。
今週末のアメリカGPを前に、FIAがTトレイ(フロントビブ)の調整機構に対する監視プロセスを強化することが明らかとなり注目を集めている。これは、レッドブルがパルクフェルメ下である予選と決勝の間にセッティングを変更しているのではないかというライバルたちが疑惑を持った結果である。
■レッドブル、疑惑の車高調整システムの変更に合意か? F1サンパウロGPまでの対処完了を目指す
FIAは今週末、ビブアジャスターを封印して不正がないか監視することになっているが、ホーナー代表はチームの不正疑惑は根拠のないものだと話している。
レッドブルが潔白なのだとしたら、なぜFIAはレッドブルのマシンを封印するのかと尋ねられ、ホーナー代表はSkyに次のように答えた。
「ライバルのひとつから不満の声が上がっているようだし、こういうことを調べるのはFIAの仕事だからね」
「(アジャスターは)オープンソースコンポーネントのリストに載っている。だから、直近3年間は公開されて、使用できるんだ」
「FIAはそれに満足している。ただ、パドック内のパラノイア(被害妄想)を満足させるためだと思う」
レッドブルの不正が疑われているのは、フロントビブのアジャスターがパルクフェルメ中にアクセス可能なツールなのではないかと見られているためだが、ホーナー代表はセッティングを調整するのは簡単な作業ではないと説明する。ボディワークのパネルとペダルの両方を取り外す必要があり、さらにメカニックが2フィート(約61cm)の長さの工具を使う必要があるからだ。
「どのマシンにもフロントビブを調整するツールがある。我々のモノは前の方、フットウェル(ペダル部分)の前部にあり、3年以上そこにあると思う」
「でも、そこをいじるためには、ペダルを外して、他のパネルや配管を取り外さなければならない。だから、クルマの他の部分の調整と同じだよ」
「ハンドブレーキやレバーのようなものがあって、ドライバーがロー、ミディアム、ハイのどれかに設定できるのだと思っているのなら、がっかりさせて申し訳ない。そうじゃないんだ」
ホーナー代表は、マシンを調整するためのこうした複雑なシステムを悪用しようとするのはナンセンスだと示唆した。
「リヤのロールバーを調整する方が、あのコンポーネントにたどり着くよりも簡単だろう。それ(ビブの調整システム)はパッケージングの一部だし、シャシーのフロントエンドにあるものだ」
ホーナー代表は、レッドブルに注目が集まっているのは意図的だと感じており、「自分の家で起こっていることから目をそらすために、どこか別の場所に火をつけようとすることがあるんだ」と付け加えた。
ホーナー代表がこの発言で対象としたのは、今季最大のライバルであるマクラーレンだろう。マクラーレンは空力負荷によってたわむことで空気抵抗を削減する”ミニDRS”と呼ばれるリヤウイングが話題となっている。すでに一度、FIAの要求に応える形で変更を施したとされているが、アメリカGPを前にFIAからさらなる変更を求められたという噂も飛び交っている。
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