アウディが日本で推し進める電気自動車の新しい取り組みとはいかに? 屋久島にて、ライフスタイル・エディターの稲垣が取材した!
アウディと屋久島
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6月7日、アウディ ジャパンは、鹿児島県・屋久島における脱炭素による地域振興、貢献を目指す包括連携協定の成立に向けた基本合意書を、屋久島町(鹿児島県熊毛郡)とアウディ正規販売店を運営するファーレン九州(鹿児島県鹿児島市)の3者間で締結した。
その日に発行されたプレスリリースによれば「アウディが世界で進める脱炭素および再生可能エネルギーの活用による環境貢献や、教育を始めとした地域貢献を目的としており、アウディ ジャパンのEVシフトや地域振興へのコミットメントを示しています」とのこと。
具体的には屋久島に8kW普通充電器の設置、アウディの電気自動車「e-tron」シリーズの貸し出しなどをおこなうという。
ちなみに屋久島では島内ほぼすべての電気を、水力発電で賄っているそうで、電気自動車の普及によってさらに脱炭素を推し進めるという。今夏も昨年に続き“電力不足”の可能性がある東京都心部とは事情が違う。とはいえ電気自動車まわりでは、使用済みバッテリーの廃棄問題や充電スポット不足など課題も多く残っているが、それは今後、並行して解決されるのを願いたい。
さて、屋久島で乗る電気自動車というのはいかに? 筆者は東京から屋久島に飛んだ。
屋久島空港のターミナルを出ると、そこには色とりどりのe-tronシリーズが並ぶ。
最初に乗ったのはe-tronシリーズの第一弾である「e-tron 50クワトロ」。真っ赤なボディカラーが目をひく。乗り込むと、シルバーの加飾を各所に使ったブラック基調のインテリアが心地良い。エアコンやナビゲーションの設定などはインパネに設置されたタッチパネルで操作する。反応も良く、最新のスマートフォン感覚である。
電源をオンにすると、静かにクルマは目覚める。最初は助手席での同乗ドライブ。ドライバーは、普段、クルマをあまり運転されないということで、e-tron50クワトロのなめらかな走りに感動していた。
逆に筆者は助手席に乗ったのが初めてだった。以前運転したときよりも乗り心地がしなやかなように感じた。バッテリーの重さが効いているのもさることながら、サスペンションのセッティングが絶妙。硬すぎず、柔らかすぎず、ほどよい。
静粛性の高さは相変わらずで、ドライバーとの会話も自然と弾む。“静かで、快適”を、プレミアムカーに求める人は多いと思うが、それにきちんと応えるe-tron50クワトロは素晴らしい。
そんなe-tron50クワトロの車窓から見る屋久島の木々や海は、美しい。快適なe-tron50クワトロだからこそ、リラックスして窓に映る自然を楽しめるのが嬉しい。
なぜ水力発電はクリーンなのか次に乗ったのは4ドア・クーペ「RS e-tron GT」。流麗なエクステリアは、いつ見ても惚れ惚れする。凹凸の少ない、なだらかなボディは、かつての3代目「100」以降、空力性能を重視するアウディの集大成とも言うべきデザインだ。
動力性能の高さも魅力だ。最高出力475kW、最大トルク830Nmを誇るモーターを搭載。0-100km/hの加速タイムはわずか3.3秒という恐るべきモンスターマシンである。
もっとも、屋久島ではこれほどの高性能を体感出来る場所はない。というわけで、一般道をほかのアウディとともにユルユルと連なって走るが、扱いにくさは一切なし。電気自動車はトルクの立ち上がりが早いため、ポンっとアクセルを踏むだけで、強烈な加速を体感出来る。ゆえに、アクセルコントロールがシビアでは? と、思う人は多いかもしれないが、そんなことはなく、普段の運転で特別な操作は必要なし。アクセルペダルを離したときに効く回生ブレーキとのマッチングも良好だ。
最初に向かったのは「ヤクスギランド」。安房集落から約15kmに位置する広大な森にあるハイキングコースで、30分、50分、80分、150分、210分の5つのコースがある。われわれは30分コースをセレクトした。「千年杉」などといった大木や苔を愛でながら、自然のエネルギーを味わう。
次に向かったのは屋久島電工尾立ダムだ。屋久島の電気は、民間企業である屋久島電工がほぼすべてを賄っており、尾立ダムによる水力発電が稼働する。アーチ型ダムで流域面積は92.5km²。ちなみに屋久島の年間降水量は里地(安房)で4300mm、小杉谷(標高670m)の頂上付近は1万mmに達するそうで、これは東京の2~3倍だそうだ。
ちなみに水力発電(ダム式)の仕組みは、東京電力の公式ウェブサイトによると「水力発電では、水が高い所から低い所に落ちる時の高速・高圧の水の流れを利用して水車を回し、電気をつくっています」とのこと。
実際、屋久島電工安房川第二発電所にも立ち寄り、発電の様子を見学した。発電用の水車は、地下約200mの場所に設置してあるため、作業用トロッコに乗って、長いトンネルをくだる。そこでは、1秒間に約20回転する発電用の水車が2基あった。もう1基、増設する計画があったものの、2基で需要に対応出来たため、工事は途中で止められたという。もし屋久島に電気自動車が大量に溢れても、発電用水車を増やせる余地はあるようだ。
技術の発達が電気自動車への意識を変える2日目の午前は「e-tron GT」に乗って屋久島高等学校へ。アウディ ジャパン主催の出張授業を見学した。体育館に集まった生徒たちへ、アウディ ジャパンの社員が再生可能エネルギーの活用やカーボンニュートラルに関する話をおこなった。
そして午後は屋久島町の役場にて、「未来共創ミーティング」なるイベントに参加。冒頭、ブランド・ディレクターであるマティアス・シェーパースが、アウディ ジャパンの屋久島内における今後の取り組みを説明。さらに屋久島町長の荒木耕治やファーレン九州で代表取締役社長を務める金氣重隆、そして屋久島高等学校の生徒も交え、屋久島の持続可能な未来をテーマにディスカッションがおこなわれた。
荒木町長自身、かつて電気自動車を所有していたものの、アップダウンの多い島内の道では、すぐに電気を消費してしまうため、いつも航続可能距離を気にしながら乗っていたそうだ。
その話を聞いたマティアスは「今のアウディe-tronなら大丈夫です」と、すかさず返答。たしかに現行e-tronシリーズのエントリーモデルである「Q4 e-tron」でさえ、満充電時の航続可能距離は576km(WLTCモード)もあるから心配はいらない。充電器の問題もアウディ ジャパンが設置を進めるから解消されそうだ。
荒木町長によれば、現状、屋久島内の電気自動車普及率は、全国とほぼおなじ2%程度という。「県も町も(普及を)あきらめかけていた」と、話していたが、アウディ ジャパンとファーレン九州との協力によって、今後、大きく普及する可能性がある。
そういえば、島内のドライブ中、すれ違った電気自動車はたったの1台で、日産の初代「リーフ」だった。おそらく最新の電気自動車に触れられるタッチポイントが少ないのも、電気自動車普及の障壁になっているはず。今後、島内の公共機関などe-tronシリーズが貸与されるというから、電気自動車が身近になるはずだ。
電気自動車というとどうしても「自然」とか「環境」といったキーワードが先行するが、クルマとしても高い静粛性や素早い加速性能など魅力は多い。屋久島のワインディング・ロードをe-tronシリーズを操り、駆け抜けたら、きっと気持ち良いだろう。これまでの内燃機関車とは異なるドライブフィールに惹かれる人も増えそうだ。
今回、縄文杉を見ることはかなわかっただけに(徒歩で1日がかりらしい)、またいつか屋久島を再訪したいと思った。そのときは島内に多くの電気自動車が走っているのだろう。未来を想像したらすこしだけ気分が高揚した。EV車が多く走る島の様子を想像するのは、意外と楽しい。
文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・アウディジャパン
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