ヒット中や話題のクルマにも課題(宿題)はある。次のビッグマイナーチェンジや次期型でぜひとも改善してほしい「宿題」を、2人の評論家がズバリ指摘!
※本稿は2021年8月のものです
文/岡本幸一郎、松田秀士 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年9月26日号
ハチロクの系譜は連綿と続く! 伝説のAE86の後継たちを追う!
【画像ギャラリー】どんなヒットモデルにも課題はある?? 人気車たちの「宿題」をギャラリーでチェック!
■アクア、ヴェゼル、ヤリス、ノート…人気の日本車たちの「宿題」
(TEXT/岡本幸一郎)
まずは日本車。最近登場した話題のモデルや、長らくヒットを続ける全11台が登場。岡本幸一郎氏がそれらの課題(宿題)やイマイチ部分を探る。
誕生したばかりの新型アクアから課題(宿題)を指摘しますよ。後述するヤリスとの共通性が高く、後発ゆえ改善が進んだのに加えて、バイボーラ型ニッケル水素バッテリーの採用により瞬発力が増してEV走行する割合が増えたのも好印象。ただし、回した時の音が安っぽいのは否めず。
また、せっかく新しい制御を取り入れた電動パワステは、操舵力が軽く操舵フィール自体は悪くないものの、舵の正確性に欠ける。そのあたりが宿題といえる。
トヨタ アクアの宿題:EV走行する際、回した時の音が安っぽいのは否めない
逆に、ヴェゼルは初代とサイズも同等でプラットフォームもキャリーオーバーだけど、車格が上がったのかと思うほど内外装がガラリと変わって上質になり、このクラスとしては望外に装備も充実している。
一新されたハイブリッドもスムーズでEV感も高く、申し分なし。フィットでやや感じた加速の物足りなさもない。初代では硬さを感じた乗り心地もしなやかで快適だ。
宿題はナシと言ってもいいほどで、強いて挙げると燃費は現状でも充分だけど、いつかはトヨタ勢に勝てるよう、がんばりましょうね! ということくらい。ひいてはこれに甘んじることなく、すべてにおいて、さらに上を目指してもらえばよい。
ホンダ ヴェゼルの宿題:実燃費、もっと上を目指してほしい。「いつかはトヨタ勢に勝てるように!」と岡本氏
●宿題だらけの(!?)ヤリス
大ヒット中のヤリスだが、現状ではけっこう宿題がある。ハイブリッドの驚異的な燃費とTHSの固定観念を打破する力強いレスポンスに驚いたものだが、騒々しいし乗り心地もよくないし、直進性も甘く舵も正確でなく、フロア振動も出ていたりと完成度としては、さほど高くない。
“KINTOバージョン”には標準車にはないボディ補強や電動パワステの制御が盛り込まれているらしい。そのあたりにヒントがある。おそらく開発陣は問題点を把握していて、量販する前にこっそり入れたんじゃないかと思う。ひとまず次の改良版に期待したい。
ちなみにヤリスクロスも、さらに重くなって重心が高くなる分、ヤリスよりも走りでは不利。装備面では、いち早くこのクラスで前席パワーシートや電動テールゲート、3分割可倒式リアシートを設定した商品性の強みはあるけれど、走りに関する宿題は多い。
トヨタ ヤリスの宿題:騒々しい乗り心地には驚いた! 直進性も甘く舵も正確でない、と宿題多し。売れているけどね
●やりすぎな86/BRZ
間もなく発売のGR86/BRZは、プロトタイプに試乗した限りではどちらもよかった。乗り味がぜんぜん違うのは、ひとまず今はお互いの走りが明確に分かれたことをアピールする段階だと思うのでヨシとしたいけど、おそらく次の改良で再びいくらか歩み寄りそうな気がする。というのは、いささかどちらも“やりすぎ”な気がするから。GR86はゲインが高くて挙動が出すぎ。BRZは上質だけど控えめすぎだ。
あとはエンジン。これで充分といえば充分だけど、個人的には2割も排気量が大きくなったんだからもう少し下と中間加速の力強さが欲しい。
トヨタ GR86/スバル BRZの宿題:もう少し下と中間加速に力強さがほしい。充分ではあるけど2.4Lと拡大した分、もう少し中間加速の力強さが欲しい、と指摘(※写真は2台ともBRZ)
●低価格にすることが宿題
ハリアーは高価なクルマだけあってよくできている。乗り心地もよく見栄えもよい。強いていうと2Lのガソリン車の動力性能、ちょっと線が細いかなというくらい。でもそれは日本市場に合わせてあえて2.5Lにしなかったそうだから、宿題と呼ぶには違うのかも。ハイブリッドは申し分なし。
ノートも“ひと踏み惚れ”の加速は魅力だけど、実は燃費がそれほどよくないのが宿題といえそう。また、e-POWERのみの設定で割高に感じられる価格も、しようがないことではあるけど、そこを少しでも安くするのも宿題といえば宿題。今や派生モデルがいくつもあって、より幅広い層に応えているから、標準モデルの使命は、やはりコスパのよさにある気がする。
レヴォーグは初めて乗った時は「カンペキ!」と思ったものだけど、冷静に乗ると気になる点がいくつか。
まず、電制ダンパーでない普通の足まわりのモデルは乗り心地があまりよろしくない。あとは、せっかくデュアルピニオンを初めて使ったという電動パワステのフィーリングもよくない。そのあたりが宿題。
トヨタ ハリアーの宿題:2Lガソリン車の動力性能の線が細い。強いてあげるとというレベルだけど……
スバル レヴォーグの宿題:非電制ダンパー車は意外にも乗り心地悪し。電制ダンパーでない普通の足まわりのモデルは、乗り心地がイマイチ。これ本音!
日産 ノートの宿題:標準モデルはコスパをよくする。上級派生モデルがいくつもあるのでコスパのよさが宿題
●ルーミー、実は宿題多し!?
登場から時間が経過したにもかかわらずヒットを続け、月販台数上位の常連のクルマたち。売れてはいるが課題(宿題)はあるはず。ここからはそんなモデルを見ていこう。
まず、タンクがなくなって1車種に集約された直近は月販2位が定位置となるほどの人気ぶりに驚かされたルーミー。筆者はこのクルマにしばらく乗っていないが……、バタついて騒々しい乗り味や、エンジンやCVTの完成度など、気になるところが多かったように思っている。
もちろん最新型では改良されているだろうし、そうでなくては困るのだが……。
でもまぁ、そんなことおかまいなしにこれほど売れてるんだから大したものではある。けど、軽自動車のようにトレッドの制約を受けないのだから、その自由度をもっと活かすべきと思う。
トヨタ ルーミーの宿題:乗り味、エンジンやCVTの完成度。バカ売れだからいいのかもしれないが、宿題だらけです
●スイフトスポーツは6200rpm頭打ちが宿題
高い評価が続くスイフトスポーツ。このクルマの宿題は意外やエンジン。初のターボは速くてレスポンスもいいんだけど、よすぎて6200rpmで頭打ち(実際はもう少し下。ATはもっと下)になるのがどうにも惜しい。いきなり頭打ちが訪れるのがよろしくなくて、速いがゆえにそこが目立ってしまうのが悩ましいところだ。
ちなみに欧州で採用されたマイルドハイブリッドを採用していないことが宿題と思う人もいるだろうが、「NO」です。実はあれは重くなるしお金もかかる。燃費対策やメーカーとしての姿勢を示すために仕方なく付けた感じ。日本仕様に搭載されていないのは、むしろ喜ぶべきこと。
スズキ スイフトスポーツの宿題:もっと回りそうなのに突如頭打ちになるエンジン。レスポンスがよすぎて、いきなり6200rpmで頭打ちはアカン
●アルファードにも宿題あり!
最後はアルファードとN-BOXという大小背高箱型の代表選手。それぞれ果たすべき使命をほぼ完璧にまっとうしているので、宿題としてはナシってことで……。
現行型の登場当初は何かと気になる点もあったアルファードは、マイナーチェンジで大幅に改善されて乗り心地や直進性の不満がなくなった。強いて挙げると予防安全技術が最新版でないことくらいだけど、現状でも充分。
「強いての宿題」をあげることもできないN-BOX。これ以上を求めるのは酷というほど、出来がいい。販売台数軽1位を維持するのもナットクだ。
トヨタ アルファードの宿題:予防安全技術が最新版でない。強いてあげるとこれが宿題だけど次期型ではもちろん改善!?
ホンダ N-BOXの宿題:まさかの宿題なし!(※超優等生には宿題もいらない!?)
■人気輸入車の宿題
(TEXT/松田秀士)
続いては輸入車編。評価が高い4台が登場するが、それらに宿題(課題)はあるのでしょうか? 松田秀士さん!
2019年に新モデルが登場したBMW3シリーズ。エンジン縦置きのFRでxDriveと呼ばれる4WDも。直4も直6もあり多彩なラインナップだ。が、安全面でひと言、つまり宿題がある。ADAS(運転支援)について。
これまでのBMW車ではACCとLKA(車線内中央維持)は、それぞれセパレートして設定できた。例えばLKAのアシストはしてもらうけどACCは切って自分でアクセルとブレーキはコントロールすることが可能だった。
が、新型3シリーズからはACCとLKAがセットになってLKA単独で使うことができなくなっている。
例えばACCとLKAで走行中、急に割り込んでくるクルマがあってブレーキを踏むと両方揃って解除される。この場合、以前のモデルだとACCだけ解除されてLKAは引き続きアシストしてくれていたのだ。どちらが安全かというと、ボクは旧型のほうだね。
BMW 3シリーズの宿題:ADAS(運転支援)にひと言! ACCとLKA(車線内中央維持)がセットになり、不便な時も!
●上級グレードらしさが……
新型ゴルフは48Vマイルドハイブリッドの採用で燃費が向上。特に3気筒エンジンの1.5Lモデルは室内では振動もノイズも、3気筒特有のものは皆無。走行中も頻繁にエンジンを停止してコースティングするなど、燃費節約の実態を把握しやすい。
が、宿題もあり、リアサスを独立懸架にした上級のスタイルグレードの乗り味だ。廉価グレードのアクティブのリアサスは左右が繋がったトーションビームで、市街地レベルの走行では2つのグレードに大きな差を感じない。アクティブのトーションビーム全体を覆うアンダーカバーは空力的にメリットが高いのに、上級のスタイルにはカバーなし。これじゃ、ちょっとね。
VW ゴルフの宿題:上級グレードの優位性を感じない。リアサスを独立懸架にした上級グレードの乗り味、優位性が乏しい
●運転支援機能が△印
プジョー208はこの性能、このハンドリング、この装備でこの値段。「ちょっとひと言」がないモデル。あえて言うなら、昔のようにもっとサスペンションをソフトに仕上げてほしかった、くらいかな。
ディフェンダーは完璧な一台といっても過言でない完成度の高いSUV。110の直6ディーゼルエンジン+マイルドハイブリッドは、8速ATとの相性もよくスムーズで静粛性高く、素晴らしいパワートレーン。
でもね、LKA(レーンキープアシスト)が中央維持機能を備えておらず車線逸脱時のみに戻すレベル。これは宿題でしょう! 性能面では上位機種のレンジローバーと肩を並べるほどの仕上がりなのだから、ここはADAS(運転支援)機能をパーフェクトにしてほしい。改良に期待!
208の宿題:サスペンションをもっとソフトに。強いて挙げるなら左記のような宿題…です
ディフェンダーの宿題:中央維持機能を備えていない! 完璧な一台だけに、中央維持機能を備えていないLKAがやや残念だなぁ~
【番外コラム】宿題を克服して見事ヒットした日本車たち
顔を変えて一躍ヒットモデルになったといえば2代目ウイングロード。宿題克服といえる。同じく不人気といわれるS14シルビアも後期は人気で、前期オーナーで後期の顔に変える人が続出したほど。あるいは9代目クラウンも丸っこい前期が不評で、後期では前後のデザインを大幅に変えてスクエアにしたところ販売が劇的に改善した。
モデルチェンジでガラリと変わって成功した例ではキューブ。素っ気ない初代もそれなりに売れたが、パイクカーのような2代目は大ヒット。また、影が薄いままフェイドアウトした感があったRAV4は、現行RAV4のクロカン風スタイルで見事に日本でも復活!
途中のテコ入れで成功した例としては、現行スペーシアがスペーシアギアを追加したところ約2割も売れゆきが伸びた。パワートレーンでの成功例は先代ノート。e-POWERを追加搭載し、“ひと踏み惚れ”する人が続出したのも記憶に新しい。さらにCX-3。最初は割高なディーゼルのみでやや販売苦戦したところ、価格の安いガソリンを追加して販売を伸ばしている。
顔を変えて一躍人気となったS14シルビア。宿題(課題)克服!
e-POWERを追加搭載し、販売激増の2代目ノート
(TEXT/岡本幸一郎)
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みんなのコメント
何が言いたいのかわけわからん
むしろこの手の車に何を求めているかくらい書け
豪華にしてパワーアップして・・・・そのうえ安くしろってか?