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【なぜアメリカで発表?】新型スバルBRZ 日本製スポーツカー、独り勝ち戦略は奏功する? 2.4Lへの拡大の意味

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【なぜアメリカで発表?】新型スバルBRZ 日本製スポーツカー、独り勝ち戦略は奏功する? 2.4Lへの拡大の意味

新型BRZ、なぜアメリカ発なのか?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】新型BRZ、旧型とどう違う?【日本が誇るスポーツカー比較も】 全227枚

スバルは新型「BRZ」の米国仕様車を、日本時間2020年11月18日23時にオンラインで世界初公開した。

ボディ寸法は、全長167.9インチ(4265mm)×全幅69.9インチ(1775mm)×全高51.6インチ(1311mm)、そしてホイールベースが101.4インチ(2576mm)。

初代モデルと比べて、より低く、よりワイドという、スポーツカーとしての正常進化を遂げた。

エンジンは、もちろん水平対向型4気筒。排気量は初代の2.0Lから拡大し2.4Lとした。気筒内のポート燃料噴射装置であるトヨタD-4Sを採用した。最高出力は228hp、最大トルクは18.8kg-m。

トランスミッションは6速MTと6速ATで、駆動方式はFRである。

気になるプラットフォーム(車体)だが、スバルは「スバルグローバルプラットフォームの開発から得たノウハウを取り入れ……」という表現をしている。

インプレッサから刷新されXV、フォレスター、さらにレヴォーグと続く、スバルグローバルプラットフォームを採用しているのではなく、初代をベースにレヴォーグでも採用したインナーフレーム構造を取り入れ大幅改良したという解釈だ。

初代モデル比で、フロントの横方向曲げ剛性が約60%、ねじり剛性が約50%も向上し、走りがさらに洗練された。

さて新型BRZ、なぜアメリカ最優先での発表なのか?

アメリカの市場、2ドアクーぺ大国

BRZがアメリカ発となった理由は、先に発表された日産フェアレディZコンセプトと同じだ。

2ドアスポーツカーの世界最大マーケットが、アメリカだからだ。

そんなアメリカでも、BRZや、兄弟車であるトヨタ86は2ドアクーペマーケットの主流セグメントではない。

2020年11月時点で、2ドアクーペマーケットの主役は、いわゆるマッスルカーたちである。フォード・マスタング、シボレー・カマロ、そしてダッジ・チャレンジャーという、マッスル御三家が不動の地位を築いており、しっかりとした数が定常的に売れている。

また、マッスルカーとは一線を介して、シボレー・コルベットがいるが、新型はスーパーカーライクなリアミドシップ化され、2ドアクーペというカテゴリーには属さなくなった。

その他、2ドアクーペとなると、メルセデス・ベンツとBMWの上級モデル、さらにプレミアムなベントレー、フェラーリという世界となるのは、日本でも同じである。

さらに、日系メーカーでは、トヨタ・スープラ。小ぶりな2ドアクーペでは、もちろんマツダMX-5(ロードスター)がある。

こうして、アメリカ市場を俯瞰すると、BRZ(および86)がいかに、スタンドアローン(孤立して目立つ存在)であることがわかる。

三菱エクリプス アメリカの思い出

では、BRZ(および86)のライバルは何か? 新旧モデルの中からピックアップしてみたい。

まずは旧車からだ。

BRZ(および86)対抗と呼べるようなモデルは、いくつか存在したが、それらはBRZ(および86)誕生前に市場から姿を消している。

順を追ってご紹介しよう。

三菱エクリプス

80年代から90年代にかけて、「セクレタリーカー」と呼ばれ大人気車となった。

セクレタリーを直訳すれば、秘書である。つまり、秘書を務めるような知的でファッショナブルな女性が好むクルマという商品イメージである。

アメリカでのクーペ市場は、女性ユーザーの比率が高いのが特長だ。特に、コンバーチブルは女性から支持されている。

FF車であることもあり、走りを追求というより日常生活の中での利便性を優先した。

その中で1999年登場の3代目は、先進性と未来感を集約されたデザイン。担当した三菱北米デザインスタジオのデザイナー氏と当時、よく意見交換したが、彼がアメリカでのクーペ市場動向について広い見識があった。3代目に対するデザインへの拘りとしては、前後のタイヤフェンダー部分を「ボールベアリングをスパッとカットした、そんなイメージだ」と表現していた。

当時、エクリプスには「3000GT(GTO)」という兄貴分がいたことで、BRZ(86)とスープラの関係性に近いと言える。

BRZ 米にガチンコライバル不在?

GMポンティアック「ソルスティス」、サターン「スカイ」

2000年代の半ば、リーマンショックでGMが事実上の倒産となる少し前、2シーターオープンカーとして登場した。

GMとしては、マツダMX-5(ロードスター)よりもひと回り大きく、在りし日のエクリプスのイメージであったはずだ。

2.4Lと2.0ターボがあり、それぞれを当時、カリフォルニアのロサンゼルス周辺やミシガンのデトロイト周辺、さらにテキサスのダラス周辺で試乗した。

感想としては、見かけとは裏腹に「かなりの大味」。欧州ではオペルGTとして販売された。

以上、2モデルが過去20年間ほどで、BRZ(および86)対抗になりそうなイメージだ。

では、現行車ではどうか?

多少重なる? しかし実質的にゼロ

各メーカーのラインアップを見渡して、ガチンコライバルはいない。

まあ、MX-5 ロードスターがRFのみならず、通常モデルが2.0L搭載であることで、FRということでBRZ(および86)に技術的に近い。

だが、顧客層は明らかに違う。

顧客層が多少重なるという点では、ヒュンダイ・ヴェロスターがある。

変則的な3ドアクーペスタイルのFF、また1.4Lターボ、1.6Lターボであり、技術面ではライバルと呼べない。

いずれにせよ、BRZ(および86)は現世代において、実質的なライバルがいない、独自の世界感を持っているといえる。

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