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【アルファだけの特別ブレンド】アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントへ試乗 後編

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【アルファだけの特別ブレンド】アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントへ試乗 後編

後輪駆動の美点を最大限に引き出す

アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントのドライビング体験が素晴らしい最大の理由は、駆動力を生んでいるのが後輪だけ、というところ。前輪は、クルマの向きを決めることに徹している。とてもシンプル。

【画像】ジュリア 英独ハンドリング ライバル 全92枚

近年は、多くが前輪駆動か四輪駆動になってしまった。たとえ一般的なメカニズムでも、良くできた後輪駆動が持つ、純粋なドライビング体験の爽快さを忘れがちだ。ジュリアは、ジャガーXEほどではないものの、後輪駆動の美点を最大限に引き出している。

ジュリアを走らせると、プラットフォームがコストを掛けて丁寧に設計されていると感じる。単純に高価なダンパーを採用した乗り味とは異なる、ジュリアならではの感触。しっとりと落ち着いた乗り心地は、そう簡単に実現できることではない。

道路の轍や隆起部分を通過すれば、ボディ剛性の高さが理解できる。足まわりは、控えめな200psの馬力を、決して無駄にすることはない。

そのおかげで、2.0Lの4気筒ターボエンジンは最高出力が240psあると聞いても、疑わないほどに良く走る。同時に高速道路ではとても控えめに回転し、15.9km/Lという優れた燃費でも応えてくれる。

ジュリアはドライバーの気持ちを鼓舞してくれるスポーツ・サルーンだが、評価しにくい部分もある。電動アシストの付くステアリングは、切り始めの反応が極めて過敏だし、路面からの感触はほとんど伝わってこない。

コーナーを数回曲がればすべてを許せる

バイワイヤーで作動するブレーキも同様。ブレーキペダルの感触は希薄で、制動力も線形的には立ち上がらない。これは少々残念。

ステアリングホイールもペダルも、スポーツ感満点のデザインなだけに、余計惜しい。特に細身のステアリングホイールは、抜群に握りやすい。

日常的な運転となると、別の気になる部分も見えてくる。シフトパドルは金属製の成形品で、手触りも素晴らしいのに対し、ステアリングコラムのカバーはリサイクル・プラスティック製のよう。試乗車の場合、デジタルラジオの入りも悪かった。

小さな不満はなくはない。しかし曲線美のフロントマスクや、勇ましいマフラーが覗かせるリアを眺めた後、連続するコーナーを数回曲がれば、すべてを許せてしまう。適度な一体感のあるドライビング体験を繰り返すうちに、一切の気がかりは消えてしまう。

秀逸なハンドリングは、BMW 3シリーズに劣らないほどの充足感が得られる。ただし、満面の笑顔でコーナーの出口を見定め、電子制御デバイスが介入する手前まで。

ジュリアの電子デバイスは、わずかな自由を与えてくれない。この領域では、3シリーズのような鋭さもないようだ。電子制御を完全にオフにはできず、ジュリアをどれだけ自由に振り回せるのか、試せないのだけれど。

アルファ・ロメオ・ジュリアを選ぶかどうかは、何を優先順位の上位に並べるかで変わってくる。また、費用に対する意識にもよる。

違いのわかるアルファだけの特別ブレンド

ダイナミクス性能で見れば、ジュリアはBMW 3シリーズほどシャープではない。反面、ジュリアのシャシーは熟成度を増し、少し速めの速度域までなら、より高い充足感を味わえる。

両車を比べれば、インテリアの洗練度も、わずかにジュリアが上の印象。外界との隔離感にも優れ、俊足のグランドツアラーとして素晴らしい性格付けがされている。ロマンティックなルックスは、いつでもどこでも、気持ちを高めてくれる。

BMW 3シリーズやアウディA4、メルセデス・ベンツCクラスが持つ強みは、日常的な付き合いやすさ。デジタルラジオや、アダプディブ・クルーズコントロールの不安定さなどは、その例だ。

ジュリアのインフォテインメント・システムは、大幅に改良された。だが、まだBMW iドライブと比べれば大きく出遅れている。

緻密なメカニズムやシステムを日常的に利用したいドライバーにとって、アルファ・ロメオは最有力になりにくい理由でもある。一般的なユーザーにとっても、選びにくいブランドかもしれない。

だとしても、ジュリアはこのクラスで最も強い魅力を放つモデルだと思う。アルファ・ロメオというカリスマ性と、出色の操縦性能を秘めたシャシー。快適性と実用性も兼ね備えている。違いを知るアルファだけの、特別ブレンドだといえるだろう。

アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリント(英国仕様)のスペック

価格:3万7125ポンド(501万円)
全長:4643mm
全幅:1860mm
全高:1436mm
最高速度:234km/h
0-100km/h加速:6.6秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:144g/km
乾燥重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:200ps/4500rpm
最大トルク:33.5kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • CG誌によれば、ジュリアがBMW3やジャガーXEよりもハンドリングは優れていて、機敏であると書かれていたぞ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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