現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > フィットはホンダの高級車!? ヤリスとは異なる 世界と戦う日本のコンパクトカー

ここから本文です

フィットはホンダの高級車!? ヤリスとは異なる 世界と戦う日本のコンパクトカー

掲載 更新 4
フィットはホンダの高級車!? ヤリスとは異なる 世界と戦う日本のコンパクトカー

■フィットの進化は…刷新? 一新?

 コロナウイルスの問題が起きていなければ、いまごろはトヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」の話題で、盛り上がっていたかもしれない。

なぜホンダの技術はマネされない? 他社が「センタータンク」採用しない理由

 本来ならフィットは、2019年秋に市販されるはずだったが、EPB(電動式駐車ブレーキ)の製造上の不具合で生産が遅れ、奇しくもヤリスと同じ時期の2020年2月に市販されることになった。

 しかし、この2台は紛れもなく、世界と戦う日本の代表選手。サッカーならフォーワードの2トップ。それではフィットの味見をする。

 どうしてもヤリスと比べて見てしまうが、最近のホンダのデザインは可愛い系が多い。軽自動車の「N-ONE」しかり、ホンダEVの「ホンダe」しかり。

 案の定、フィットも精悍さを主張するのではなく、ファミリーカーとして多くの人に受け入れにやすいデザインになった。

 しかし、運転席に座ると、フィットはただ者ではないことがわかる。自動車の安全に長く取り組んできた経験で、運転席からの目線ではAピラーが交差点などの死角を増やし、歩行者などの発見の邪魔になることを懸念していた。

 大きなSUVで太い頑丈そうなAピラーは、安全そうに思えるが、予防安全では逆効果。「Aピラーをなくすことができたら」とずっと考えてきた。

 しかし、実際に新型フィットにはAピラーは存在するが、視界の邪魔にならないように工夫している。今回、プラットフォームは従来のセンタータンクレイアウトだが、随所に工夫が凝らされており、プラットフォームが同じと否定的に思うことはない。

 その工夫とは、視界の邪魔だったAピラーを後退させ、それよりも前方に細い補助的なAピラーを使うことで、フロントガラスを固定している。

 衝突時にキャビンの変形を少なくするための、荷重を受け止める本来のAピラーは三角窓を介して、配備されている。

 こうしてドライバーから見ると、前方の左右の視界性能は非常に高まり、この優れた視界性能こそが「安全運転の一丁目一番地」だと確信した。

 それだけではなく、メーターパネルがスッキリとデザインされ、アップル社の製品のようなインターフェイスを持っている。こうした新しいパッケージとデザインによって、新型FITは新基準を作ったと思うのだ。

■ユーザーメリットは、「とにかく運転しやすい」

 フィットは、従来のプラットフォームを使って開発されたので、重心点や前後重量配分、あるいはヨー慣性モーメントという基本諸元を刷新することは叶わなかった。

 こうした事情を鑑みて、あえて乗り心地重視のコンセプトを打ち出したことは正しい選択であると思う。結果的にスポーツに特化したヤリスとの差別化がおこなわれたので、ユーザーは迷うことはなさそう。新型フィットはこのクラスの快適性の新基準を実現しているといえる。

 実際に走るとサスペンションが非常にしなやかであることが確認でき、この乗り味はとてもBセグメントの質感とは思えない。

 チーフエンジニアの田中さんは「ボディの部分的な剛性、とくにタイヤからの力が入る部分の剛性を高めました。これが利くのです」と説明する。

 結果的にダンピングが非常によく感じるのは、ダンパーの性能を十分に引き出すボディ特性が得られたことが大きい。

 多少悪い路面でサスが動いても、バネ上のボディの動きや振動は一発で収まる。乗り心地を犠牲にしないで、しっかりと安定させるシャシー性能はとても優秀だ。

 ゆるい凹凸のところは逆にサスペンションをしなやかに使っており、このように「柔」と「剛」のバランスが凄くいいと思った。

 パワートレインは、ホンダ独自の2モーターハイブリッドが洗練している。フィットのボディに収まるように非常にコンパクトに設計されている。

 ハイブリッドの印象はモーターで走る領域が日産「ノート」のように長く、エンジンが始動して静かなモーターからの落差もすくない。

 ハイブリッドは4気筒エンジンを使っているので、ハイブリッドのエンジンとしては適合している。ヤリスのハイブリッドはエンジンが3気筒なので、振動が少ない静かなモーターとの差が大きく、エンジンが始動した瞬間の違和感はある。

 つまり4気筒エンジンを搭載するフィットのハイブリッドのほうが、エンジンとモーターの振動面の差が少ない。

 1.3リッターのCVTエンジン車はライバルのヤリスと比べてパフォーマンスが不足気味だが、ハイブリッド同士で比較するとフィットをチョイスしたい。フィットのガソリンエンジンは4気筒なので、パワーは遠慮気味だが、振動は少なく燃費もいい。

 フィットの運転支援システム(ACCやLKAS)が標準装備だと聞いて驚いたが、こうした先進技術の機能も洗練している。

 とくにLKAS(車線維持支援システム)はカメラの車線認識も正確で、車線に中央をトレースできる。ハイブリッドならモーターの加速レスポンスがよいのでACCの追従は使いやすい。

 試乗会でアレッと思ったのは、ETCゲートの出口の先でUターンすると、いきなり逆走アラームが鳴り響く。こうした問題はフィットのGPSとカーナビの連携がずれることがあったからだろう。

 とにかくフィットの運転支援が洗練されているので、高速道路では快適便利安心と三拍子揃ってドライブができる。

 2020年1月に北海道にある鷹栖テストコースのスノードライブで4WD仕様をテストしたことがあった。サスのしなやかさはタイヤと雪面の接地性がよく、走りだしから安心感が伝わる。

 AWDのシステムはビスカスカップリングだが、モーターと組み合わされることによって、すばらしい機能を持っていることがわかった。

 ビスカスは生活四駆という位置づけだったが、回転数制御のビスカスはモーターと組み合わせることで、繊細な制御が可能となったようだ。私(清水和夫)はフィットのハイブリッドのAWDは最強の組み合わせだと確信した。

 キャラクター的には同時期に発売されるヤリスとは大きく差別化できている。ヤリスは楽しいスポーツキャラクターが色濃く、フィットは親しみやすい快適なファミリーカーになった。

 両モデルはよきライバルであるが世界と戦う日本の2トップとして、誕生している。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
AUTOSPORT web
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
Auto Messe Web
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
WEB CARTOP
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
日刊自動車新聞
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
くるまのニュース
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
motorsport.com 日本版
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
AUTOSPORT web
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
レスポンス
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

4件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

172.0250.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1290.0万円

中古車を検索
フィットの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

172.0250.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1290.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村