2ドアクーペが市民権を得た1970年代
一般的な英国の労働者へ2ドアクーペが広がり始めたのは、1970年代初頭のこと。アメリカで人気を博したフォード・マスタングの影響を受け、欧州フォードはカプリを投入。大西洋を挟んでも、滑らかなルーフラインが支持されることを証明した。
【画像】上品な2ドアクーペ オペル・マンタ エレクトロモッド版とカリブラ 最新アストラも 全89枚
これへ触発されるように、1970年以降、4シーターや5シーターの2ドアモデルが次々とリリースされた。手頃な4気筒エンジンを載せて、ルノーやゼネラル・モーターズ(GM)、日本の各メーカーが新しい潮流を追いかけた。
2ドアクーペには特別な雰囲気があり、少し高めの価格を設定できた。それでいて、定番のサルーンがベースになることが多く、必ずしも開発費用がかさんだわけではない。技術者だけでなく、経営部門の意向も強く働いていた。
ドアが2枚少なくても関心を寄せる購買層に向けて、特徴的なモデル名が与えられ、オシャレなボディはステッカーで彩られた。ルーフラインと引き換えに後部座席の空間が犠牲になったが、多彩なトリムグレードで補われた。
広告へ割かれる予算は潤沢だった。ステアリングホイールを握ったドライバーが満たされた笑顔になり、周囲の交通を置き去りにする。そんなイメージを表現すれば、充分な注目を集められた。
各社からクーペが出揃うと、内容の違いも浮き彫りになった。モーリス・マリーナ・クーペは4ドアサルーンのフォルム違いに過ぎなかった。他方、1970年9月のパリ・モーターショーで発表されたオペル・マンタの訴求力は高かった。
フォード・カプリに対抗する新モデル
発表時点でマンタは独立したモデルだったが、2週間後に登場するアスコナと多くを共有することを、自動車ジャーナリストは知っていた。小さなカデットと大きなレコルトの間に収まるべく、計画が進んでいた中型サルーンだ。
オペルは、滑らかなスタイリングのグランドツアラー、GTの進化版であることを強調した。これは全長4113mmと小柄な2シーター・クーペで、アメリカではビュイック・ディーラーを通じて販売されたが、オペルの名を記憶してもらうのに一役買った。
5シーターで実用性に勝るマンタは、1900スポーツクーペを名乗りアメリカへ上陸。1973年からは、マンタ・ラクサスというモデル名へ改められた。
モデルライフの途中で5マイル・バンパーと呼ばれる堅牢なバンパーの追加と、排気ガス規制に伴うパワーダウンを余儀なくされた。それでも、欧州製の経済的なモデルは人気が高く、セカンドカーとして少なくない数が大西洋を渡っている。
マンタのスタイリングを手掛けたのは、当時32歳という若さだったデザイナー、ジョージ・ガリオン氏。デザイン部門を率いていたのは、チャック・ジョーダン氏だった。
ガリオンは1969年にドイツのオペルへ移動。副ディレクターへ就任し、プロジェクト1450という番号が振られた新モデルのボディを6週間で生み出した。
クーペモデルの発売に対しては、社内に反対する意見もあった。それでもジョーダンがガリオンへ指示したのは、フォード・カプリに対抗するモデルの創案だった。
ハンサムで運動神経が良さそうなスタンス
当時は、スポーティなモデルへ野生動物にちなんだ名前を与えることが流行していた。シボレー・コルベットのスティングレイはアカエイだし、フォードのマスタングは野生馬だ。そこでオペルは、オニイトマキエイを意味するマンタと名付けた。
インスピレーションを得るため、ガリオンはパリ在住の海洋学者、ジャック・イヴ・クストー氏も訪ねたという。コルベットC3にも影響を受けつつ、他のモデルとは共通性を持たない、独自のボディパネルで構成されたスタイリングが完成した。
全長は、カデットよりわずかに長い4293mm。ホイールベースは、フォード・カプリより短い2432mmが与えられた。
滑らかなルーフラインと垂直に切り落とされたテール、ボディと一体になったリアスポイラーなどが大きな特徴。ファストバックのマンタは、オペル最高のデザインとして好評を博した。
1970年からの1年間で、5万2200台の初期型マンタ Aが販売された。英国オペルのヴォグゾールが提供していた、ビバをベースとする2ドアクーペのフィレンザは同時期に1万8000台だったから、人気の差は明らかだった。
ハンサムなマンタは、メディアの評価も高かった。ボンネットは無料オプションでブラックアウト可能で、幅185とワイドなタイヤを履き、運動神経が良さそうなスタンスを好まない人はいなかったといっていい。
1975年には2代目のマンタ Bへモデルチェンジされ、高い人気を維持している。英国オペルでは、キャバリエ・クーペとして売られた。
若い家族のファミリーカーに選ばれた
フロントマスクは、フィアット・ディーノ・クーペにも近い。多くのドイツ車が長方形のヘッドライトを採用する中で、丸目4灯のライトが意欲的な雰囲気を強めていた。ハロゲンランプも選択可能で、1970年代初頭としては強力な明るさを得られた。
グラスエリアはフォード・カプリより大きく、運転席からの視界は良好。Cピラーが太く、斜め後方は褒めにくかったが。リアシートは狭かったものの、伸びやかなスタイリングを活かし荷室は奥行きがあり広かった。
当初の英国価格は1474ポンド。5シーターのマンタは、独身者にすべての楽しみを与えるクルマとして売り出された。だが実際は、結婚し小さな子供ができたMGB GTのオーナーが乗り換えるような、ファミリーカーとして選ばれた。BMW 2002と同様に。
後輪駆動のシャシーには、リジットアクスルが継投されていたが、トレーリングアームとパナールロッド、垂直方向のプログレッシブレート・ダンパーで洗練性を向上。大きな負荷は、プロペラシャフトの半分を覆うトルクチューブが受け止めた。
ステアリングラックはラック&ピニオン式で、ディスクブレーキをフロントに採用。フロント・サスペンションにはダブルウイッシュボーンが奢られ、アンチダイブ性能を高めた設計が施されている。オペルの技術者が手を抜くことはなかった。
この続きは後編にて。
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