中国の高級車ブランド「紅旗(ホンチー)」の最高級モデル「H9」が日本に上陸するという衝撃のニュースが飛び込みました。日本の自動車産業にはどのような影響があるのでしょうか。
2020年の新車販売台数が2531万台に達するなど、中国は過去10年以上にわたって「世界でもっとも新車の売れる国」であり続けてきました。
【画像】センチュリーを凌駕する!? 中国高級車「H9」の全容を見る!(29枚)
その結果、日欧米の各自動車メーカーがこぞって中国に進出し、さらには中国市場を意識した新型車を続々と登場させたのです。
一方、中国には「民族系」と呼ばれる国産の自動車メーカーも存在します。
民族系自動車メーカーの数は正確には把握できないほど、かつては各地域で乱立していましたが、近年では粗悪なメーカーは淘汰され、競争力のある大手メーカーも増えています。
しかし、そうした民族系自動車メーカーは、当然のことながら自国の国民に移動するためのアシを供給するのが目的のため、これまで積極的に輸出されることはありませんでした。
アジアや中東、欧州などの一部地域へ輸出される事例は過去にもありましたが、世界的に見ても自動車市場としては成熟している日本において、中国車が正規輸入された事例は皆無です。
そんななか、中国の高級車ブランドである紅旗が、日本に進出することが関係筋からの情報で明らかになりました。
紅旗は、中国最大級の自動車メーカーである第一汽車の高級車ブランドです。
その歴史は古く、1953年に創立し1958年から「東風」と「紅旗」というブランドで、中国共産党幹部などの政府高官向けに高級車を提供し続けてきました。
トヨタとの関係も深く、トヨタ車をベースにした高級車を販売したりもし、中国国民にとって紅旗のクルマは単に「高額なクルマ」ではなく、トヨタ「センチュリー」のように購入時に審査があるなどの条件があることや、Lシリーズは政府高官車として採用されることが多いのが特徴です。
今回、日本に導入されるのは2020年に中国市場で発売された「H9」という最上級セダンです。
H9(中国仕様)は、全長5137mm×全幅1904mm×全高1493mmという堂々たるボディを持ち、252馬力を発揮する2リッター直列4気筒エンジンもしくは283馬力を発揮する3リッターV型6気筒エンジンを搭載。組み合わされるトランスミッションは、7速デュアルクラッチトランスミッションです。
中国では、アウディ「A6」やBMW「5シリーズ」のロングホイールベースモデルと競合しており、31万元から54万元(約499万から869万円)程度で販売されています。
■紅旗のターゲットは?勝機はある?
今回のH9に関しては、輸入元が存在して数台を輸入販売するようですが、今後民族系自動車メーカーが日本に進出するとどれほど影響が考えられるのでしょうか。
短期的に見れば、紅旗のH9が日本に輸入されること自体は、日本の新車販売市場に大きな影響を与えることはないでしょう。
前述の通り、日本はすでに成熟した市場であり、H9の競合となるモデルが多く存在しているため、多くのユーザーにとってそうしたモデルから乗り換える理由はありません。
現実的に見れば、メインターゲットは中国大使館関係や中国関連企業であり、年間販売台数は100台程度ではないかと想定されます。
しかし、長期的に見れば、紅旗の日本進出は大きな転換点となる可能性を秘めています。
紅旗の母体である第一汽車は、トヨタやフォルクスワーゲンなどの合弁企業から販売される分も含めると、年間300万台以上の新車を販売する巨大メーカーです。
同じく中国国有のメーカーである上海汽車や東風汽車、広州汽車などと合わせると、1500万台以上の新車販売を誇る大企業群となります。
いずれも日本では馴染みのないメーカーですが、それは1500万台以上の販売のほとんどを中国国内の需要でまかなっているためです。
しかし、いずれ先細る国内需要に加え、企業としての継続的な成長を考慮すると、これらの中国自動車メーカーたちが今後積極的に海外展開を図ることは自明といえます。
また、現在日本には81万人を超える在日中国人がいるとされています。
いうまでもなく、どの国の在日外国人よりも大きな数字です。多くの場合、彼らは日本国内で中国車に乗るということはありませんが、今後民族系自動車メーカーが日本進出を本格化すれば、大衆ブランドのモデルも導入されることになり、国産メーカーのビジネスに影響を与えるかもしれません。
中国が世界最大の新車販売市場であることはすでによく知られていることですが、一方で中国の自動車メーカーの技術力は、まだまだワールドクラスとはいえません。当然、中国自身もそれを認識しています。
中国では2025年に「自動車強国になる」という国家目標を掲げています。ここでいう「自動車強国」とは、単に新車が多く売れる国という意味ではなく、技術開発力でも世界トップクラスを目指すという意味です。
それに向けて、自動車メーカーへの支援はもちろん、サプライヤーなどの関連企業も含めた投資活動が活発化しています。
また、近年世界的に推進されているクルマの電動化領域では、中国はすでに世界をリードしています。
日本にとって自動車業界が基幹産業であるように、中国にとっても国家の将来を占う最重要産業のひとつです。
世界的に見ればこれまでほとんど需要のなかった中国車ですが、今後は少なからず各国の市場で存在感を増していくと考えられます。
※ ※ ※
今回、紅旗のH9を実際に購入する人は多くはないでしょう。しかし、長い目で見れば、この中国車の日本で量産販売体制が整えば、日本の自動車業界にとって大きな転換点になるかもしれません。
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みんなのコメント
迫力と高級感は有ると思う。
でもセンチュリーのような品を持ってい無いから
比較する車では無く、同価格のアメ車と比較する
車だと思う。
ただ日本ではアメ車すら苦労してるのに中国車が
売れるわけが無い。
買うとしたら在日の中国人くらいかなぁ。